辞めちゃった

隣の部署の新人君が、退職してしまった。
仕事にも慣れ、はじめのころの堅苦しさも消えたのに。最近は通勤の服も自分のスタイルを前に出し始めて、例えば指の出た黒い革の手袋とか、「FEEL YOUNG GENERATION」と書かれたウインドブレーカーといった、個性的なファッションを工夫していたのに。

 

いわゆる新人、試用期間を過ぎ、求められる要求が増えたことで、ずいぶん不満が溜まっていたのだと推測する。席が近くでも仕事は別だから、それほど話す機会は無かったが、でも出来る限りのサポートはしたつもり。「Excelのマクロでー、今日の予定をー、効率良くアレンジするー、プログラムを教えてください?」って(ほぼ)初対面で言われた時は、びっくりしたものだが。「ではまず今日の予定リストを作って…」「俺が入れるんすか?Excelで自動化できないんすか?」って、Excelは秘書じゃないんだから、パソコンの外にある世界までは面倒見れないのです。

細かい失敗が多い人だった。そして、失敗しても工夫をせずに、ただ「気をつけます。頑張ります」と宣言して、また同じミスをする。初めは「声が大きくて、礼儀正しくて結構!要領のいいだけの若造よりも信頼できる」とか言っていた上司も、最近はちょっと困っていたようだ。
メールの送信忘れを「グーグル社にプログラムを書き変えてもらいましょう」と言っていたら、それは信頼を無くすだろう。社内のメールシステムがGmailであっても、それはグーグル社へ文句をいう筋合いのものではない。
それと、軽い内容のやりとりの際、文末に、ほぼ例外なく「苦笑」と入れるのは、褒められたことではない。「〇〇さん、送別会の件、お疲れ様です 苦笑」とか、僕はとてもびっくりした。


困るといえば、「やんちゃ自慢」は、正直止めてほしかった。中学生の時に女子更衣室に忍び込んだ、というのは休憩時間に話す武勇伝ではない(いわゆる“やんちゃ”でもない)。

それにしても、細かな窃盗行為が多い人だった。
使いかけのステープラーの針とか、チャック付きポリ袋とか、シャープペンの芯といった「買えばいいのに」という品々をポケットに入れてしまうのだ。何度か注意されていて、でもあまり深刻には捉えていない感じだった。

まあ、なんというか、暑くなったら「冷蔵庫に入った姿をインターネットに公開」しそうな危うさと、オタクの暗さを両立している人だった。

 

最終日に顔を見せず、ただ皆の机に「ママの作ったフルーツ・パウンド・ケーキ」が配られたあたり、実にキャラが立っていて、その点は評価できる。そのフルーツ・パウンド・ケーキに添えられていた付箋に「社員一同様 ママの作ったフルーツ・パウンド・ケーキです。自分はご退職します。ありがとうございました」と書かれていたのも味わい深い。ご退職。
もはや「ゆとり教育」の後の世代のはずだけれど、しかし多くの同僚達からは「ゆとり世代の申し子」として認識されていた。

 

彼は今後、何処に行くのだろう。先週、「グランドキャニオンを観てみたい」と話していた。グランドキャニオンに行ったその後に、どうするのか気になる。グランドキャニオン自体は、どうでもいい(僕も行きたいが)。「いつか、市議会議員になる」とも話していたけれど。

 

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