普段より早く目が覚めてしまった。
昨日の夜に読んだ小説で登場した、スパイス入りのホットミルクを作ってみた。なんだかとてもおいしそうに思えたのだ。
牛乳にシナモンとクローブ、ほんの少しだけスターアニスも入れる。グラニュー糖で薄く甘くしたら出来上がり。
しかし、今朝は既に暑く、熱い牛乳は嬉しくない。朝食にも合わない。
鍋には牛乳の膜がこびりついて洗うのが大変で、どうして忙しい朝にこんな面倒なことをしたのだと後悔した。
ばたばたと家を出てから、移動中はぼんやりと眠い。これがスパイス入りのホットミルクの効能(仕業)だとしたら、気の迷いがマイナスにばかり働いたことになる。
好奇心は猫を殺す、の亜流といえよう。
今日の訪問先では、お茶とシュークリームをいただいた。
会議室、というよりも応接室に近い部屋で食べるわけだが、シュークリームというのは綺麗に食べるのが難しい。
自分も含め、年齢も勤め先も仕事内容も違う4人がシュークリームを囲んで、なんとなく牽制しあう形になる。
子供の頃にNHKで見た「OLさん*1向けビジネスマナー」では、シュークリームの上半分をむしり取り、クリームを掬って食べていた。そんなことができるとは思えないが、テレビではそんな食べ方をした後に「さすがアケミ女史はマナーができておりますなあ」みたいに上司が感心し、事務所の皆で笑いあっていたのだ。おそろしい時代である。
そんな昭和的なマナーで食べることは諦めて、注意深く端から小さくちぎって食べたのだった。やってみるとわかるが、かぶりつかないこと、大きな塊で扱わないことを守れば、シュークリームは美しく食べることができる。完璧とは程遠いが、100点満点で70点の食べ方ができるだろう。
しかし、そもそもフォークも無しに綺麗に食べることなんて無理だと思う。
フォークさえあれば、上等なシュークリームはきちんと小さく食べ進めることができるものだ。
他の人達は、クリームで手を汚すことも全く厭わないようだった。
たぶん、クリームをこぼしながら「シュークリームはこれが困るよね。でもおいしいよね(笑)」と盛り上がるのが正解なのだと思う。
しかしこの部屋に集まった4人のうち誰一人として、そんな対人スキルを持っていなかった。
僕がウエットティッシュを「あ、よかったらどうぞ」とテーブルに出したのが、最も社交的な行動だった。
クリームで汚れた手でウエットティッシュの包装を掴み、ティッシュを使った後もそのままの人がいたことは忘れない。ウエットティッシュをかばんに戻す時に、再び手が汚れてしまったのだ。
世の中には想像力が足りない大人がいる。僕からしたら、準狂人である。
ジャガイモときゅうりを使い切りたくて、夕食にポテトサラダを作ってみた。
他のおかずや汁物を用意しながら思いつきで始めたのだが、なかなかに面倒だ。小鉢に少しだけの惣菜にしては、工程が多い。簡単な料理だが、中年と老人の2人暮らしでは「買ったほうが手っ取り早い」のだと気がついた。半年に1回くらい、同じことを気づいているはずだ。
そもそもポテトサラダが好きなわけでもない。マヨネーズが苦手なのだ*2。