片手に月餅

 仕事帰りに、スーパーマーケット(COOP)に寄り、夕食の材料を買った。
 その時に、高校時代の後輩に再会した。高校を卒業してから初めて会った。申し訳ないけれど、僕は全然わからなかった。「カトーさんが部長だった時に、よく部室に遊びに行っていました」と説明されて、ああそんな人達もいたなあ、と思い出したほど。話しているうちに、どんな人だったか、だいたい思い出せた。

 遭遇したのは、ちょうど僕が月餅(山崎製パン:120円)を持って眺めていた時。一日の疲れを癒やすために月餅が必要かどうか熟慮していた時に声をかけられたのだ。

 月餅を手に持つのは、別に格好の悪い事ではない。手に取らなければ原材料表示が読めないから餡の内容が把握できないし(クルミと松の実が入っていると嬉しい)、なんとなく重量感やサイズを身体的に感じたい時は、誰にだってあると思う。

 しかしこの知人(後輩さん)は、僕が月餅を持っている事に違和感と可笑しみを感じたようだ。本当に久しぶりの再会にもかかわらず、「ははははは月餅!カトーさん月餅持って、何なんですかははははは」と笑われてしまった。

 そういえば遠慮なく笑う人だった。
 「偶然の再会。手には月餅」という状況は、確かに奇妙な味わいがある。だから別に笑われるのは構わないが、しかし笑われた後にカゴに入れるべきか、あるいはそっと棚に戻すかの判断は迷う。結局、ずっと手に持ったまま、レジにまで行ってしまった。

 

 もしかしたら夕食に月餅を食べると思われたのかもしれない。そういう日もあるかもしれないが、今日の夕食は以下の通り。

  • ごはん
  • 舞茸と鮭のホイル焼き
  • たまねぎスープ
  • レモンとレタスのサラダ

 晩ご飯を食べたらすっかり満足してしまい、月餅はまだ食べていない。明日、仕事を終えたら食べようと考えている。明日はハードな一日になる予感がするから、月餅にはふさわしい。本当は「仕事帰りに1杯!」みたいなノリで甘いものを食べるのは好みではないのだけれど、最近は“自分へのご褒美”が増えていて、困ってしまう。

 

 

突変 (徳間文庫)

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