買い物に行ったついでに、有名な讃岐うどん店*1「」へ行ってきた。
いわゆる讃岐うどんブームの頃に「土間みたいなところで、老夫婦が切り盛りしていて、薬味まで客が用意する、ディープなお店」としてこういう店が取り上げられていた。
確かに見た感じは、原住民しか近寄らないタイプの店だ。
途上国だと、ガイドさんが「あそこは駄目」と言いそうな見た目だ。
でも大丈夫。香川県は基本的に日本国である。文明的なのだ。
日本円も使えるし、郊外にはイオンだってある。
この店も、見た目は小さくて全体に開けっぴろげで地元民専門のようだが、別に排外的な雰囲気ではない。というか、近くの人も遠くの人も県外の人もそれぞれきちんと歓迎してくれるのんびりした感じが漂ってくる。観光地の飲食店の百倍くらい居心地が良い。広い第2駐車場だってある。
店の風景は完全に田舎だけど(orだから)道の反対側にはミニ・ストップもある。静かな土地に溶け込んだ小さなお店だった。
店は狭い。
カウンターとテーブルの部屋とは別に、ガレージみたいな半屋外の場所にもテーブルがある*2。
奥には厨房というか、セルフ式のサイドメニュー選択エリア兼お金のやりとりエリア兼うどん打ち台兼食べ終わった丼を返すゾーンの部屋がある。店主ご夫婦はここでお客さんとやりとりする。
うどんのメニューは2つ。「大」と「小」のみ。
大か小かを問われるので答えると、丼にうどん玉が入った状態で渡される。
これで「ぶっかけ肉うどん(冷)」も「熱々のきつねうどん」も作ることができる。
つまり、温かいうどんが食べたい人は、うどん玉を受け取った後に、すぐ側の鍋でさっと麺を温めればいい。近くに蛇口付きのステンレスタンクがあって、ひとつは温かい汁が、もう1つは冷たい汁が入っている。
さらに壁際には、揚げ物や茹でた豚肉、甘く煮た油揚げなどがある。そして生醤油や各種の薬味もあるので、適宜これらを組み合わせて自分だけのうどんを作ろう!という訳だ。
セルフ式の讃岐うどん店は慣れたが、セルフにも程があると思う。
すぐ横では店主さんがうどんの生地を捏ねている。そして僕は、生姜をすりおろしている。
お店のご夫婦は2人で会話を楽しんでいて、こちらには基本的に介入しない。最低限のレクチャー(はい、小ね。温かいのはここで茹でてね)しかしない。それが心地よい。ここはワークショップではないのだ。讃岐うどんを中心にした店と客が織りなす一期一会のインスタレーションが、そこにはあった。
このうどんがとびきり美味しい。
僕は今まで「不味い讃岐うどんの店」に行った記憶が無い。修学旅行で金比羅さんに行った時に初めて食べてから今日に至るまで「これは失敗だった」という店がひとつもない。好みに合う合わない、店員の態度、等はあるにせよ、讃岐うどんは基本的に美味しい食べ物だと思っている*3。
そういう味音痴の自分が、特別に美味しいと思ったのだから、ちょっと驚いた。なるほど特別ってあるものだなあ、と思ったし、食べ終えてからもその変な感動は続いた。あれなら「大」サイズを注文してもぺろりと食べていただろう。というか次はそうする。
今も「今度行ったら、どんなうどんを作ろうか」と考えている。
今日は冷たいかけうどんに生姜と葱と昆布の天ぷらを載せた*4。
「ここは醤油と生姜がいい」と格好良い事を言っていた常連さんがいたので真似してみたい。
ちなみにこの店、代金は食後に支払う。つまり自己申告制のセルフサービス。食べたものを誤魔化す人がいない世界。文明国かくあるべし。
ただ自宅から遠いのは困る。
他の土地に住んでいた時は車で30分や50分の移動は日常だった。今はかなり中心街に近いところにアパートがあって、郊外の量販店もわりと近い。1年経たずに、この狭い町に慣れてしまった。車に乗ってわざわざ遠くに行く、というのがとても億劫になっている。
香川県で嬉しいのは朝夕の渋滞が穏やかなこと。実家の周辺に比べたら天国である。だがそれも慣れてしまうと思う。
ともかく、今日のうどんは美味しかった。
そして夕食も讃岐うどんを食べた。
これは賞味期限の問題で冷蔵庫にあったうどんを食べる必要があったため。
茹でた小松菜や自作の肉味噌で適当に作ってみた。
いかにも独り暮らしのアレンジ料理、担々麺風のそれは普通の美味しさだった。昼のあれは本当に美味しかったと思い出しながら、でも普通のうどんもきちんと楽しめた。
神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。
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