先ほど見つけた記事。
『EM菌でプール掃除が楽に（朝日小学生新聞）』
EM菌（やEMボカシ）といえば有名な似非科学商品。
学校も朝日新聞も、もう少し考えて取り入れてもらいたいものだ。
人間に有用な微生物を選択してプールに入れたところで、生物相がそう簡単に変わる訳が無いのはわかりそうなものだ。
大体、乳酸菌や酵母は土にも水中にもいくらでもいる。増えないのにはそれなりの理由があるのだ。
一般に、微生物の場合は、環境さえ合えば爆発的に増えるので、菌の補充というのはあまり役に立たない。
例えば、浄化槽などは、使い始め以外に種菌を入れるようなことはしない。
それでもきちんと汚泥の分解はできている。
掃除の時に臭いのは、プールが嫌気的環境だからだと思う。
似たような環境の設備が職場にあるが（もっと有機物の堆積は多い）、別にEM菌など入れなくても、数日前に何度かかき回して酸素を供給してやるか、（可能ならば）水換えを一回するだけでずいぶん違ってくる。
この学校では、気候やその他の要因まで考慮に入れて「EM菌のおかげで綺麗になった」と判断したのだろうか。
EM菌は、社会活動と密接に関わってきた歴史があるので、記者もなんとなく信用してしまうのかもしれない。
「生物を使っていて、万能を説く技術」というのは基本的に疑ってかかるべきだ。
入れて、良かったから「効果あり」では、教会で貰った聖水と同じだろう。
それほど自然は"人間のために”都合良くはできていない。
研修会用のレジュメだが、有名なサイトがある。
『科学とニセ科学』
血液型性格判断やマイナスイオンなど、なかなかわかりやすく書かれているが、『EM菌はニセ科学か』項目の中の”アトピーとガンに対する効能を言いはじめたら、疑ってかかるべき“という文章には不謹慎ながら笑ってしまった。
皮膚科に行くと「アロエは万能薬ではありません」とか「ステロイドを怖がらないで」というポスターが貼られているが、ちょっと似ているかもしれない。
