今日は良いことがあった。
無料の「パラダイス」を食べることが出来たのだった。
以下、詳細を記す。
今日は早朝から富士宮市へ行っていた。突然のトラブルに呼び出されたのだ。
我が家から富士宮市へは遠い。休日ならば日帰り旅行となる距離だ。
そういう場所にトラブル対応で赴いたので、訪問先の方々はずいぶんと感謝してくれた*1。
昼前にトラブルが片付いたところで、雑談の機会があった。
「せっかく富士宮市へ来たのだから、御当地グルメの富士宮やきそばを食べたい」と伝えたところ、それならば徒歩圏にすてきなお店があると教えてくれた。
「富士宮やきそばなら、『ヴィーナス』の『パラダイス』がおすすめです」と一人が言い、そうだそうだ最初はパラダイスだと皆が頷く。僕が食べたいのは富士宮やきそば、なのにパラダイスなるものを選べと言うのだ。
そのうち昼食の時間になったため、総務の方々と、その「ヴィーナス」へ行くことになった。
富士宮やきそばの専門店や鉄板焼き、お好み焼きの店かと思ったら喫茶店だった。
店名は「ヴィーナス」。国道を通っているときに看板が気になっていたお店だ。
見た目は古い喫茶店。
店名のとおりヴィーナスの彫像が店内に飾られている。
ウミガメの剥製やシャンデリア、身長を超える高さの中国の壺、油絵など「ゴージャスっぽいもの」が古い店内にたっぷりと置かれている。ガラスのテーブルにはコーヒー豆が仕込まれていた。
いかにも昭和な喫茶店だが、広く、そして雑多で豪華なのだった。作ろうと思って作れる店ではない。
席は1人用から大きなテーブルまで色々あって、点在している。
僕を連れてきてくれた人達は、「昼食は別れたほうが落ち着くでしょう」と、それぞれ別の席に行ってしまう。
僕は食事の後からは別行動なので、確かにそのほうが気安い。
とてもありがたい配慮である。気心の知れた相手を地元の美術館に連れてきたような気配りをする人達なのだった。
さらに、後になってわかったが、僕のぶんの食事代も支払ってくれていた。
「パラダイス」はこの店のなかでは高めのメニューだったため、これもうれしい*2。
どうやら、「仕事のあとの会食or酒の席」みたいな感覚で、こうして富士宮やきそばなどで歓待する文化がある会社のようなのだ。日本の株式会社も多種多様である。
とにかく、この「ヴィーナス」で勧められたのが「パラダイス」である。もちろん僕は「富士宮やきそば」ではなく「パラダイス」を注文する。
そして届いた、大きなお皿に富士宮やきそばとピラフが盛られたものが「パラダイス」。どのあたりが"楽園"なのかはわからないが、なかなかにゴージャスである。なんとなく「名古屋感」がある食事でもある。
お昼の時間帯は、ここに無料の飲み物が付く。僕はアイスコーヒーを選んだ。
富士宮やきそばは、麺が太めで甘いソース味。量はたっぷり。サラダを隔てて盛られたピラフは、いかにも喫茶店のピラフといった味。小学生の時に初めて食べたピラフを思い出した。
なるほどこれがパラダイス…と感心していたところに、先ほどの総務の方々が通りかかる。そして「ごゆっくりー」と先に帰ってしまった。大きなお店かつ少人数の個人経営なので、常連である彼ら彼女らは、この「パラダイス」のような時間がかかるメニューを注文しなかったのだろう*3。
ちなみに「宇宙セット」なる品も存在する。
これは、富士宮やきそば＋ハンバーグ&ライス＋サラダのセットメニューだ。やはり巨大な皿に盛られている。
「カレー焼きそば」は、カレー味の焼きそばではなくて、カレーと焼きそばのセット。どうして複合化するのか理由を聞いてみたくなる。
この富士宮市と、今日お世話になった会社は、近い内に再訪する予定がある。
ならば次は「宇宙セット」を食べるべきなのだろうか。
でも、メニューにあったサンドイッチも良さそうだった。
こういう昭和ゴージャスなお店なのに、働いている人達はあくまで控えめ*4。店内は清潔で、アイスコーヒーはおいしかった。
「富士宮やきそばなら、『ヴィーナス』の『パラダイス』がおすすめです」で始まった今日の昼食は、思いがけず充実したものになった。
他にも色々あったのに、書くべきことは「ヴィーナス」と「パラダイス」のみ。そういう日もある。
