役所務めの友達から「焼津の海岸に謎の生き物が打ち上がったよ」という写真付きのメールが来た。暇だったので行ってみた。
どんな生物なのだろう?とわくわくしながら、目的の浜へ向かう。
海岸の端、堤防とテトラポットの辺りに人だかりができていた。
謎の生き物は、1.5mくらいのハモ(鱧)だった。
下顎から腹部にかけて腐り落ちていて、ヘビか首長竜のような印象。牙は大きく鋭い。
浮き袋だろうか、胴の後ろ半分にある袋状の器官が大きく膨れていたため、ちょっと魚には見えない。
体色は黄色っぽい茶色。鰭もほとんど残っていない。
全体に水を吸ってふやけていた。
見物人のなかに魚に詳しいおじいさんがいた。多分、元漁業関係者。
この人が他の人に解説をしていた。僕と同じく、ハモという見立てだった。
もちろん静岡にもハモはいるのだろうが、地元で見たのは生まれて初めて。
三重に住んでいた頃、魚屋で湯引きされたものが売られていた。京都の錦市場でも見た。
実はまだ食べたことがない。大変美味しい魚らしいので、三重にいた頃に買ってみれば良かったと、少し後悔している。
「謎の生き物」と言われ、意味深なシルエットの写真で盛り上がっていたので、正直なところ少しがっかりした。
深海魚や海棲哺乳類の類だと期待していた。
それでもまあ、珍しい体験だった。