あの広島旅行からもうすぐ2週間が経つ。早いものだ。
とにかく忘れる前に3日目の尾道観光について記録しておく。以下、覚え書き。
広島の宿をチェックアウト。尾道に移動。
以外と時間がかかった。
尾道自体は旅の予定に入れていたけれど、自転車でしまなみ海道を走るかは決めていなかった。いつか行きたい場所ではあるが、僕の脚力ではちょっと厳しい。準備も不足、時間もぎりぎり。少なくとも、適当なレンタサイクルで四国までの100kmを走り抜くのは無茶というもの。なので、思案する。
大きな橋で繋がっているとはいえ、つまりは瀬戸内の島々である。
というわけで、昨年の瀬戸内国際芸術祭でも参考にした id:cimacox さんの「生きることは物語を作ること」の8/20 瀬戸芸in豊島に倣う。つまり、動力付きの乗り物で起伏に対応し、暑さ対策十分にして挑むことにする。
上手い具合に、駅前に電動自転車のレンタサイクルがあった。
これはいわゆる「docomoの赤いレンタサイクル」であり、予約はスマホがあれば簡単。GIANTのお店がある「U2」では、めぼしい自転車は既にレンタル済みだった。
自転車は快調。
想定通り、連絡橋への上り坂はなかなかのものだったが(どの島でも、海沿いの道からその島の最高地点以上に登る道なのだ)、しかしモーターアシストがあるから平気。
なるほど素晴らしく自転車向きの道が続く。「自転車乗りの聖地」として定着したのも宜なるかな、である。信号は少なく風景は綺麗、トイレもコンビニも、休憩に適した観光地や飲食店も適度な間隔で備わっている。
連絡道路の自転車通路は何度だって往復したい気持ちよさ。自転車で走り抜けられる平坦な展望台みたいなものだ。
ただし、暑かった。
水分補給した分だけ発汗している気がする。500mLのペットボトルを1時間で1本飲んで、それでも足りないくらい。
サイクルジャージなんて持っていない。とりあえず着替えのなかで最もスポーツ向きの服に着替えて対応したが、それでもシャツはびしょ濡れ、あるいは熱風でカラカラ、という極端な状況が続く。
旅の終わり、電車に乗る前には「U2」でシャワーを浴びたのだが(シャワールームをこれほど有難いと思ったことは無い)、日焼けと乾いた汗の結晶が、まるで肉体労働者みたいだった。
ともあれ、水分補給がここまで健康管理に直結する状況は、僕の日常では珍しい。
こりゃあ塩も欲しい、と考え、甘くて乾燥した梅干しをコンビニで買った。
これを珍しそうに見ていたオランダ人カップルに分けてあげたところ(ソルトフレーバーのドライ・プラムでありジャパンのトラディショナルフードなのだ、と説明)、大変喜ばれた。
別のコンビニで再会したところ(各所のコンビニが補給地点となっていて、よく同じ顔を見かけた)、あのドライプラムはどこにあるのだ、と質問されたくらいだ。そんなに美味しいものとも思えないのだが、まあ、良かった。
暑いといえば、前日に帽子を紛失していたのだった。
これもかなり危機的な状況。頭が暑くてぼうっとしてくる。
そしてしまなみ海道の島々は、コンビニは意外と多く、ホームセンターだってあるのに、帽子を売っている店が見つからない。田舎というのは、ネイルサロンはあるのに、服は「街へ行け」なのだ。
ともかくそういう暑さとの戦いをなんとか凌ぎ、仮の目的地である生口島まで到着。
目に付いたジェラート店でスイカジェラートおよびレモンジェラートを食べる。これはもう、身体が求めていた味だった。少し加えられた塩味が嬉しい。有名なお店だとは後で知った。
変な寺、といったら罰が当たる、でも独特のお寺。
あなご丼と和食のセットを「お食事処かねよし」で食べ、すぐ近くの平山郁夫美術館でクールダウン。
そして、フェリーで尾道港まで帰る。正直なところ、この生口島での散策は暑くてあまり覚えていない。お寺も見たし、自転車で港周辺も探検したのだけれど。島の最も高い建築物よりも、ドックに入渠している自動車運搬船のほうが遙かに大きい、というのは面白い風景だった。
フェリーはもう、びっくりするくらいに小さかった。剥がれそうなベニヤ板にシールが貼られているあたり、なんとなく廃屋とか「昔住んでいた家」みたいな趣きがある。エアコンだってついていない。
それにしても造船所が多い地域だった。あんなにドックとクレーンを見たのは、生涯で初である。
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尾道の街といえば、いちばん上にある寺に行き、のんびり下るのが定番の観光ルートだろう。しかしそこまでの時間が無さそう。
これもまた前述の「生きることは物語を作ること」で知った珈琲店「Antenna Coffee house」にだけは行きたい。というわけで、行ってきた。
とびきり美味しいコーヒーを飲んで、壁の本を眺めて、今日はじめてのんびりした時を過ごす。良いお店でした。
隣の雑貨と活版印刷のお店も素敵。
この店を起点に、近所を散策。結局、坂を上り下りして、足は限界寸前。でもやはり坂のある街というのは素晴らしい。何本もの映画がこの街を舞台にしているのもわかる気がする。
「画になる街」なのだ。
ところどころで個人のお店が頑張っているのも、良い感じ。古い家を若い人達がお店にしている。
年寄り向けレトロ土産店は無視して、猫を撮ったり雑貨屋を冷やかして(あるいは衝動買いして)街を楽しむ。
さて夕方だ、静岡に帰ろう、という前に尾道ラーメンを食べて(昔はきっと“特徴のあるラーメン”だったとは思う。今は普通に美味しい)、福山まで移動し、新幹線で帰る。
日程と体力に無理のある旅だった。
でも、間違いなく、行って良かった。なんとなく、広島県はあと何度か行きそうな予感がしている。大雑把な土地勘も身についた。次はもっと上手くやります。できれば牡蠣のベストシーズンがいいなあ。
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全然関係無いけれど、この本が素敵に面白かった。
文豪がキュート。