Atelier Petit*Calinのケーキと、読書「先生とそのお布団」と、穏やかな日曜日。

休日。映画を見損ねた。
それでも静岡の街には用事があって出かけた。自転車だと少し寒い。とはいえ、今のところ真冬のコートは着ていない。軽いものを重ね着してなんとか過ごせているのだから、静岡はやはり温暖である。

午前中のおやつに「Atelier Petit*Calin」へ行く。
美味しくて可愛いケーキだが、名前は忘れた。洋酒が香るババロアとは少し違う何かに苺が合わせてある。あっ、書いていて思いだした、マラコフトルテだ。紅ほっぺのマラコフトルテ。
クリスマス前ということで盛り付けも華やか。苺のサンタクロースにきちんと顎髭があるあたり、凝っている。

 

週末のお菓子屋🍰AtelierPetit*Calin (@itsutsuki) • Instagram photos and videos

petit*calin日和

Atelier Petit*Calin
ShopOpen→毎週金・土・日(AM11:00~PM5:00)
Address→〒420-0886 静岡市葵区大岩4丁目29-29
TEL&FAX→054-209-2050

 

 

転職してからもうすぐ3週間、今のところ平日は余裕を持って過ごせている。試用期間中だから残業は無い。
朝ものんびり。
今まで大企業の製造部門(あるいは同じ敷地の研究開発部門)で働いてきたので、出勤時刻はかなり早かった*1。新しい職場は9:00スタートで、しかも通勤時間が10分未満だから、とても楽なのだ。朝は身支度を済ませてから部屋の片付けやWebサイトの巡回をして、それでも焦らず出発できる。

というわけで、休日もなんとなくのんびりしている。観たい映画がたくさんあること、年賀状その他の年末タスクが放置気味なこと、それ以外はおおむね落ち着いている。
仕事に関する買い物(スーツや鞄や、それからキャリーケースも買った)も一段落した。
何か忘れているな、と考えて、そういえば読書が中途半端なままだったと気づき、午後は読みかけの本に集中することに決めた。

 

 

ずっと、それこそ10年以上もほとんど近づいていなかった「ライトノベル」という分野の小説を、最近また読むようになった。これはTwitterの影響が大きいと思う。好きなSF作家がライトノベル・レーベルでも作品を発表したので、ファンとしては読まねばと買い始めたのもきっかけのひとつ。
ファンタジーやラブコメものではなくて、ちょっと主流から外れたようなものばかり買っている。その中でもこの「先生とそのお布団」は、ちょっと泣いてしまいそうなくらいに共感するところがあった。

「お布団」が主人公で、職業は売れないライトノベル作家。もはや中年で、アルバイトをしながら執筆は続けているが、いまいちぱっとしない。
「先生」は猫。なぜか主人公とは人語で話す。そして、出版の世界にとても詳しい。読書も好き。

彼らの生活が、わりと淡々とした描写で描かれていく。
「猫も作家も、死なない」と語る先生の言葉が心に残る。生まれそして死んでいくそれぞれの猫が紡ぐ「人と猫」の関係性こそが猫であり、大作家から売れない主人公まで、書き綴らねばいられない人達の通った道が作家という「大きな命」だと猫である「先生」は説く。だから報われなくとも書き続けろ、と。
何者にも成れず、しかしその道を進む、そんな実感は誰にでもあると思う。思うようにいかないことばかり。報われない。しかしそんな失敗と挫折が世界を紡ぐのだとしたら…と考えると、それはひとつの希望となる。
不思議なトーンの小説だった。ライトノベルでこそ書けた軽み、だと思う。面白かった。
ページ数はそこそこあるが、文字数は少ないから読んでいて楽。読書好きの人ならばどこかに面白さを見出せると思う。おすすめです。

 

先生とそのお布団 (ガガガ文庫)

先生とそのお布団 (ガガガ文庫)

 

 電子版なら、無料の試し読みもできます。僕はお試し版で気に入って買ったのだけれど、好きなのは後半だから、興味があったら買うのがよろしい。ライトノベル、安価なのも有難い。

 

まだ「何者」にもなれない「誰か」へ――。

家に猫がいる者ならたいてい「うちの猫は特別だ」という。
だが彼とともにいた猫は本当に特別だった。
九年間、小説を書くときにはいつもそばにその猫がいた。その猫がいなければ小説なんて書けなかった。
彼は猫を飼っていたわけではなかった。ただ猫とともに暮らしていた。
――本文より抜粋
これは石川布団という作家と、人語を解す「先生」と呼ばれる不思議な猫とがつむぎ合う苦悩の日々。
企画のボツ、原稿へのダメ出し、打ち切り、他社への持ち込みetc...
様々な挫折と障害に揉まれながらも、布団は小説を書き続ける。
時には読者に励まされ、時には作家仲間に叱咤され、ひとつひとつの出来事に、一喜一憂していきながら、素直に、愚直に、丁寧に、時にくじけて「先生」に優しく厳しく叱咤激励されながら――。

これは売れないライトノベル作家と「先生」とが紡ぎ合う、己が望む「何か」にまだ辿り着かぬ人々へのエール。
優しく、そして暖かな執筆譚。
カクヨムで話題を呼んだ、奇才・石川博品の同名短編小説を、大幅加筆修正した完全版。

 

お題「ちょっとした贅沢」

お題「今日のおやつ」

 

*1:鉄道や幹線道路を何本も横切り通勤する必要があり、通勤時間がとても長かったことも朝に余裕がない理由のひとつ。

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