広島旅行の思い出と記録:3日目 尾道〜しまなみ海道

あの広島旅行からもうすぐ2週間が経つ。早いものだ。
とにかく忘れる前に3日目の尾道観光について記録しておく。以下、覚え書き。

 

 

 

広島の宿をチェックアウト。尾道に移動。
以外と時間がかかった。

尾道自体は旅の予定に入れていたけれど、自転車でしまなみ海道を走るかは決めていなかった。いつか行きたい場所ではあるが、僕の脚力ではちょっと厳しい。準備も不足、時間もぎりぎり。少なくとも、適当なレンタサイクルで四国までの100kmを走り抜くのは無茶というもの。なので、思案する。

大きな橋で繋がっているとはいえ、つまりは瀬戸内の島々である。
というわけで、昨年の瀬戸内国際芸術祭でも参考にした id:cimacox さんの「生きることは物語を作ること」の8/20 瀬戸芸in豊島に倣う。つまり、動力付きの乗り物で起伏に対応し、暑さ対策十分にして挑むことにする。

cimacox.hatenablog.com

上手い具合に、駅前に電動自転車のレンタサイクルがあった。
これはいわゆる「docomoの赤いレンタサイクル」であり、予約はスマホがあれば簡単。GIANTのお店がある「U2」では、めぼしい自転車は既にレンタル済みだった。

自転車は快調。
想定通り、連絡橋への上り坂はなかなかのものだったが(どの島でも、海沿いの道からその島の最高地点以上に登る道なのだ)、しかしモーターアシストがあるから平気。


なるほど素晴らしく自転車向きの道が続く。「自転車乗りの聖地」として定着したのも宜なるかな、である。信号は少なく風景は綺麗、トイレもコンビニも、休憩に適した観光地や飲食店も適度な間隔で備わっている。
連絡道路の自転車通路は何度だって往復したい気持ちよさ。自転車で走り抜けられる平坦な展望台みたいなものだ。

ただし、暑かった。
水分補給した分だけ発汗している気がする。500mLのペットボトルを1時間で1本飲んで、それでも足りないくらい。
サイクルジャージなんて持っていない。とりあえず着替えのなかで最もスポーツ向きの服に着替えて対応したが、それでもシャツはびしょ濡れ、あるいは熱風でカラカラ、という極端な状況が続く。
旅の終わり、電車に乗る前には「U2」でシャワーを浴びたのだが(シャワールームをこれほど有難いと思ったことは無い)、日焼けと乾いた汗の結晶が、まるで肉体労働者みたいだった。
ともあれ、水分補給がここまで健康管理に直結する状況は、僕の日常では珍しい。
こりゃあ塩も欲しい、と考え、甘くて乾燥した梅干しをコンビニで買った。
これを珍しそうに見ていたオランダ人カップルに分けてあげたところ(ソルトフレーバーのドライ・プラムでありジャパンのトラディショナルフードなのだ、と説明)、大変喜ばれた。
別のコンビニで再会したところ(各所のコンビニが補給地点となっていて、よく同じ顔を見かけた)、あのドライプラムはどこにあるのだ、と質問されたくらいだ。そんなに美味しいものとも思えないのだが、まあ、良かった。

暑いといえば、前日に帽子を紛失していたのだった。
これもかなり危機的な状況。頭が暑くてぼうっとしてくる。
そしてしまなみ海道の島々は、コンビニは意外と多く、ホームセンターだってあるのに、帽子を売っている店が見つからない。田舎というのは、ネイルサロンはあるのに、服は「街へ行け」なのだ。

ともかくそういう暑さとの戦いをなんとか凌ぎ、仮の目的地である生口島まで到着。

 

目に付いたジェラート店でスイカジェラートおよびレモンジェラートを食べる。これはもう、身体が求めていた味だった。少し加えられた塩味が嬉しい。有名なお店だとは後で知った。

 変な寺、といったら罰が当たる、でも独特のお寺。

あなご丼と和食のセットを「お食事処かねよし」で食べ、すぐ近くの平山郁夫美術館でクールダウン。
そして、フェリーで尾道港まで帰る。正直なところ、この生口島での散策は暑くてあまり覚えていない。お寺も見たし、自転車で港周辺も探検したのだけれど。島の最も高い建築物よりも、ドックに入渠している自動車運搬船のほうが遙かに大きい、というのは面白い風景だった。

 

フェリーはもう、びっくりするくらいに小さかった。剥がれそうなベニヤ板にシールが貼られているあたり、なんとなく廃屋とか「昔住んでいた家」みたいな趣きがある。エアコンだってついていない。


それにしても造船所が多い地域だった。あんなにドックとクレーンを見たのは、生涯で初である。

 

瀬戸の島旅 しまなみ海道+10島めぐり

瀬戸の島旅 しまなみ海道+10島めぐり

 
しまなみ海道 大人の島旅―島一周サイクリング情報・MAP付き

しまなみ海道 大人の島旅―島一周サイクリング情報・MAP付き

 

 

 

尾道の街といえば、いちばん上にある寺に行き、のんびり下るのが定番の観光ルートだろう。しかしそこまでの時間が無さそう。
これもまた前述の「生きることは物語を作ること」で知った珈琲店「Antenna Coffee house」にだけは行きたい。というわけで、行ってきた。

とびきり美味しいコーヒーを飲んで、壁の本を眺めて、今日はじめてのんびりした時を過ごす。良いお店でした。
隣の雑貨と活版印刷のお店も素敵。

この店を起点に、近所を散策。結局、坂を上り下りして、足は限界寸前。でもやはり坂のある街というのは素晴らしい。何本もの映画がこの街を舞台にしているのもわかる気がする。
「画になる街」なのだ。

ところどころで個人のお店が頑張っているのも、良い感じ。古い家を若い人達がお店にしている。


年寄り向けレトロ土産店は無視して、猫を撮ったり雑貨屋を冷やかして(あるいは衝動買いして)街を楽しむ。

campanella-letterpress.jp

 

さて夕方だ、静岡に帰ろう、という前に尾道ラーメンを食べて(昔はきっと“特徴のあるラーメン”だったとは思う。今は普通に美味しい)、福山まで移動し、新幹線で帰る。

 日程と体力に無理のある旅だった。
でも、間違いなく、行って良かった。なんとなく、広島県はあと何度か行きそうな予感がしている。大雑把な土地勘も身についた。次はもっと上手くやります。できれば牡蠣のベストシーズンがいいなあ。

 

 

 

活版印刷の本  凸凹感と活字を楽しむ かわいい活版印刷のデザイン帖

活版印刷の本 凸凹感と活字を楽しむ かわいい活版印刷のデザイン帖

 

 

暗夜行路 (新潮文庫)

暗夜行路 (新潮文庫)

 

 

 

ヒャッケンマワリ (楽園コミックス)

全然関係無いけれど、この本が素敵に面白かった。 

 文豪がキュート。

ヒャッケンマワリ (楽園コミックス)

ヒャッケンマワリ (楽園コミックス)

 

 

パイナップルを半分

朝、友人に届け物をする。
その礼にとパイナップルを貰う。
筒状に(皮を剥いて、芯を抜いて)切り出したものを、丸々2個ぶん。かなりずっしりとしている。

sherry パイナップルスライサー ステンレス鋼製ピーラー パイナップルの皮むき器

パイナップルは、この状態にするのがわりと手間なのだ。スーパーマーケットではそれなりに安い(見た目の印象よりも安価だと思う)価格で売られているのに、買いづらい。友人はこれを定期的に食べるために、専用のカッターおよび芯抜き器を買ったのだった。なかなか出来ることではない。

 

OXO パイナップル スライサー 1127580

OXO パイナップル スライサー 1127580

 

 

 

 

パール金属 アップル ピーラー リンゴ 皮むき器 C-140


ちなみに友人は、このりんごの皮むき器も持っている。借りて使ったことがあるけれど、かなり愉快で痛快なマシーンであり、りんごの消費量が激増する。冬におすすめの面白調理器具だ。意外と安い。

パール金属 アップル ピーラー リンゴ 皮むき器 C-140

パール金属 アップル ピーラー リンゴ 皮むき器 C-140

 

 

 

パイナップル(M)

しかし1人でこんなにたくさんのパイナップルを食べることが出来るのだろうか。とりあえず、今日は半分をおやつにいただく。

正確には、午前中に6分の1くらいを、そして15時のおやつに3分の1を食べた。これで丁度、全体の25%がお腹に納まった。
ここまで甘くて味の濃い果物、しかも繊維質もしっかりしたものを、こんな量食べられるものなのか、不安だった。
でも、冷凍すると味が落ちるというし、貰った状態でずいぶん熟れていて、できれば今日中に食べるように言われていたから、頑張るしかない。

とはいえ、試してみたところ、しっかり美味しく食べることが出来たのだった。
夕食にも影響しなかった。
食べた直後はさすがに満腹になったものの、かなり短時間でその感覚も薄れた。食品栄養表や文献によると、水分の多さが消化の速度に関係しているそうだ。スイカみたいなものか。酵素は関係無いらしい。

 

パイナップルの歴史 (「食」の図書館)

パイナップルの歴史 (「食」の図書館)

 

 

残りはどうしよう、としばし考える。
とりあえず、明日以降に使う分を冷凍した。パイン入り炒飯を食べたい。

そして、作り置きおかずとして、アドボっぽいものも作ってみた。
骨付きの鶏肉と、生姜と、少量のにんにくと、醤油とソース(隠し味)そして銀杏切りのパイナップル。ぐつぐつ煮るだけ。
食べるのは明日だから、少し煮詰める。
学生時代に知ったレシピでは、缶詰のパイナップルとシロップ、ローリエお酢を使っていた。パイナップルジュースも使った記憶がある。
生のパイナップルの場合はお酢は要らない感じ。ローリエやその他スパイスは手抜きしてソースで代用したわけだ。どうせ、本物のアドボを食べたことがないので、美味しければそれでオーケー。葱とか玉葱、それからゆで卵は入れ忘れた。胡椒や唐辛子は味見しながら少しずつ。

 

 

パイナツプリン (角川文庫)

パイナツプリン (角川文庫)

 

 

先ほどから、少し残しておいたパイナップルに、塩をかけて食べている。
おやつに食べたものより美味しい。10時か15時の時点で気付くべきだった。塩の加減が難しいが、それこそ無限に食べ続けられそうなさっぱり感。ただし舌と口腔粘膜が痛い。

 

アジアのごはん

アジアのごはん

 

 

ミントとチョコレートのアイスクリーム(手作り?)

なんとなくチョコミントアイスを食べたい気分で、帰宅前にコンビニエンスストアに立ち寄ったものの、買いたいと思える品が無かった。

まあミントなら庭に生えているし、なんとかなるだろう、とチョコレート味のアイスを1つ購入、急いで家に帰った。

庭に生えているミントは2種類。
何年も越冬している大きな株と、今年から育てている鉢。
前者はもう、風味がまるで雑草である。手元のハーブ図鑑には、ミントと名の付くものは一年草ばかりなのに、しっかり冬を越している。というか、我が家の庭では、多くのハーブが冬の寒さに耐えて、そして雑草味になる。いちおう食べることは出来るので、例えば天ぷらにすると野趣があってなかなかよろしい。

今日使ったのは、この雑草ミントではない。
山梨県のお土産でいただいた鉢植えを、丁寧に、雑草化しないように育てた可憐なアップルミントだ。先日の猛暑では弱ってしまったので、いかにも高原育ち。
これを摘んで、洗って、適当に千切って、お皿に盛る。となりにアイスを置く。そして、同時進行で入れたベトナムコーヒーとともにいただく。

 

 

 

チョコレートのアイスをひとくち食べる。
そして、ミントを食べる。咀嚼する。

残念ながら、あのチョコミントアイスの味わいとは違っている。
分量的にはチョコレートが過多。というわけで、ミントを多く食べ、そしてチョコレートアイスを口にする、そんなサイクルに変更したところ、かなりチョコミントアイスっぽさが近づいてくる。でもやはり違う。

都会の高級なお店で食べる不思議なサラダ、といった趣きがある。シェフの名前を冠したお店の名物メニュー。へえ、こんな組み合わせもあるんだー、なんて思ってしまう。

食べ終えてから反省する。
おそらく、僕はバニラアイスを買うべきだったのだ。
バニラアイスを買って、庭のミント(可憐なほう)と、刻んだチョコレートを混ぜて少し冷やし、そして食べる。それがきっと、よりチョコミントアイスに近いものなのだ。
もしかして、バニラアイスと歯磨き粉(といっても粉末ではない。最近はペースト状でチューブに入ったものが静岡県でも売られているのだ)とチョコチップで作れるのではないか。

 

望んでいたチョコミントアイスからは遠い、しかしこれはこれで悪くないおやつだった。後悔はしていない。ただし、他人に推奨もしない。
戯れにアイスコーヒーにもミントの葉を入れてみたが、これは明解に失敗だった。薬の味になります。なんというか、ファンタジー世界で無茶をした主人公が、無口な猟師に介抱される時に飲む(飲んで寝ていろ…と言われ自分の無力さを思い知るのだった)味だ。
きっと身体に良いので、オススメ。

 

 

映画館にひとり。映画は『きみの声をとどけたい』。そしてコーヒーとデーツ・プディング。


【映画 予告編】 きみの声をとどけたい

 

映画『きみの声をとどけたい』を観てきた。
あまり話題になっていないようだが、僕は良作だと思う。観ればきっと楽しめる。
まるでよくできた30秒CM(公共広告機構が作るような爽やかで道徳的なもの)を長編映画に引き延ばしたような作品なのだが、じゃあ退屈かというと、きちんと上質なアニメ映画になっているのだから、観なければ損だと思う。

 

映画『きみの声をとどけたい』オリジナルサウンドトラック

映画『きみの声をとどけたい』オリジナルサウンドトラック

 

 

映画の内容も何も知らずに、時間の都合で選んだ作品だった。でも思いがけずキャラクター原案が青木俊直氏でびっくり。氏の絵柄そのままで絵が動くのはなんだか面白いし嬉しい。ただし、どういうわけか喋らないキャラクターをほとんど動かさない作品だったこともあり、あっさりした絵柄と、きっちり書き込んだ背景とのギャップは気になってしまった。まるで背景画に氏の手書きイラストを貼り付けたような感じなのだ。
しかしこの絵柄というか塗り方、例えば志村貴子さんの絵が好きな人には嬉しいのではないか。
鼻筋すら省略するあっさりして可愛い絵柄だからこそ、の作品だとも思う。これ、実写映画だったら、きっと違うものになっている。

この映画の“肝”である「言霊」について、ああいう表現はどうかなー、と個人的には思う。主人公が「言霊」を連呼するのも、その言霊なるものが劇中の如く作用するのも、ファンタジックな趣きよりはオカルトじみた薄っぺらさを感じてしまう。メインキャラクターがどんどん増えて、物語上の障壁・課題も多数あるせいで、なんだか散漫な印象もある。登場人物の増加は、なんとなく若手声優売り出し企画のニオイもするが、その辺は詳しくないからよくわからない。

そんなわけで、難もあるし、つっこみどころもある。
こう言ってはあれだが、ストーリー自体は最初から最後まで予定通り。
それでもきちんと飽きさせずに最後まで観ることができたのだから、やっぱり良作なのだ。王道の青春もの。こういう真っ直ぐなお話もいいですね。
僕はうるうるしました。

 

ずんだ

ずんだ

 
えほうマキ

えほうマキ

 

 

 

しかし、である。
平日の昼間、映画館には僕ひとり。
人生で「上映中ひとりぼっち」は3回目。「知らない人とふたりきり」なら、もう少しある。
残念なことに、ひとりなら思う存分感動できるか、というとこれが無理なのだ。理由は上手く説明できないが、変な緊張をしてしまう。上映技師さんの目が気になるのだろうか。
たぶん数人でも数十人でも、ちょっとしたざわめき、静かな反応も込みで、映画鑑賞なのだと思う。せめて主要な登場人物よりも観客がいないと、多勢に無勢である。

 

映画のあとは、隣のオーストラリア・カフェでコーヒーを飲んだ。
といってもショートブラックやロングブラックではなくて、普通のフレンチプレス式のコーヒーを選ぶ。
この店はコーヒーも美味しいけれども、定番のケーキもコーヒーを楽しむためには欠かせない。
得にデーツ入りのプディングは、何度食べても美味しい。温めて供される茶色い品。昔と少し味が変わったような気がするけれど(今日のものは、天然酵母パンみたいだった)、糖蜜のようなコクは他に無い味で、やはり良い。

 

オーストラリアン(ティー) 25TB

オーストラリアン(ティー) 25TB

 

 

 

ガパオライスと広島の思い出:呉・広島

ALLEE RESTAURANTのガパオライス

 

お昼ごはんをALLEE RESTAURANTで食べた。
今日はランチメニューのガパオライス。
この店のそれは、いわゆるエスニックレストランのガパオライスとは、ちょっと違う気がする。他の店の品が屋台料理の延長ならば、ALLEE RESTAURANTのものはホテルで食べる食事に近い。といっても、物足りなさは感じない。丁寧に作っている感じがする。
ここ数年の「目玉焼きを乗せたごはん」のなかでは、この店のガパオライスか、「MAHOROBA」のごはんが、頭ひとつ(ふたつ?)抜き出た存在。大好物。

 

日本SF大会ドンブラコン

今日はグランシップで開催中の「日本SF大会ドンブラコンLL」にも行ってきた。
一般向けの無料コーナーだけだが、コスプレから同人誌からVR体験やミニライブ的なものまで、自分にとっての非日常が存分に楽しめた。
思わず同人誌的なものをいくつか購入してしまった。「ガンダルフ語録」や「沼津深海魚水族館ガイド」みたいな本。どの辺りがSFなのかは、読んでいないからわからない。
それにしても皆さん、好き勝手だなあ。やり過ぎだなあ。(←褒めている)

SF大会はしかし、なんだかとても大人しい雰囲気だった。
コミケの時期にTVニュースでインタビューされる「社会性に欠けるオタク」みたいな人はだれひとりとしていない。アニメTシャツの人もいるにはいるけれど、総じて地味で、そして会場全体がとても静かなのだ。奇声を上げている人なんてどこにもいない。最近はSFの半分以上はオタク向けコンテンツだと思っているのだけれど、しかしこのマナーの良さは何なのだ。PARCOにある漫画専門書店とは、まるで違う。
SF愛好家、ということで想像される小難しいハードな人達の会話やイベントも洩れ聞こえてくる。それがもう、本当に面白そうで、もっと早くに申し込んで、有料イベントも参加すれば良かったかなあ、と今は後悔している。

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 広島旅行2日目:呉と広島

さて、そろそろ書いておかなければ忘れてしまう。もう1週間経ってしまった、広島旅行の2日目、呉の博物館と広島の公園について。

呉は、街の散策と、「大和ミュージアム」そして「てつのくじら館」が目的。その後に港のほうを探検して、大きな自衛隊の船を眺めてきた。

「てつのくじら館」は、自衛隊の広報施設。こういう博物館仕立ての施設は、もっと増やして欲しい。丁寧な説明と充実した展示で、なかなか興味深く見ることができた。
本物の潜水艦が陸に展示されていて、その大きさに驚く。潜水艦といえば「狭い」のが映画でも何でも定番だが、船体自体はとても大きい。

その船内も見学できるようになっていた。
潜水艦の船内、確かに狭い。あちこちにテプラの注意事項が貼られていたのが、日本っぽくて面白い。
そういえば、見学者用の通路は船体をカットして通りやすくなっていて、実際は隔壁ごと小さなハッチを潜って行き来していた、という事実を多くの見学者はわかっていないようだったので、そういう基本の話も最初にしたほうが、実物を触る効能が増すのではないか。
しかし実物を触る、というのはやはり良いもの。だから博物館は好きだ。

 

 

大和ミュージアムの「戦艦大和100分の1模型」は、実はそれほど興味が無かった。ふーんなるほどー、と眺めて写真を撮るだけ。


それよりも、2つめの主役である特攻兵器が見たかった。
戦争終盤に無理矢理誂えた、にしては立派なような気もするし、やはり「よくもまあこんなもので」と思わせる貧相な感じもする、魚雷を改造した潜水艇や、小さな飛行機。
戦後に修復して、色も綺麗に塗ってある。でも表面はでこぼこ、ごつごつしている。


この施設はあの戦争に関わった人達を顕彰するのが目的。だから、その兵器がどれだけすごいのか、は事細かに解説されている。そして乗った兵士達の気高さ、遺族の悲しみも。
僕はしかし、彼らの犠牲が、どれだけの戦果を挙げたのか、そしてどのようにあの戦争の行く末を変えたのか、を知りたかった。
いや、数字にすると実は「戦局にはほとんど影響無し。犠牲の割に成果は無かった。つまり無駄死に」なのは何かで読んだし、後で調べた限りでも、その通りだった。それでも“国の為に散っていった若者”を顕彰することは可能ではないか、と思うのだ。だから、彼らが成したこと、そして成し得なかったことも、展示には加えて欲しかった。
この「あの兵器と作戦と犠牲は無駄だった。でも、歴史を見つめる価値はあるし、彼らの生涯は悼むべきだ」という考え方こそ、せっかくそれなりに平和な時代に生きている自分達の立ち位置だと考えているので。
これは少し前にTwitterで話題になっていた議論というか、NHKインパール作戦を題材にした番組を観てから考えていること。

 

その後に訪れた広島の平和祈念公園でも、そのもやもやっとした考えは頭から離れなかった。なにしろ平和祈念公園もその資料館も、亡くなった人達を等しく悼む施設だったので。
資料館では、実に注意深く、そして効果的に、あの原爆の惨禍が展示されていた。それはもう、青ざめるくらいに。欧州から(プライベートで)若い軍人さん達が来ていて、たまたま僕は彼らの後ろを歩く機会が多かったのが、彼らが最も真剣に、そして感情を込めて展示を見ていたように思える。当事者の感覚とでもいうのか、ボランティアガイドさんも感心していた。

祈念公園のほうは、変な話、とても居心地の良い都市公園というのが第一印象。点在する祈念碑や鎮魂碑も、風景に調和している。
こんな立派な公園を作れる大都市が、しかしその立派な公園が慰霊と平和祈念のためだというのが、なんだかとても悲しい。明るさも、整えられた芝生も、ただ無邪気に(例えば新宿御苑を散策するように)楽しめない悲しさ。

 

そういう想いとは関係無く、ごはんはそれぞれ名物を食べた。
呉では「呉冷麺」を食べた。酸味が少なく優しい味わいの冷やし中華、という印象。

 


そして広島では、またしてもお好み焼きを食べた。広島のお好み焼きは、マヨネーズを使わないから有難い。ソースも薄めで、後から自分で塗り足すお店だった。これは濃い味付けだとたくさん食べられない自分にとっては嬉しい。有名なお店だったようだが、元気でフレンドリーで、おまけに牡蠣を注文したら1個おまけしてくれた。「全部入り」みたいなスタンダードお好み焼きと、ほぼ野菜だけ麺は抜き、という軽めの品に“いかてん”を加えてもらった2枚目、焼いた牡蠣、鰯の刺身を食べた。
料理は美味しかった。
ひとつびっくりした事があった。注文の時、おばちゃんが「お酒飲まないのなら、無理に烏龍茶とか頼まなくてもいいよー」と言うのだ。そんな飲食店は、生涯で初だろう。「飲みたいならいいけど、400円だからねえ」と、おばちゃんが広島弁で言っていた。
忠告に従い水(無料)で食事を楽しんだ。

 

それから「ムッシムパネン」でコーヒーとケーキも。ここはとびきり美味しい。次にまた広島に泊まることになったら、躊躇無く再訪したい。ただ美味しいだけのケーキ店なんてあちこちにあるけれど、キャラの立った、というのだろうか、“ここでしか出会えないケーキがある”と思わせる店は数少ないし、旅で訪れるべきなのはそういう店だと思う。

確かこの2日目は、足の疲労が限界まで来ていたと記憶している。宿では、まるで山小屋に泊まった時のように足のケアをした。

 

 

 

 

大人のクリームソーダとSF大会と誕生日

午前中は家事に勤しむ。
午後、暑さを我慢して外出。
家の中で延々と工作や手芸の類をしているのもつまらない。

http://www.donbura.com/sf56/content/images/main_image.png

とりあえず東静岡の「グランシップ」で開催中の「日本SF大会」を少し見物。といっても無料で入れる部分だけ、しかも短時間の滞在。
とはいえ、愛読書の作家さんらしい人とすれ違えたり、いかにも楽しそうな雑談が聞こえてきたりと、さすがSF大会である。明日はもう少しきちんと時間をとって、遊びに行きたい。

  

www.donbura.com

SF大会―和田誠イラストレーション集

SF大会―和田誠イラストレーション集

 

 

SF大会―和田誠イラストレーション集 (1982年)

SF大会―和田誠イラストレーション集 (1982年)

 

 

 

https://www.instagram.com/p/BYP0SEVHTbY/

さてさておやつを食べよう、と訪れた「Atelier Petit*Calin」は、ケーキが全て売り切れだった。こういう時にも前向きなのが甘党紳士というものである。つまり、普段は飲まないような甘いドリンクを注文することにした。
幸い、この店は面白そうな飲み物がたくさんある。どれも間違い無く美味しい、という信頼感もある(ミントミルクティーが好き)。
その中から、「大人のクリームソーダ」という品を選んでみた。
クリームソーダ、あの緑色の甘い炭酸とアイスの飲み物、古い喫茶店は好きだけれど、注文したのはサブカル大学生の頃が最後だったと思う。だって美味しい飲み物ならば他にたくさんあるから。

何が「大人」なのか。
ソーダ部分が、パッションフルーツ味だった。
パッションフルーツの独特な酸味が、とても爽やか。なるほど大人だ。
それから、上にどっさり乗ったアイスクリームも美味しい。可愛らしいクッキーは、中年男子と、その精神に潜むオトナ女子も大喜びだ。

たまにはこういうものもいい。飲み物ひとつで満足した。

ブログ:petit*calin日和

 

 

夕食は兄家族と。僕と父の誕生月ということで、甥姪がそのお祝いをしてくれた。
皆で食事をして、プレゼント(僕には無印良品の品、というのが定番となっている)を貰って、ケーキを食べた。
自分の誕生日に何もしなかったので(旅行の最終日で、正直なところ忘れていた)こういう祝いごとは嬉しいもの。というか、甥と姪が楽しんでくれているのが、僕も楽しい。

 

 

SONG OF THE SEA

レザークラフトや木工といった趣味の品々のせいで、部屋がごちゃっとしている。同時並行して多くのものに手をつけた結果だ。
この部屋の散らかり具合はすなわち精神のそれに繋がっている、と思う。なんとなく落ち着かない。そろそろ収束させなければ。

明日は(元気があったら)映画を観に行こう。
ソング・オブ・ザ・シー 海のうた、を観たい。これ、静岡市の映画館では「親子上映会」なのだが、中年ひとりで入れるのだろうか。行ってみて、雰囲気で決めたい。Amazonでも数百円で観られるのだけれど、映画館で観たい気分。

 

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた [DVD]

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた [DVD]

 

 

サンドイッチとかき氷

旅行および連日の猛暑によって、なんだかとっても疲れているので、今日の日記は簡略版。書いたらお風呂に入って、昼に買った本を読んで、寝る。

https://www.instagram.com/p/BYM8pQ1nerA/

お昼ごはん:イチジクとクリームチーズと生ハムのサンドイッチ(ALLEE RESTAURANT)

 

おやつ:レモンかき氷(You&Me cookies bikini)

 ※レモン味は僕のもの。友人は白桃味。

以上。

 

子育ての大誤解〔新版〕上――重要なのは親じゃない (ハヤカワ文庫NF)

子育ての大誤解〔新版〕上――重要なのは親じゃない (ハヤカワ文庫NF)

 
公正的戦闘規範 (ハヤカワ文庫 JA フ 4-4)

公正的戦闘規範 (ハヤカワ文庫 JA フ 4-4)

 

 

 

ペルー料理「FIESTA GARCIA」

帰省した友人と、静岡市のペルー料理店「FIESTA GARCIA」に行き、夜のお酒とごはんを存分に楽しんできた。
といっても僕はお酒が苦手だから、飲んだのは友人だけ。そしてこのお店はバーなので、興味があっても僕ひとりでは行けない。
地元の友人知人もお酒を飲まない人ばかり、あるいは僕とそういう店に行く間柄ではない事もあって、なかなか行けない憧れ(?)のお店だった。

場所はここ。

静岡の映画館(東宝会館)の近くにある横丁の中。ハンバーグの名店「スパーゴ」から1分。

https://www.instagram.com/p/BYLWWV2nyEg/

 

結論を書くと、ものすごーく美味しかった。
サラダからチーズから肉料理まで色々と注文した(バーにしてはよく食べる客だっただろう…)が、どれも“口に合う”という表現がぴったり来る味だったのだ。

写真の料理は、ロモサルダート。タマネギと牛肉とトマトと、それからフライドポテトが炒め合わせてある。ご飯も添えてある。

スパイスとハーブたっぷり、あるいは辛さが非日常、といった外国料理の「特徴」は無くて、実に優しい、どこか馴染みがある美味しさ。
でも醤油や味噌や出汁の、つまり日本やアジアの味とも違う。友人と「美味いが不思議」という意見で一致した。
類型があるような無いような、でもとにかく美味しいのです。

それから、それぞれの食材が美味しくて面白い。白いトウモロコシのむにっとした食感や、チーズのしこしこした歯触りと塩気のあるミルク味。

そう、この店のチーズは、地元静岡市で(店主とご兄弟が)工場を建てて、作っている品なのだった。
チーズそのものは、マルシェ的なイベントで食べたことがあって、大好物。チーズ工場は「JF食品」という。出会えれば買うし、買えれば嬉しい、そういう日常の小さな幸せの品だ。
それがもちろんこの店では、食べることができる。
生のまま、あるいは焼いたものがメニューには載っていた。僕が食べたのは、焼いたチーズで、黄色い唐辛子のソースや柚子胡椒がとても合う。ああ、お酒が飲めたらきっと素晴らしい組み合わせなのだろうなあ、と自分の体質を呪う。いや、酒飲みでなくても、これは食べる価値がある品だ。
いわゆるフレッシュチーズなのだろうか。癖が無くて、ミルクの旨味が凝縮された、ほんわりした味。小売りしているお店もあるので、興味がある静岡在住者は買うといいです。

garcia-shizuoka.owst.jp

お腹いっぱいで、今は眠い。
さきほど友人を送り届けて、今からお風呂に入るところ。

しかし暑い日だった。
家族はあまりの暑さに、静岡県を脱出して避暑に行ってしまった。ネットで「キャンセルされたので特別セールの宿泊プラン」を探しだし、友人を誘い、何人かで山梨県の涼しい場所に旅立っていった。だから今夜は家がとても静か。いいですね、避暑。僕も避暑したい。

 

旅の思い出を少し

旅行の後に「やっぱり自宅がいちばん」としみじみ思う、なんて事が僕はまるでなくて、もちろん「地元がいちばん」とも考えずに、その土地に住みたくなっているし、もっと言うとすぐに次の旅に出たい気分がしばらく続く。
先日までの2泊3日、広島県への旅もそうだった。初日について、振り返りつつ書いてみようと思う。

 

 

朝一番の新幹線に乗って静岡県中部からひたすら西へ。新幹線の乗り換えが無かったこともあり、10時には広島駅に到着。
そのまま宮島への最寄り駅、「宮島口」までは快速電車。

駅を下りると、海産物と醤油が焦げる臭いが漂ってくる。いかにも海の近くの観光地、という感じ。
コインロッカーに荷を預け、船の切符を購入し、連絡船に乗る。少し混んでいたけれど、航路は短いうえに2隻が(2つの会社が運航しているので、たぶん4隻が同時運航している)往復しているから、列が捌けるのも早い。JR汽船のほうが、鳥居の側を通るために人気がある様子。僕は往復切符を買ったが、行きはJR汽船にして、混雑を避けて帰りはもうひとつの会社を選ぶ人もいる、とのこと。

 

 

船に乗る前から見えていた宮島と厳島神社。もちろん船の上からも見物する。昨年行った小豆島や直島とは少し違う海の雰囲気。海外からのお客さんが目立つ。

宮島にはあっという間に到着する。
しばらくは門前町のようなところを歩く。古き良き観光地、聖と俗、とまではいわないまでも、お参りが最高のレジャーだった時代を思わせる。しかもきちんと老舗も残っているし、町全体が観光地として作られていることもあって、これはこれで楽しい。


とはいえ少し歩いていると混雑や食べ物の匂いに疲れてくる。裏手の古い街並みに避難して、のんびり鹿(そう、鹿がその辺に歩いているのだった)や建物を眺めて神社を目指す。

 

厳島神社は、とても開けた雰囲気。海沿いということもあって、最初の石鳥居の先は日陰が少ない明るい道が続く。古い神社としては珍しい気がする。
外国人観光客に頼まれてシャッターを押したり、道案内をして入り口を目指す。

 

厳島神社については、「面白い建物」という印象。なるほどこれが本やTVで説明されていた工夫か、と感心する。それから、わざわざこんな場所に(海の上だ)建てた昔の人の考えに思いを馳せたりもする。

神社のど真ん中、舞台みたいな場所では、武道の奉納稽古みたいなものをやっていた。普通の竹刀を使った剣道ではなくて、いわゆる古武術、槍術や居合い、どこかの土地で継承されている兵法や脇差し術といった珍しいものばかり。
これはもう、得をしたと言っていいと思う。海外からの観光客も大変に喜んでいた。

 

食事は名物の穴子丼。
調べておいた「あなご飯 和田」で食べた。10分と少しは待っただろうか。有名店で行列は覚悟していたけれど、外のベンチや周辺は見晴らしが良くて、表通りからの喧噪からも遠く、待っていて苦にならない。


案内されてテーブルに着くとすぐに、何も聞かれなくとも「あなご飯」がやってくる。香ばしく焼いた穴子と、甘いタレ。タレの量は少なめ、かつ絶妙だった。もう穴子丼に関してはここが決定版じゃないか、とその時には思ったし、別の場所でも穴子丼は食べたけれど、やはりこの「和田」がいちばんだと思う。
持ち帰りのお弁当が買いたいのなら別だが、もっと有名な店で何十分も並ぶよりも、島に渡ったらまずここを目指して腹ごしらえ、という戦略が良いのではないか。

 

 

さて、もう一つの目的地である「宮島水族館」も、神社からすぐのところにある。
小さいながらも楽しいところ、という評判だが、意外と充実していて、見応えがある。

 


定番の「里山に住む生き物と魚」や「磯の生き物を触ってみよう」という展示も良かったけれど、いちばん気に入ったが「牡蠣の養殖」をそのまま大きな水槽に再現した展示水槽。
小さなサメが元気に泳ぎ、小魚が群れ、牡蠣を育てる紐の間にはコウイカの類が佇む。よく見ると紐にはイカの卵が産み付けられている。
ひとつの牡蠣養殖筏に生まれた小さな世界。よく見れば見るほど発見がある。牡蠣の産地だからこそ映える展示だった。

 

他の海獣類、スナメリも堪能した。
アシカのショーは観なかったが、頻繁にあちこちで餌やりショーやイベントを行っているようで、ちびっ子には嬉しいのではないか。
良い水族館。おすすめ。

 

おやつは紅葉饅頭。
できるだけあっさりしたもの、ということでこれも下調べをしておいた。「岩村もみじ屋」というお店。地味だけれど地方発送もしていて、なんとなく固定ファンがいるのではないかと推測する。


こしあん」を1つ買って、店のベンチでいただく。確かに上品。お土産でいただく、べたっとした甘さの紅葉饅頭も好きだけれど、現地で食べるならこういう品がいい。出来たてなのか、温かい。

 

 

紅葉饅頭はあっさり! と言いつつ、せっかくだからと「揚げ紅葉」も食べた。
こちらは元祖を名乗るお店。店名は忘れたが、行けばわかるだろう。
お饅頭の天ぷら自体はそれほど驚かない。下手物扱いしている人を見ると「教養が足りぬ」とさえ思う。餡入りの菓子を揚げるなんて、そう珍しいことではない。
ただし型焼きのカステラ饅頭を揚げたものは、僕は初めて出会う。衣で紅葉形が台無しだとは思うが、これはこれで美味しい。

 

 

広島に帰ってきたら、まずは宿にチェックイン。
それから「広島現代美術館」を目指す。
まだ街の広さや地形の感覚が掴めず、交通網も理解していない状況で、しかも閉館時間(というかその30分前の入場終了時間)を気にしはじめる時刻でもあったため、やや焦っていた。焦って、地図だけを見て歩いていたので、ちょっと迷う。慌てて乗ったバスでは下りるところを間違えた。
結局、最後の1km程度はタクシーに頼った。広島はタクシーが多くて助かる。
結果的に、広島現代美術館は小高い山の上にあったために、このワンメーター分の出費は、疲れた足にとても優しい贅沢となった。

基本のコレクションも、それから企画展も本当に良かった。
「モナ・ハトゥム展」は、構成はこれでいいのかしらん、とは思ったものの(中盤にパネル展じみたところがあった)、展示品そのものは興味深く鑑賞できた。
野外展示も良かった。この、がらんどうの人型みたいなものがいくつも蹲る展示など、不穏さと静謐さで頭がざわざわする。

 

閉館後は、緑濃い山の中に立体作品が散在する道を散策した。
まんが専門の図書館など、羨ましい施設があった。坂道だらけ、しかしウォーキングを楽しむ程度の脚力があれば理想的な道が続く。散歩をしている人達も多い。
帰りは山を下りて、路面電車で宿に戻る。

 

 

夜は少し繁華街を歩く。
が、僕はお酒を飲まないし、水商売のお店にも興味が無い。有名なお好み焼き専門店は、待ち時間が50分という行列ができていた。
しかも広島の中心街には、「地元民向けの小さなスーパーマーケット」が見当たらない。つまらない。
ここまで来てデパートに入ってもなあ、とひたすら歩きながら、どこにも寄れずに疲弊する。

広島は川が多い土地で、水を湛えた大きな川を眺めながらだと、風景に飽きることがない。だから、初日だというのに、やたらと歩いてしまった。

そして、ちょっとした街角に「被爆者の碑」がある。動員された学徒や、ある専門家の組合員といった、小さな集団が、街のあちこちで被爆し、亡くなったことを記してある。ああ、広島なんだなあ、と思う。

ともかく、夜の街を歩いていてもきりがない。
空腹も疲労も酷い。
というわけで駅に戻り、駅ビル2階の飲食店街でお好み焼きを食べて夕食とした。ここは混雑していたが、店を選ばなければそれほど待たない。そして、確かもう書いたかと思うが、お好み焼き自体は、個性こそあれど、どの店で食べても基本的に美味しい。味の下限と上限の間が狭い、それがソース味の粉もんというものなのだ。

 

そして「ムッシムパネン」なる不思議な名前のケーキカフェでケーキを買い、宿に戻る。お茶を飲んだりお風呂に入ったり、歩き疲れた足をケアして、寝て、1日目はおしまい。

いま思い返すと「広島現代美術館」が良かった。
宮島も、「ああいう観光地のメジャー神社はちょっと…」と思っていたのだけれど、行ってみたら楽しかった。
次はもう少し効率的に散策ができると思う。人生初の路面電車も、もう怖くない。180円均一料金はわかりやすいが、いつも財布に180円分の小銭を用意するのも面倒だから、元は取れなくても1日600円のフリーパスを買うのが楽だと思う。フリーパスがあれば、短い距離でも乗る気になるから、なおさら。僕は2日目の広島市内散策でそれを実感した。

 

では、2日目以降は明日か明後日に書く。たぶん。
今日はひたすら静かに過ごした。筋肉の疲れと、日焼けがすごい。日焼けで肌がひりひりする、という人生初の体験をしている。

 

とんがり帽子のアトリエ(2)特装版 (プレミアムKC モーニング)

それから漫画を買った。絵と構図が素晴らしい作品。この質感で漫画も描かれるのだ。
物語も、普通のファンタジーから少し工夫した加減が“良いセンス”だと思うし、展開が小気味良いのも好き。

 

 

 

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