桜でんぶ考

近所のスーパーマーケットでは、柏餅と牡丹餅と桜餅と、それから今日は恵方巻きを売っている。なんとなく、というか明確に、季節感に欠ける。

だからというわけでもないが、恵方巻きは買わない。太巻き寿司は好物で、こういうお祭り騒ぎに便乗するのも楽しいとは思うが(「多く祝ぐ」のは日本の良き特質だと思う)、どうにも恵方巻きには参加しづらい。煎り大豆とイワシと柊で十分じゃないか、と考えてしまう。大豆とイワシの頭と柊というのは、呪術的な凄みを感じさせて、そういうおどろおどろしい季節行事があったほうが、生活に厚みのようなものが出ると思う。

かつて祖母の知人が「太巻き寿司の丸かぶりなんてものは、関西の商人の旦那衆に伝わる習慣であって、質実剛健な静岡県民のやる事ではない」と苦言めいたことを言っていて、その影響もあるのかもしれない。なんというか、凛とした老女の語る厳しい台詞には、妙な説得力があるのだ。本当かどうかは疑わしいのだが。

そういえば、商店街にできたオーガニックフードの店でも、昨日と今日は五穀米を使った太巻き寿司を売り出しているらしい。たぶん全体的に薄茶色になるのだろう。しかし“でんぶ”はどうするのか気になる。紅麹と茶色い砂糖で作るのか。

桜でんぶは、太巻き寿司の隠れたスターだと僕は考えている。あまり共感してくれる人はいないのが残念。
特に商店街の乾物屋が作る、真鯛を炒って作る品は素晴らしい。色が全くシックではない、あのピンク色であるのも好感が持てる。ぺったりと甘く、魚の加工品とは思えない味なのだが、「鯛できちんと作ると美味しいものだ」と食べるたびに思わせる、ちょっと不思議な逸品(250円)である。

 

今日は曇り空だというのに、とても暖かかった。日中はコートが不要だった。しかしおそらく、この暖かさは長くは続かない。梅も菜の花も咲いてはいるが、毎年この時期に寒暖の差で体調を崩す。特に今夜あたり、用心したい。

 

随分前に購入した「乙嫁語り」の最新刊を読んだ。相変わらず絵が達者。テンポが良すぎて、あっという間に読み進めてしまい、なんとなく勿体無い。というわけでもう一度読み返す。
乙嫁語り 6巻 (ビームコミックス)