連休じゃないし、ほんのり風邪気味でもあるし、雨上がりだから自転車にも乗れない*1ため、予定していた小豆島は延期。
代わりに家事および映画鑑賞の日とする。
もちろん皇室の発展とか息災とかそういうものもお祈りした。祝日をありがとうございます天皇陛下。上皇陛下は、どうかごゆっくり。
そして観たのが『JOKER』。
あのバットマンの宿敵、怖ろしいピエロの男が生まれるまでを描く。
細かいあらすじや解説は様々なところで読んでほしい。いかにも文章を書きたくなる素敵な作品だった。
文句なく楽しめる。
どん底の境遇のアーサー氏がジョーカーになるまでのお話。だから銃や武器を使いまくるわけではない。というか1発の銃弾、1回の殺人が実に重い。一般的なクライム・サスペンス作品の何倍も丁寧に描かれていて、逆に新鮮だった。
それから映像が美しい。
ゴミが溢れるゴッサムシティも、薄汚いアパートも、青黒い画面のなかで不思議な魅力を放つ。古き良きアメリカの風景とぴったり合っている。
こういう作品は、たぶん日本では作れない。
日本だったら現代劇にしてしまうだろう。SNSと格差社会の闇、みたいな話にしてしまう*2。
濃厚なくらいに現代的な作品を、あえて80年代のゴッサムシティで描くから良いのだ。
R15ということで暴力描写もあるし、人によっては見たくない画面も出てくる。
それでも観れば、誰であれ、何かしら心に残ると思う。
過去作のジョーカー氏が、悪の華としてアンチヒーローの輝きを放っていたのに対して、今作のそれはもっと身近な存在だ。誰だって、どこかで何かが裏返れば、ああいう怪物になってしまうかもしれない、そういう怖さを感じた。
ひとつ難点がある。
この『JOKER』は、バットマン・サーガというかバットマン・シリーズというか、そういう流れのなかでは発展性が無い。
本作のジョーカー氏に相対するバットマンを思い浮かべることができない。
明るくて強いスーパーヒーロー達とは違うダークヒーローのバットマン、その対照となる存在がジョーカーだとしたら、この作品で生まれた怪物は、少し性質が違っているように思える。バットマンシリーズの重要な登場人物も何人か出てくるけれども、基本的にシリーズ物としては作っていないのだと思う。
よく出来たファンムービー、かつシリーズとしてはつながっていない、そういう意味では『シン・ゴジラ』が最も近いのではないか。
うん、そうだこれは『シン・ゴジラ』だ。
あるいは『イノセンス』だ。
ならば納得、難点もまた美点となる。大満足。
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それではおやすみなさい。映画とは関係のない夢を見たい。良い映画だったのだけれど、それはそれ、これはこれ。