椰子の実パイとは

 

海上の道 (岩波文庫 青 138-6)


一週間、よく頑張った。そんな自分を労うため、ブラジル食材の店でとびきり甘い菓子類を購入した。主に砂糖とココナツと糖蜜と落花生と油脂でできている、シンプルに甘いお菓子たち。買ったはいいものの、今日は夕食もしっかり食べたし、たぶん夜中に食べたら高い効率で体脂肪に変換されてしまうため、今日は控える。

そんなお菓子の中に、ちょっと珍しい品があった。珍しいので、帰宅時に食べてみた。感想を以下に記す。
「椰子の実パイ」と値札シールには書かれていた。残念ながら写真は撮っていない。小さめのマドレーヌくらいの丸いパイが2つ、発泡スチロール製トレーに並んで300円。

見た目からして甘いのかな、と思った。しかしとても酸っぱい。梅干しくらいの酸味と、少しの塩気、ほんのりとした甘み。
中身はコンビニの肉まんを白くしたような、繊維質の小さな角切りととろみのある何かが詰まっていた。メンマを漂白して、ルバーブの味を移してから砂糖と塩で調味したような感じ。少しだけ、例えようのない野菜的な臭みがあり、後味として残る。
缶詰のホワイトアスパラガスを缶汁ごと薄い酢味で煮込んで、片栗粉を投入したら、こういうものが出来上がるかもしれない。それがパイ皮に包まれていた。

あまり美味しい品とはいえない。珍しい味であり、食材ではある。さっぱりしていて面白いともいえる。ただパイに求める味ではないと僕は思うし、たぶん友人知人に食べさせても面食らうだろう。

美味しくはないが、かといって残してしまうほど強烈なものでもない。そして食べていくうちに、パイ皮の香ばしさとバターの風味が際立ってきて、これはこれで良い品なのではないか、と思えてくるのだから不思議である。

たぶん椰子の新芽を使っているのだろう。あれは摘んでしまうとその房は成長できないために貴重な食材なのだと聞いたことがある。東南アジアの市場では、他の野菜とは桁がひとつふたつ違う価格だった。
しかしそれでは「椰子の実パイ」ではない。椰子の実には繊維質でしゃきしゃきした部位があるのだろうか。

そういう珍しい品が買えるのだから、ブラジル食材店は楽しい。
クレジットカードも使えるし、価格は安いし、店員はとても親切だ。
ただし日本人の客とわかると、店員のおばさんがにこにこしながら「ハンバーガー・コーナー」のカウンターに待機するのが気まずい。日本人のほとんどは、この店ではハンバーガー(とても大きい)を食べるのだ。

今日はこの店で、大昔に一緒に働いていた人と再開した。日系ペルー人のおじさん。「うれしいねえ」と言って、グアバジュースと飴をくれた。
言葉がフレンドリーなだけでなく、握手もするし、こうしてちょっとした贈り物もできるのが、南米育ちの人達の特徴だと思う。丸々と太って、顔は日本人と同じ中年男性なのに、そういう所作が様になっているから格好良い。
ともあれ、元気そうで良かった。そして覚えていてくれてびっくりした。

昔の知り合いに再開したこと、椰子の実パイを食べたこと、それがこの金曜日の特記事項。他は概ね順調。今からショップカードを作って、その後に寝る。

 

 

ハックス!(1) (アフタヌーンKC)

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ハックス!(2)

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ハックス!(3)

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ハックス!(4) <完> (アフタヌーンKC)

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