携帯用ラムレーズンの作成

簡易かつ美味しい冬の味覚、携帯用ラムレーズンを作った。
これはかつて(10年以上前に)年上の女友達から教わったもの。
今で言う「山ガール」なのだろう、登山の際の行動食として自作し、ただ美味しいという理由で山以外の場所でも携帯し食べていた。
僕達は専ら街の公園で遭遇することが多く(友人の友人、くらいの間柄だが、立ち話は弾んだ)その時にもよく摘まんでいたのを覚えている。なんとなく気になるが記憶の底に沈んでいた、そんな種類の甘い食べ物。

 

ロッテ ラミー 2本入×10個

ロッテ ラミー 2本入×10個

 

 

作るのは簡単。
市販のレーズン、これはジップロック的なジッパーが付いているものが便利。理由は後述。
可能ならば食用油が使われていないものを。しかし僕は、このラムレーズンに限っていえばあまり気にしない。雑に作るほうが“らしい”から。
数種類が混ざったミックス・レーズンも良い感じ。
まあ、安物でいいです。

 

 

それからもちろんラム酒。風味が強いものがあれば最高。でもサントリーの製菓用小瓶(ガラス製で持ち手が付いていて、エプロンを着用したウサギが描かれているアレ)でも大丈夫。上等な食べ物ではないから、それほどこだわる必要は無い。ダークラムであること、だけ守ればいい。

 

あれば黒糖。ラムの風味を強める。沖縄土産のものがひとかけらあれば加える、程度の役割。保存性も増すのではないか。
僕は使わないことが多い。ラム酒を少なめにして、がつんと行動食らしくしたければ欲しいかもしれない。

スパイス。シナモンやカルダモンを少々。これも、僕はチャイ用に常備している(もっと言うと、混ぜていつでも使えるようにしてある)から使うだけで、ほとんど隠し味。無くても大丈夫だろう。

 

レーズンの袋を開封し、ラム酒をじゃぶっと注ぎ入れ、黒糖を放り込み、スパイスを少しだけ振り入れる。
そして密封する。
この時、レーズンの包装をそのまま使うと衛生上の都合が良いし、洗い物が不要となる。
半日でラム酒はレーズンに吸われて、最初の汁気は無くなる。食べてみて、追加のお酒を加えるか、完成とするか決める。
数日置くと味が馴染んで良い、と書くとそれっぽいが、実は僕にはよくわからない。たぶん良いのだと思う。

丁寧に作るのならば、まずレーズンをお湯で洗って油を落とし、日陰干ししてから同様に作る。しかし繰り返すが、そういう種類の食べ物でも無い気がするのだ。だから、開封してお酒を入れて放置して、完成。
摘まんで食べるには柔らかすぎる場合は、袋から出して少し干せば良いと思う。自分の場合は、あまりラム酒を加えないから、柔らかめの干しブドウといった見た目になる。
冷蔵か、涼しい場所で長く保管できる。冬ならそう簡単には腐らない…とは思うけれど、心配ならば「冷暗所に保管」レベルの管理を推奨する。

 

 

僕にこの携帯用ラムレーズンを教えてくれた人は、街を散策しながら食べていたが、繁華街でお酒を含むつぶつぶを食べ続けるのは、はっきり言って危うい感じである。紙袋に隠したお酒をラッパ飲みする行為を連想する。

僕の場合、専ら家で消費する。
寝る前に小腹が空いた時、数粒をじっくり味わって食べると、それなりの満足感がある。お酒に弱いから、それだけで少し酔った感じもする。
チョコレートにも合うし、そのまま摘まむのならばコーヒーにもぴったりの味。
紅茶に入れてもいい。冬向けの雰囲気になる。
キャンプに持っていくと、夜に使い途がある。ちょっと気の利いた甘いもの、例えば火で炙ったビスケットの類に添えると美味しい。

スタンダードな使い途としては、アイスクリームか。間違い無く美味しい。それから、ホットケーキには、生地に混ぜても、焼いたあとに添えてもいい。

似たような行動食は、大昔にバックパッカーの出てくる映画で見た記憶がある。アヲハタのクリスマスプリザーブみたいに色々なものが入っていて、黒パンみたいなものに載せて、携帯オーブンで焚いていた。
キャンディバー以前のカロリー源、なのかもしれない。

 

 

その年上の女友達は今はもう逢えない、というわけではなくて、年に数回は遭遇する。
最近はこの静岡県中部でも週末にナチュラル系野外イベント(いわゆる日本風マルシェやクラフトフェア)が開かれていて、僕はコーヒーや焼き菓子やジャムを目的に参加する。そんなイベント会場で出会うことがあるのだった。
彼女は僕よりももう少しハードなエリア、つまりフード左翼というのかロハスというのか、イベントの思想を体現する反原発やヒーリングや酵素ナントカのブースに立っていたりする。おそらく“古参”のヒッピー文化継承者として、それなりに顔が広いのだと想像する。冬でも革サンダル、でも“冷え取り”のためにヤクの毛糸の靴下。

自分は時に心苦しくなる。手作りで素朴な世界の、美味しいところだけ摘まみ食いしているのではないか、と考えてしまう。
自分で行動食・保存食的なものを作り食べるのならば、もう少し“あっち側”の生活をしなければ駄目なのではないだろうか。庭で鶏を飼い、満月の夜にヨガをして、頭痛薬ではなくハーブ茶を飲む暮らし。でも、インディアンジュエリーや絞り染めのTシャツがまるで似合わないのです。試したことは無いのだが、でも無理。
なかなか難しいものだと思う。摘まみ食い左翼と呼んでくれてかまわない。