「三重県立美術館 モダニストの日本美―石元泰博「桂」の系譜」と、津の老舗洋食屋さんと、それから美味しいコーヒーと。

昨日は三重県にいた。
一晩経って、なんとなく不思議に思う。車で3時間の距離だが(ちなみに2日間の総移動距離は550km,車の燃費は20.9km/Lだった)旅の翌日というのは何か馴染まないものがある。

その三重県では、友人宅に泊まらせてもらって、それから三重県立美術館の企画展に行ったのだった。

 

正直なところ、パンフレットや事前情報だけでは、強い興味を持てなかった。この友人達とならば面白い話ができるのではないか、という期待が無ければわざわざ津にまで行かなかっただろう。

僕のぼんやりとした予備知識としては、「かつて、西洋で「モダニズム建築」を推進していた人が、日本の建築、特に桂離宮を「これぞモダニズムなり」と激賞した。日本人はそれを受けて、自国の“すっきりした古い建物”を見直すようになった」くらいだろうか。

ここでパンフレットから企画展の概要を引用する。

サンフランシスコに生まれ、シカゴのインスティテュート・オヴ・デザイン(通称、ニュー・バウハウス)に学んだ写真家、石元泰博(いしもと・やすひろ1921-2012)は、1953、4年に桂離宮を撮影、1960年、建築家W・グロピウス、丹下健三との共著による写真集『KATSURA』を日米で出版し、内外から注目を集めました。これはモダニスト的な視点が日本の伝統美を捉えた代表的な作例と見なされます。

 日本の古典美と西洋モダニズムとの親和、類似を見る視点の系譜は、昭和初期にまでたどることができます。前衛画家、三岸好太郎は、モダニズムが究極にまで進んだなかに東洋的なものが現れるという認識を述べました。建築家ル・コルビュジエらのモダニズム建築が日本に紹介された時、日本の伝統建築との類似が指摘され、古建築が再評価されます。1933年に建築家ブルーノ・タウトが来日して桂離宮伊勢神宮を賛美し、大きな影響を与えたことは言うまでもありません。さらに長谷川三郎やイサム・ノグチといった造形作家も近代的な精神から日本の古典美を改めて評価しつつ自らの創作を行いました。

 本展では、伝統的な日本美をモダニストが再評価した系譜を作品や資料によってたどりつつ、そのひとつの到達点として石元の「桂」を位置づけ、このシリーズの代表的な作例50点を紹介します。

というわけで、その桂離宮を撮影した写真集(と写真家と、その周囲の人達)を紹介しつつ、それ以前の戦前から続くモダニズムと日本建築との関わりをずらずらっと紹介する展示。

なるほどー、とは思うが、よくわからない。
展示の最初のほうは、それぞれの時代の資料と解説文 を読んでも、それほど楽しくはなかった。そういう事も有ったんですね、くらいの感想。
それが中盤から、だんだん面白くなってくる。
現代のクールでモダンなあれこれ、雑誌の“建築特集”で並ぶ面々が登場する。そして、タイトルにある写真集「桂」の現物も見ることができるようになる。

美術展、というよりも博物館の特別展示みたいな面白さがあった。
というか、桂離宮の(あるいは他の日本建築の)さっぱりとしてクリーンな雰囲気を「おおモダニズムだ!」と言われて、その芸術的な素晴らしさや展望を語られても、正直なところぴんとこない。規格化された材質と工法があれば、日本だろうがモンゴルだろうがアステカだろうが、無駄の無いモダニズム的な意匠や思想は生じるのではないだろうか。たまたま西洋で発生したムーブメントのタイミングと、日本との交流が盛んになった時期がシンクロしたのでこうして語られるわけだが、あのごちゃっとした装飾過多のベトナムカンボジアでも、はっとするようなシンプルな造形を見つけることはできる。

とはいえ、そういう“時代のうねり”と、そこから強く影響を受けた建築デザインの巨匠達をこうして一連なりの展示として楽しめたのは、紛れもない有意義な時間だった。
というよりも、思いがけず楽しめてしまった。

以前行った「テオ・ヤンセン展」の時とは違い、ひっそりとした雰囲気。一般向けじゃないかもなあ、とは思う。
しかし行ってみると、きっと楽しめると思う。三重県に住んでいるのならば、ちょっと気になる程度の興味があるのなら、立ち寄って欲しい。良い展示でした。

三重県立美術館 モダニストの日本美―石元泰博「桂」の系譜

 

 

 

美術館のあとには昼食を。これも友人達のおすすめで、老舗の洋食屋さん「中津軒」へ。
この店のスペシャルという「メアベア」を注文。スペルは「Meyarbeyar」で、たぶん人名なのではないかと推測する(調べない)。スパゲッティーではなくてスパーゲット、バターではなくバタと表記してあるメニューでわかるように、とても古いお店なのだ。

メアベアというのはどういう料理か。
デミグラスソースあるいはハヤシライスのソース部分に、さらに玉葱と鶏肉と牛の薄切り肉を加え、玉子を落としてオーブンで焼いた美味しいもの、である。プラス何かが加えられているかもしれないが、大筋では合っているはず。
間違い無く美味しい。
僕は単品で注文したが、本来はパンやライスと楽しむものだろう。

しかしこの店、何を注文しても絶対に美味しいはずだ。近くの席で供されていたオムレツも、友人達が食べたランチセットも、本当に素晴らしく見えた。
スペシャルメニューのメアベアを注文したことに悔いは無いが、でももっと色々な種類のものを食べてみたい、ハムエッグからステーキまで制覇したくなる、そんなお店。

三重県に遊びに行って、いつも四日市菰野の周辺をぐるぐる回る。遠くて鈴鹿。それ以上は、遠出となってしまう。
だからこそ、こうして美術館や、その後のごはんを誘ってくれる友人には感謝している。津は面白い街です。自転車があれば散策も楽しい。

 

 

古地図で楽しむ三重 (爽BOOKS)

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友人達とは「エジソン休憩所」なるコーヒー店にも行った。
農産物直売所の一角にある、という不思議な喫茶店というかカフェ。りんご箱で区切られた居心地の良い空間で、とびきり美味しいコーヒーを楽しむことができた。
Instagramその他で友人知人それから見知らぬ三重県民がこぞってこの店を褒めていたので、気にはなっていた。なるほど人気なのもわかる。
良い意味でマニアックなお店。ちなみに直売所の野菜も安かったけれど、さすがに旅の途中で葱や芋は買えない。

 

 

という感じの旅をしてきました。
夕方には菰野町まで行ったし、雑貨屋Noviでも文具などを買いこんで、おまけに帰りには御在所ICで赤福餅と抹茶のバリュー・セットも堪能してしまった。

今日は延々と「家のこと」を済ませて1日が終わってしまった。
寝坊して二度寝したせいもあって、部屋の模様替え(一昨日に購入したIKEAの棚を活用したい)が中途半端。この状態で寝ろというのか、と自分を責めつつ、今から寝ます。おやすみなさい。