つけめん
前に仕事でお世話になった方から連絡があった。
「近くまで来た、海老つけ麺を一緒に食べよう」とのメッセージ。
急いで支度をして、お店で待ち合わせて「海老つけ麺」を食べて、解散する。
この人の連絡はいつも明瞭だ。
先日は「炒飯と餃子を食べに行こう、餃子は2皿食べたい」というものだった。
これくらい単純明快だと、自分の食欲への刺激も強い。猛烈に、炒飯と餃子を食べたくなってしまった。他のものは要らない。今までの人生で餃子を2皿食べた経験は無いけれど、素晴らしい事のように思えてくる。
幸か不幸か、その日はもう食事を終えた後だったため、炒飯と餃子を食べることはできなかった*1。
今日だって、僕の頭の中には「つけ麺」なんて考えはまるで存在していなかった。昼にはトーストとキャベツ(酢漬け)と、あと何かを適当に食べるつもりだった。そして食後にスモモを食べるつもりだった。
ともあれ親切な人である。
静岡で働いていた頃に仕事で関わり(ほとんどメールとテレビ会議)、四国に引っ越してから数回会っただけ、そして四国では仕事の関わりがほとんど無い人なのに、こうして暇があると誘ってくれる。根っからの兄貴分というか「下の立場の人間とカジュアルなご飯を食べる」行為が日々の生活に染みついている感がある。
そんな人なので、誘われて出かけた時には、つい同じものを注文してしまう。本人は「なんでみんな俺と同じものを頼むのか?」と首をひねっていた。自分以外の人達も僕と同じく、注文が重なるらしい。
「言霊ですよ」と適当に言っておいたが、大雑把に言えばまさに言霊、言葉の力である*2。情報的な麻薬と言っていい。
みたらしだんご
役所での手続きを終えて、帰宅途中にスーパーマーケットに立ち寄る。失業者というのはなにしろ暇なので、必要なものだけを(例えば塩素系漂白剤と鶏卵とリンゴ酢を)買うためにお店に行くことができる。まとめ買いの必要がほとんど無い。
で、その時に「みたらし団子」を買った。100円で3本入った、大手メーカー製の、とにかく安いブリスターパック入りの定番品*3。予定に無い買い物だ。
家に帰ってコーヒーを淹れて、おだんごを食べて、そしてその後に“何か”をしようと考えて、カゴに入れたのだ。
だが今、団子を食べ終わった後に、その“何か”を思い出すことができない。お団子とコーヒーの後だから、何かしらの厄介事、面倒な作業だと思う。景気付け、自分への(事前)ご褒美であるはずだ。
今のところ、喫緊の課題(提出書類とかフリーランスのお仕事)は無い。でも、片付けなければならない雑事は多々ある。
仕方がないから、書類の封筒や、読んでおくべき本や、作業中の工作や、家事を、今から部屋にずらりと並べていこうと思う。
「部屋全体を使ったタスクの『見える化』」というと、意識が高く感じられて素敵だ。実際は、放置した諸々、自分の駄目な部分を床に置くだけの、やらなくてもいい作業なのに。
たぶん部屋の半分以上が、警察の押収品公開か、出来の悪い現代アート*4のような光景になる。
もしかすると、みたらし団子を食べて、コーヒーを飲んだ後は、この作業をするつもりだったのかもしれない。
作業中に思い出せたら良いのだけれど、もしみたらし団子購入の理由が「最近食べていなかったから」とか「みたらし団子とコーヒーの相性を知りたかったから」だったらどうしよう。
ど忘れというのは本当に怖い。唐突な人生の欠落である。
まあ、そういう意味では寝ている時だって欠落はしているわけで、ドーナツにおける穴みたいなものだと考えれば受け入れるしか無いのかもしれない。記憶だけが人生だとしたら、音楽でいう無音部分みたいなものだ。
ところで、穴の大きすぎるドーナツは可食部が減って残念だが、かりっとした部分が増えて僕は好きだ。
- 作者: ビルブライソン,Bill Bryson,高橋佳奈子
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ガラパゴスTシャツ
ガラパゴス諸島への旅で買ったTシャツが低品質でがっかりしている。
あの「ダーウィン研究所」で買ったオフィシャル品。買った時は、レジのお姉さんも、ガイドのお兄さんも、すごく喜んでくれた。スペイン語はわからないが、「このTシャツの売り上げの一部が、研究所の活動に使われるのだ。さっき見たゾウガメのベビー達を君が育てることになるのだ」みたいな話をしてくれた。ガイドさん自身も、この研究所のメンバーなのだから喜ぶのは当然だが、それにしても熱烈な反応だった。ついでに数ドルを募金箱に入れたらさらに大喜びした。動物好きしか訪れないような島だが、募金をする人は少ないらしい。日本人は募金が好きで有難い、みたいな話をしていた(と思う、スペイン語と英語が混じっていて英検4級保持者には難しすぎた)。
3回ほどの洗濯でTシャツの裾から糸が出てきた。
布自体はしっかりしている。
高校生の頃に輸入古着屋さんで買ったロックTシャツを思い出す。とにかく縫い目が弱いのだ。
残念がっていても仕方がない。
裾に関しては、暇な時に縫い直そうと思う。ミシンは無いが、Tシャツ1枚ならなんとかなるだろう。思い出の品だ、大切にしたい。
それにしても、今さらながらユニクロなど最近のファストファッションの製品には驚かされる。
裏地の縫い付けなんてずいぶん大胆に簡略化されているけれど、きちんと長持ちする。数年着ているといきなり分解を始めることはあるけれども、最小限の、見た目は雑な設計でも、きっちりと日常使いができている点は凄い。縫製もそうだが、布だって10年前より薄く軽く安くなっているのに所要の目的は果たせている。衣服は工業製品なのだなあ、と実感する。
世界遺産 一度は行きたい100選 南北アメリカ・オセアニア (楽学ブックス)
- 作者: 小林克己
- 出版社/メーカー: ジェイティビィパブリッシング
- 発売日: 2012/07/30
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