午前中は海に行っていた。
正確には、海の近くに行ったので、休憩がてら海沿いを歩いた。
午後には大学構内にいた。
自分とは無関係の人達と施設が集まっている大学というのは、役所や企業とはまた違った雰囲気がある。
すれ違う人達の9割が社会人的ではないところがなんだか新鮮だった。病院やショッピングモールとも違う不思議な場所だ。すれ違う人達がお互いを客やユーザーといった対象に見ていないけれど、大騒ぎしているような無礼な人もいない。大人になると、こういう場所は滅多に無い。
ところで今日は移動にレンタカーを使った。
仕事の関係で自分の車よりも荷台の広い車が必要だったのだ。日産のNV200バネットという車。商用車なので今まで名前を意識したことがなかった。
街ではよく見かける箱型の車で、海外では荷室の広さと安さとコンパクトな外寸を評価されてタクシーに採用されているのだとレンタカー会社の人は言っていた。確かに海外旅行中に空港で見かけた黄色いタクシーがこの車種だった。
しかし日本の感覚だと、それほどコンパクトではない。
ハイエースなどよりは小さいが、この車をコンパクトカーとは呼ばないだろう。
走らせてみると、とても運転が楽な車だった。
視点が高く、窓が広くて感覚が掴みやすい。ミラーも見やすくて、配達などで壁際に寄せるのも簡単そうだ。
もちろん荷物はたくさん乗る。
燃費や快適装備を考えると自家用に持つつもりはないけれど、趣味の道具が大きな人などには重宝するのではないだろうか。
前席は少し前の乗用車のようだが、後ろはとても簡素。子供の頃に親が乗っていた箱型の軽自動車を思い出した。
この車に乗ったことを後で知人に伝えたところ、「運転は楽しかったか」と聞かれた。
残念ながら、僕はこのNV200バネットについては、楽しさも難しさも何も覚えていないのだった。「運転は容易だった」「簡素だが居心地の良い車だった」とは言えるけれど、いわゆる乗り味や挙動についてはわからない。もっと言うと、自分の愛車や親の車、知人の車でも、よくわからないのだった。せいぜい「高い車だなあ」とか思うくらい。
車の運転に関しては、本当にコメントが難しい。ビールの味と同じく、興味が無いのだろう。