昨日の三重県日帰り旅について書く。
三重県の菰野町、御在所岳の麓にあるカフェ「Snug」が最初の目的地。
ここは三重県に住んでいた時にお気に入りだったお店。
早朝に出発すると、この充実した朝ご飯に間に合う。イングリッシュ・ブレックファーストを丁寧に、そして豪華にしたようなセット。パンも、パンに付けるジャムやクリームの類も、そして飲み物も選べる。
古いものをセンスよく散りばめた、本当にすてきな場所。
このSnugからはずいぶんと離れている名張市の赤目四十八滝と水族館が、今回の目的地。Snugはベースキャンプというか「その土地に行ったら欠かせない場所」なのだった。
有料道路やバイパスを乗り継いで1時間と少しで、赤目四十八滝に辿り着く。
この景勝地そのものは、三重県に住んでいる時に話に聞いていた。県民ならば多くの人が子供の頃に訪れる観光地…みたいな印象。
観光地としては古くて地味、しかし綺麗な自然が楽しめる場所なのだという。
なにしろ古くて地味な昭和っぽい観光地である赤目四十八滝なので、最近はずいぶんと衰退していたようだ。
昔からオオサンショウウオを展示する「オオサンショウウオセンター」があったが老朽化し、土産物屋や旅館がそれぞれ駐車場を抱えて揉める。そういうよくある"残念な観光地"からの脱却を目指し、ここ数年で大きな変化を遂げた。
オオサンショウウオセンターは赤目四十八滝の自然とサンショウウオに特化した小さな水族館に整理し、全ての駐車場は無料化、その代わりに水族館と赤目四十八滝の管理費としての料金を取る。そういった改革を以前どこかで読んだのだった。
実際に訪れてみて、これはなかなか良い改良に感じた。
観光地の有料駐車場というのはどうにも信用できない。遠くて安いのなら仕方がないが、どこに停めても「ぼったくり」じゃないかと思えることもあって、少額の出費でも気持ちよくない。それが入山料とセットで実質的な一律料金となっただけで、ネガティブな印象は消え去る。
余談だが、この赤目四十八滝は忍者修行の地らしい。そういうアクティビティも用意されているようだが、平日の昼間ということで看板以外にはNinja要素は少なかった。
水族館は、赤目四十八滝の入場ゲートとしても機能している。この水族館の入口で料金を支払い、水族館をくぐり抜けて滝と渓流のエリアへと入るわけだ*1。
水族館自体は、さらっと見ていけば5分もかからない。
渓流に住む魚やカエル、イモリなどの水槽が並ぶ。植物や地形についてのパネルもある。そして最後にオオサンショウウオが数匹、展示されている。
それだけだ。
他所の水族館では、もっと明るく見やすい水槽で、よく動くオオサンショウウオを見ることもできる。オオサンショウウオに愛想は期待していないが、筒に入って尻尾だけ出している姿など、ほとんどの客は素通りするだろう。
しかし建物の横には文句なしの渓流が流れ、これから先には滝や沢が待っている。そういう場所で、この土地で捕まえたオオサンショウウオを見るというのは、やはり特別なことだと感じた。
でもまあ、感激した自分でさえ10分程度で水族館は通り抜けてしまう。
その時には「こんなものかな」と思ってしまった。
でも、その後の赤目四十八滝がすばらしくて、なるほどこの水族館は自然とセットなのだと納得したのだった。
なにしろ四十八滝である。
渓流の作る谷底をひたすら奥へ進むだけだが、数分ごとに滝が現れる。
水はあくまで清く、風はひんやりしている。
急な階段などはあるけれど、高齢者でも進める道がほとんど。コンクリートで固められた歩道は、とても歩きやすい。
自分は最奥までは進まなかった。
時間があれば、ここで半日は遊べただろう。こんなに緑が深く、魚やトンボがたくさんいて、綺麗な水と空気に囲まれた場所は珍しい。少なくとも、車で手軽に行ける"自然"としては、とても高い水準にある。
大きなカメラで写真を撮りまくっていた人達がいたのもうなづける。
もう少しだけでも都会に近ければ、大混雑していてもおかしくない景勝地だと思う。
この赤目四十八滝を堪能した後には、少しだけ名張市を自転車で巡った。
同じ三重県ではあるが、僕の住んでいた四日市市や桑名市とは雰囲気が違う。チェーン店の種類も違う。スーパーマーケット「ぎゅーとら:牛虎」などに、思わず立ち寄ってしまった。
菰野町に戻った後は、再び「Cafe Snug」へ。
裏の駐車場に車を置かせてもらって、菰野をサイクリングする。懐かしい場所は様変わりし、見慣れない店が増え、しかし(なにしろ田舎なので)変わらないところも多い。起伏の多い土地なので電動アシスト自転車が楽しい。
別荘地のなかでニホンザルの群れを、そして河原ではシカあるいはカモシカの喰み跡を見つけた。
Snugでのおやつはレモンケーキ。それにたっぷりのコーヒーも注文した。
多めのコーヒーが選べるのは嬉しい限り。数種類ある甘いもの、何を食べてもおいしいのはわかっているが、それでもいつも悩んでしまう。三重県に住んでいた時ならば「明後日に、また来ればいい」と思えたのだが、さすがに三重県と静岡県では通うわけにはいかないのだった。
ほんの少し手を入れた自転車は絶好調。
1日過ぎた今日は筋肉痛がほんのりきついが、それでも楽しい三重県訪問だった。
夏になったら、また行きたい。
*1:土産物屋やカフェに立ち寄るだけなら駐車料金は無料ということになる。