10月10日(月)豊島(後編) #瀬戸内国際芸術祭

そろそろ書いておかないと忘れてしまう。
旅の思い出。

 

10月10日は旅の最終日。つまり、帰る時刻を気にする必要があった。翌日から普通に出勤するから、あまり無理はできない。

でも予想していたよりも、自由自在に島を巡ることができた。電動自転車がそれを可能にした。

例えば昼食の確保と、それに伴う時間的制約。
豊島といえば「島キッチン」だが、ここの混み具合はすごかった。豊島美術館のあとに、開店直後に訪れたのだが、列に並んで得たのは「1時間30分後の予約」。
こういう時こそ自転車の機動力が発揮される。

 

 

 

いちおう時刻の20分前にアラームをセットし、まずは島キッチンの周辺を巡る。それから、やや離れた「唐櫃浜」の集落に向かう。途中で再び豊島美術館へ立ち寄り、お茶を飲みつつ休憩。
唐櫃浜へ行く途中で寄り道をしつつ、島のスケール感を明確にする。地図だけでは掴めない時間と距離がわかれば、安心して展示を楽しめる。他の島ならばともかく、豊島は山道が続くため、電動自転車でなければできなかったと思う。

唐櫃浜では軽く食事をとる。
といっても、きちんとしたお店は無く、お年寄りがリヤカーに乗せて売りにきた「たこ飯」の最後の1個を、知らない旅行者達と半分ずつ買っただけ。でもとても美味しかったし、彼女達とのやりとりも楽しかった。たぶんミカン、でも皮が綺麗ではなくて酸味が強い柑橘類を1個貰う。

 

唐櫃港から少し離れたところにある「心臓音のアーカイブ」、ここは素晴らしい場所だった。ひみつ基地というか、自分だけの場所というか。真っ暗な展示室と、外の美しい浜辺。長い時間を過ごしたし、またいつか行きたいとも思った。この旅で「美しい景色」といえば、ここを思い出す。

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「島キッチン」のごはんは、美味しい。ただし格別に美味で旅の醍醐味を感じる、という程のものではないと思う。あくまで家庭料理の延長というのだろうか。帰りに(お茶を飲みに)立ち寄った「海のレストラン」のほうが好みには合う。

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バス停はあるものの、1箇所だけ離れていて、しかも山の中、という立地だからか、他の展示に比べて静かだった「トムナフーリ」は、しかし素晴らしいアートだった。
どう見たって作り物、謳われている「スーパーカミオカンデニュートリノ検出と連動して発光する」だって意味があるとは思えないのだが、そういう理屈を超えて、あの沼地とオブジェが特別に見えてくる。こればっかりは行ってみないと、という奴である。
SFと梨木香歩が好きなら最高に“持っていかれる”ような気がする。

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「豊島シーウォールハウス」もまた、印象に残った展示。
なるほど民家を改造した展示、なるほどこのスクリーンに映像が、なるほどこのドラムセットは実際に音が…と個別に見ていて、それらが連動してひとつの音楽ともいえない何かを作り上げていると気付いてからが長かった。なかなか立ち去るタイミングが掴めない。賑やかではないし、緊張もリラックスもしないのに、ただそこにいたいとだけ思える。希有な体験をした。

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見たいところは概ね見たし、まずは船の切符を確保して、あとはのんびり港の周りを散策しよう、などと考え家浦の港に寄ってみたところ、既に切符売り場への行列ができていた。まだ販売時刻でもないのに。急いで自転車を返し、列に並ぶ。数十分並んだあとに、ようやく切符を買うことができた。後から来た人達のなかには、希望する船に乗れなかった人もいた様子。
僕も「犬島」経由の便を薦められた。犬島に寄って展示を見て、それから本州に渡る、というプラン。かなり心惹かれたけれど、時間が遅くなるため断念。

ともあれさようなら瀬戸内国際芸術祭。
最後に宇野港、そう、春に訪れた時は起点となった港に戻ってきた時は、ちょっとつつけば泣いてしまいそうだった。旅の終わりはいつも寂しいが、感慨という点では特別な旅だったと思う。

 

 

 

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そして今日、いつもの「つきさむ」でおやつ(クリームタルト)とコーヒーを楽しんでいた時に、置いてあったフライヤーで「北アルプス国際芸術祭2017」の存在を知った。

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今はもう冷静だが、知った直後は「これは行くしかないだろう」と心がざわめいた。今までの人生で、特定のイベント、例えば野外フェスとか御開帳とか、何かひとつのテーマで旅行を続けたことが一度も無いのだけれど(しいて言えば水族館)、これからは「国際芸術祭」を軸にした旅をしそうな気がする。「瀬戸内国際芸術祭2016」が僕に残したもの、それは次の旅のテーマかもしれない。
ここ最近なんとなく続いている、「かっこいい美術館」にも行きたい気分も、同じく、春と秋の瀬戸内旅行が影響しているだろうし。

 

旅を続けるために、またしばらく勤労の日々に。
旅を続けるために、とりあえず死なないように頑張ろう。