映画「ゴジラ -1.0」

今日は半日だけ休み。
午前中に映画「ゴジラ-1.0*1」を観てきた。

もしも映画が投げ銭制度だったとしたら、とても悩んでいただろう。
封筒を2つ用意して、「ゴジラ」と書いたほうに千円札を3枚、「シナリオ・人間ドラマ」の封筒には2800円分の請求書を入れたい。
そういう歪な映画だった。


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特撮・VFXは申し分なかった。
あの決定的な敗戦直後に始まるゴジラ襲来というのは、実に絵になる。旧軍の兵器とゴジラの組み合わせでオタクが夢想する「絵」が、これだけの品質で続くのは正直なところ予想以上だった。
かつての怪獣映画といえば「特撮だから」と安っぽくなるのが当然、かといってハリウッド的な生物/モンスターなリアルを求めると何か違う…と、質に関しては目を瞑るのが当たり前だった。
シン・ゴジラでは「動かないゴジラと、動きまくる米軍&自衛隊&官僚」という図式で"リアリティ"を高めたが、王道とはいえなかった*2
それが本作では、きちんと動くゴジラが、しっかり街を破壊する。
まだ高層ビルが無い時代が舞台だから、ゴジラもさほど大きくない。そのサイズ感も、化け物であり自然災害であり生物である対象として、ちょうど良かったように思う。


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シナリオや人間パートは最悪だった。
昨今の邦画の悪いところを並べたようなドラマだった。
いきなり叫ぶし、少年バトル漫画並みに人は死なないし、なぜこんな事を今いきなり言うのだろう?ってセリフは山盛りだった。
命をかけた戦いが「もう少し細部を詰めたほうが良いのでは?」と思わせる内容なのも見ていて困る。大勢の大人が人生をかけているのだから、馬鹿では現実味が薄れてしまう。そもそも、人間も組織も「そうせざるを得ない」とするまで理屈の外堀が埋められないままなので、「ちょっと考え無しでは」と思う場面が多い。理屈が通らなくても距離や位置関係や物理法則がいい加減で話が進んでしまう事も多いのだが。

場面によって、言葉使いが平成後半の若者みたいに変化するのも引っかかる。

そういう細部は置いておいても、荒唐無稽な活劇ではなくて、号泣目的のじめっとした演出が延々と続くのは本当につまらなかった。
「次の場面では、こういう事をして泣かせにかかるだろう」と予想した通りに、話が進むのだ。物語に驚きを求める自分としては、この作品の人間ドラマ部分は実に退屈だった。感動させるためのモチーフやアイテムの扱いも雑すぎて鼻白む。

こんな風に戦争を語っていいものだろうか…とさえ思ってしまった。

 

果たして、ここまで酷いシナリオの映画を観ることで興行成績に寄与してしまって良かったのだろうか、とさえ考えてしまう。

でも、VFXは素晴らしく、「眼福」だったのだ。
それがなんだか居心地が悪い。戦車や戦闘機に興奮するオタクである自分を、一歩離れて見てしまった感じ。怪獣部分が最高で、お話の酷さが我慢ならない事が、どうにも引っかかっている。


人間の登場する部分をカットした、ゴジラ100%バージョンが見たい。

 

お題「好きなシリーズもの」

*1:ごじらまいなすいち:ダサいタイトルだ。

*2:でも大好物。シン・ゴジラは自分の中で最高の怪獣映画の1つだ。

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