今日は所用で吉田町へ行っていた。
吉田港のすぐ近く、周りはシラスや干物の加工施設がたくさんある静かな場所を少しだけ散策する。

昼食は港のすぐ前にある「磯善」というお店へ行ってみた。
店の半分は駄菓子屋で、半分はやきそばとおでんの店。昭和の頃でも「昔懐かしい」と言われそうな佇まいのお店だった。

やきそばは、並と大盛りの二種類。
肉とキャベツが目立つシンプルなソース焼きそばだが、少しソースが独特だった。
甘みと酸味が強い。
数日前に読んでいた翻訳小説で「日本式の"ソース"はチャツネでありヴィネガーだ」という記述があったが、確かにそうかもしれないと思わせる酸味。
でもこれがとてもおいしい。
子供の頃に祖父母に連れられて入った店で初めて食べて「世界にこんなにおいしいものがあるのか」と驚いた焼きそば……という架空の思い出を創作できるくらいに印象的な味だった。
決してご馳走ではないが、家で再現するのは難しそうな点で、これはとても良い「外食」である。

おでんは、たくさんの種類から選ぶこともできるし、全部1つずつ盛られたものも注文できる。自分は「たまご」を抜いた全種類を食べた。
だったか。なお「はんぺん」は黒はんぺん*1であり、「肉でん」は豚の小腸を串に刺したものだった。
鰹節の粉が振りかけられていて、静岡おでんの典型といった見た目。
味はしっかりと甘い。自宅で作るおでんは甘くしないため、ちょっと驚いた。

店内には4人がけのテーブルが3つと、外に床几のようなベンチのみ。
そして僕が入店した時には客は3人だけ。
それでも、焼きそばを注文したら30分は待つよう言われた。
どうしてだろうと読書をしながら待っていたが、どうやらずいぶん「持ち帰り」の客が多いようだ。というか事前に電話をして受け取るスタイルが基本なのかもしれない。
厨房では大きめの中華鍋が振られていたので、屋台の鉄板のような量産はできないようなのだ。大量生産もせず作り置きもしないが、一人で厨房を切り盛りしていることもあり、注文の"割り込み"は不可能となっている。
だから、僕のような飛び込みの客の注文は、その焼きそば調理サイクルに合わせることになる。そのサイクルの注文追加タイミングが30分に1回なので、一見して閑散としているような状況であっても、30分の待ち時間を宣言される。
実際はもう少し融通が効くようで、僕の場合は20分程度で焼きそばは提供されたが、でも基本は厨房のサイクルと予約注文状況に左右される。
行列ができるような、あるいは売り切れて早期に閉店するような店ではない。少なくとも平日の昼間は実にのんびりとした雰囲気の店ではあったが、この店にはこの店のペースがある。ちょっと不思議で、とてもおもしろい。
たぶん地元の人にとっては昔からの有名店なのだろう。
「そんなに待つのか」なんて戸惑う人は誰もいない。きちんと待って、あるいは電話予約をして、この店のサイクルに合わせている。
当然ながら、おでんはそれほど待たせない。ただ、焼きそばの完成を待って提供してくれるのは有り難い。
のんびりしているけれど、細かなところが親切なお店だった。
休日に、たとえばサイクリングの途中で立ち寄ってみたいお店である。
「磯善」はすてきなお店だった。また行きたい。








