嘘つきの意図

仕事でサーモグラフィー、つまり温度の分布を画像で表す機械を扱うことになって、そのレンタル会社の人からレクチャーを受けてきた。

なかなか面白い機械がたくさんあってそれだけでも楽しいが、ちょっとした無駄話も面白いから、技術系の会社を訪れるのは本当に好きなのだ。

サーモグラフィーに関しては、こんな話を聞いた。
「温感や冷感の肌着などの広告、それにTV番組での健康法などで使われるサーモグラフからは、ほとんどに“嘘つきの意図”が感じられる」と言う。

つまり、色と温度との関係を示すバーが無いものがほとんどだということ。砂場の山だって、等高線を1mmずつに振れば、ヒマラヤ山脈より険しく見えるわけだ。
肩の部分が真っ赤で、腕の辺りが青緑だったからといって、「肩の血流が促進されているので体温が高い」と断言していたら、それは不誠実というもの。温度差が0.3℃かもしれない。
2つの画像のうち共通部分(シャツでいえば肌の部分など)が同じ色であることは、最低条件。そのうえで、色と温度のスケール・バーは必ず示されていることが大切だという。

たぶん説明してくれた人も解っているのだろうけれど、しかしこういう細部を気にしない人は、元からサーモグラフの示す内容なんてものに興味が無いのだと、僕は思っている。
きっと教えても、「だってわかんないじゃん」で済ませるし、それでその情報を信じるか否かなんて変わらないのだ。
「自分を信じる」が金科玉条になってしまっている人は、スケール・バーを必要としないのだ。

 

 

そういえば、先日のニュースで「効能を謳って水素水を売ったスーパー(の担当者)が検挙された」とあった。
では地元のスーパーの「水素水サーバー」では表示を書き換えたのかな、どれくらいの反応があったのかな、と買い物の後に見てみたのだけれど、もちろん健康を謳っていたし、お年寄りは喜んで汲んでいた。隣の「電子水」とブレンドしている人だっていた。
もちろん具体的な効能(子宝に恵まれる、とか不登校が治るとか)は掲げられていない。でも、活性酸素云々(+と、言われています)は書かれていた。
正々堂々と「基本的にただの水です。科学的根拠はありませんが、私どもの信条と正義により販売いたします。自己責任で活用ください」と書けばいいのに、と思う。そこまで書かないと、格好悪い。
スーパーマーケットにある「電子水」や「水素水」も、“嘘つきの意図”を感じる。信じる阿呆のために、と売る側は言うかもしれないが、嫌もう少し穏当な表現かもしれないが、とにかくそう仕向けたのは店の側なのだから、せめて“科学っぽい言葉”は使わないのが公正というものだろう。
誠実に「神聖長命水」にすればいい。弘法大師とのエピソードとか創作したい。