高松市の市街地からちょっと西、香東川沿いを自転車で散策してきた。
おにぎり型の瀬戸内的な山をひとつ挟むだけで、中心街とはまるで雰囲気が違ってくる。
山には柑橘の木々が育ち、斜面には別荘じみた家が建っている。午後の明るい時間ということもあって、ぽっかりと明るい、まるで春が来たような雰囲気だった。
今日の目的地は水道資料館。
明治大正期に上水道施設として作られた建物群が、水道局の敷地に残されている。昨年に修復とリニューアルが完了し、一般公開された。
建物は古いが、ペンキは塗りたて、そしてリフォームされて研修や会議にも使えるようになっている「半ば現役」の事務所と、使われなくなった設備や解説パネルがあるポンプ室、そして倉庫がある。
古びた趣は感じないけれど、とてもかわいらしい、良い場所だった。洋館やレンガ積みの建物が好きな人だったら楽しめると思う。
なにしろ水が貴重な高松市。
上水道が整備されるまでは、チフスやコレラといった伝染病を一通り経験している。年表を見ると凄まじさがわかる。文明開化と並行してここまで衛生状態が悪化していたとは。
僕が住んできた土地は、基本的に水資源が豊かな場所だった*1。だからこの高松市の展示を見てから、上水道の切迫感はより強く感じることになった。
説明をしっかり読んでも20分もかからない小さな展示だが、それでも知らない土地の近代化遺構は面白い。
近くの河原では、ラジコングライダーの飛行が行われていた。
ラジコン飛行機とは違う優雅な飛び方。いかにも“滞空”な、風を捉えた飛行は見ていて飽きない。あれは自分でできたら気持ちが良いだろうなあ、と思う。
海まで到達してから同じ道を引き返して車に戻り、帰宅。
途中で寄ったドラッグストアでは、マスクや消毒用アルコールに加えて、洗濯機の洗浄剤や漂白剤、ポカリスエットやビタミン剤までが「特設売り場」に積まれていて、便乗商法が凄まじい。「コロナウイルスフェア」とは明示されていないけれど、つまりはそういう事だろう。
実際、いつのまにか「風邪にはポカリスエット」が僕たちの国では当たり前になった。
「風邪には水分を摂らないとね」ということで、お見舞いや、寝込んだ時の飲み物の定番になっている。
しかし普通の風邪で、水分の吸収速度なんて問われることはまず無い。熱を出して寝込んでいても脱水症状にならない。普通の水で十分なのだ。
ある意味で、経済的に小さなマイナス、つまり無意味な無駄とも言える。
しかし医者はそんな事は指摘しない。水分摂取のきっかけにはなるし*2、身体に悪いわけでもない。
全体的にはわずかにベネフィットがあるから、大塚製薬の戦略が定着したのだろう*3。平成-令和の時代にもこんな「土用の丑の日には鰻を食べよう」みたいな話があるのだ。22世紀の民俗学者が面白がると思う。
「経口補水液」はその上位版だ。大塚製薬は、本当にそういった宣伝が上手い。
さて、明日以降の常備菜も作ったし、洗濯物も畳んだ。
いくつか印刷しなければならない書類があるが、プリンターの調子が悪い。こういう時は寝るに限る。