インフルエンザの社内パンデミック

今日は暇だった。
隣の部署でインフルエンザが流行していて、通常業務ができない状態になったのだ。その部署の人達は、本来ならば年末に行う仕事(具体的に言うと、大掃除)を済ませていた。仕事の多くを彼らから受けている僕達もまた、連鎖的に暇になった。とはいえ、やるべき仕事は溜まっているので、ぼうっとしているような時間は無かった。

この職場の人達は、インフルエンザに対して、おそろしく無防備である。
秋の終わりに予防接種の斡旋があったのだが、会社から補助金が出て、業務時間中に打てるのにもかかわらず、接種率は1割程度だった。僕の所属する部署では、12人のうち2人しか接種していない。

「どうせ“型”が合わなければ無意味だから」とか「インフルエンザの経験はあるが、大した事が無かった」とか、あるいは「昔、注射して死んだ人がいる」などと、意見は色々ある。「製薬会社と政府の陰謀」なんて説、実生活では初めて聞いた。

 

しかし、今月は、1年と半分をかけたプロジェクトの総仕上げの時期なのだ。この1ヶ月の仕事で、数億円の投資をするかどうかが、決まる。昨月までは、その準備期間だった。
だったら、注射の1本くらい、打っておけばいいのに。僕はそう思う。
海外出張の際には、全員が同じ食事や飛行機にならないようにする決まりがあるのに(食中毒や墜落事故対策)、肝心の日常業務でのリスク管理ができていない。
実際に、今日と明日のスケジュール遅延で、大雑把に計算して数千万円の損失になるらしい。

毎日のように「最近は朝夕が寒いです。健康管理を徹底して下さい」とか「自己管理は社会人の基本です」と言っている割には、ずいぶんお粗末なものだ。

さらに言うと、「健康管理」を、「健管」と略す社内文化も、どうかと思う。なんだかフェールラーベンのデイバッグを連想させるし、あるいはどこかに健康を管理する部署があるのかと、つい最近まで勘違いしていた。「健管ヨシ!」じゃないよまったく、と思うけれど、もちろん口には出さない。
個人的には、インフルエンザを「インフル」と縮めるのにも抵抗があるのだが、それはまた別の話。

こういう職場だから、インフルエンザが治っていないのに出社してくる人が、たぶんいる。たぶんというか、上司の話では、「いくら注意しても、必ず1年に1人は出てくる」らしい。そういえば、風邪でも無理して出社する人は、ちらほら見かける(迷惑ですね)。
今まで勤めてきたところでは、この「インフルエンザを職場に持ち込む」なんて事は、厳重注意どころの話ではなくて、何かしらの処分(減給や訓告)の対象になる、かなりシリアスな“事件”だった。社内で窃盗をするとか、設備を故意に壊すといった類の、悪質と看做される行為だった。もちろん、そんな人は、一人もいなかった。インフルエンザって、そういう病気だと思っていた。

 

ずいぶん大きな会社だけれど、妙なところがちぐはぐなのだ。
今日は産業医の先生が、怒りのメールを全従業員に送信していた。あれだけの感情を込め、しかし全体としては抑制が効いている連絡メールを読んだのは初めてかもしれない。要約すると「手を洗え。マスクをしろ。栄養のあるものを食べ、夜更かしはするな。ロビーと社員食堂に消毒アルコールを置いたから使え。疑わしければ病院へ行け」という内容なのだけれど、随所に会社の風土や気質を批判するぴりりとした表現があった。気に入ったので、削除せずに保存しようと思う。このメールは、今日の収穫。ここで紹介できないのが残念だ。

 

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