オレンジページの心強さについて

良い一人暮らしの為には、雑誌「オレンジページ」を勧める。


衣食住の情報がふんだんに掲載されている。特に食に多くのページを割いているので、自然に料理の幅が広がる。
言葉遣いは平易で、写真やイラストも多い。連載コラムでは、豆知識系のものが読み応えがある。
「包丁が難しいのならばキッチンバサミを使いましょう」といった合理的な提案もある。


レシピに関しては、流行りものから定番のお惣菜、そのアレンジメニューまで網羅する。日常の食事から休日のお菓子作りまで載っている。
僕はこの雑誌で、「コアラのマーチ」を手づくり出来る事を知った。現実的な話をすると、「コアラのマーチ」は買ったほうが楽だけれど、娯楽としてのお菓子作りと考えると楽しい経験だった。
基本を抑えつつも、作れるものは何でも(一般的なキッチンツールで)作ろうとする傾向がある。このバランス感覚は、競合する他誌と違う。


やや浮かれている感はあるが、それこそが明るい一人暮らしに直結するので、慣れるべきだ。「暮しの手帖」は最高の家庭雑誌だが、初心者には重すぎる。
レシピといえば、2人分か4人分、あるいは両方の分量が載っているところも便利だ。「ナンプラーが無ければ醤油大さじ2」といった、材料の代替手段が丁寧に示されているところは、特に地方在住者には親切。


競合誌としては「レタスクラブ」等がある。
確か、レタスクラブのほうが安価だった。しかし比べ読みすると、数十円の違い以上に、目指すライフステージが違うことがわかる。「オレンジページ」の、地に足がついた浮かれっぷりは、値段以上に生活を明るくしてくれるだろう。
明るいといえば「すてきな奥さん」が幸福度が高いけれど、僕は奥さんではないから選択肢には入れない。


衣と住の分野も抜かりはない。季節ごとに、どちらかと言うと仕事量を減らす方向での家事を教えてくれる。
季節といえば、だいたい特集は毎年使い回しされる。これは2年以上の購読をすると気づくだろう。
冬になれば「大根1本使い切りレシピ」が巻頭特集になるし、今の季節は「フライパン1つで出来るスタミナメニュー」が定番。知らず知らずのうちに「旬」の感覚が身につく。何しろ毎年の事なので。
ライターもレシピも毎年変わるが、このサイクルに気づくと多くの人は購読を止める。
そして1年も読み続けていれば、概ね自分の「一人暮らしスタイル」が判るので、そこで購読を止め、他の雑誌、例えば「天然生活」や「Elle a table」や「dancyu」を選ぶのも良いと思う。


ひとり暮らしのカンタンごはん (オレンジページブックス)
この「オレンジページ生活」が気に入っている、しかし毎回の購読は面倒だ、というのならば「オレンジページムック」や「別冊」を買えば、全く戸惑わずに「オレンジページ」を卒業できる。
ただしここ数年の「ムック」に増えている、代替医療系(デトックスや養生法)は、基本的に疑似科学で益はない。そしてそちらの方面を極めたい人にも、代替医療に期待される「おどろおどろしさ」が足りないので、買う必要は無い。
初めから「オレンジページムック」の「一人暮らしの台所」を買ってもかまわないのだけれど、それでは衣住やその他の雑多な情報(100円グッズとカラーボックスの活用法)を知ることができない。
基礎教養のつもりで、初めは「オレンジページ」を買うことを勧める。







といった事を、秋から人生初の一人暮らしを始める友人に伝えたのだが「なんだこの糠味噌臭い男は」という反応をされてしまった。
友人の好きなものは、例えばデロンギのコンベクションオーブンや、ル・クルーゼ琺瑯鍋。そういう品はとても素敵だ(僕も欲しい)。でもたぶん、最初の1月目で買い揃えるものではない。
かといって100円ショップで全てを賄うのも楽しくない。そこで工夫が必要となる。楽しい、浮かれたアイデアの助けが要る。



大学生活の2日目に買ったオレンジページ(その後4年間は買い続けた)は、確かに僕の血肉になっている。かなり薄まってしまったとしても。そして今も、まあまあ楽しく家事をこなしている。
2年目からは明らかに惰性で買っていたが、だらだら読む雑誌としては、かなり実用的だと思う。
だから、良い一人暮らしの為には、雑誌「オレンジページ」を勧める。


半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義 (文春ジブリ文庫)