知恵を使う場所

 

 

今の勤め先では、いまだに「Office2003」が現役である。
確かサポートが終了していて、だから他の部署や他社からはバージョンアップを求められているのだが、コストや手間を理由に「部分導入」でごまかしている。
この「部分導入」というのが曲者で、大抵は現在のリボンインターフェースをちょっと触って「ううっ使いづらい」と敬遠し遠ざける、そういう個々人の気分が、積極的更新を阻んでいる、ように僕からは見える。

そろそろリボンインターフェースには慣れたほうが後々の為になると思う。最初は使いづらいかもしれないが、大企業の専門家が集まって練り上げたインターフェイスであり、世界中でそれなりに受け入れられているものなのだから、最初の戸惑いで毛嫌いするのは馬鹿馬鹿しい。あんなもの、1ヶ月かからず慣れる。そういうふうに設計されているのだ。
それになにより、サポート切れのオフィススイートなんて、車検切れの車みたいなものだ。自分はよくても周囲が困る。そしてたぶん、自分たちの生産性も落としている。

低反発リビドー (ゼノンコミックス)

そんな職場なので、妙な(というのはネ申エクセル的な)テクニックが多く伝えられている。
今日は「『印刷プレビュー』を表示したプレゼンテーション」に遭遇した。
エクセルで書類を作り、「印刷プレビュー」機能により枠線などが消え1画面にまとめて収まった図表が、プロジェクターに映し出される。もちろん見栄えは悪いし、拡大縮小も制限される。
こういうのは恥ずかしいと思う。
包丁でネジを緩めるようなタイプの知恵は、ことオフィススイートの操作に関しては適用しないほうが利口だ。僕達は限られた道具を用いて予想のつかない大自然と戦っているわけではない。パーソナルコンピュータの“中”は、基本的に人の構築した世界なのだから。
まずマニュアルを読み、時間があったら系統的に学び、ソフトウェア開発者の意図するところを探る。それだけでずいぶん生産性は向上する。それと他人にも使いやすいファイルを残すことを考えるだけで、いわゆる事務仕事はずいぶん楽になる。

そんな話を、今日は上司にしてみた。
上手に話しても心象を悪くする類の話題だが、「まあいいやその時はその時だ。とりあえず全ての印刷物をExcelで作る“文化”は考えなおしてもわらないと僕の身がもたないし、機械の図面をExcelで作るのは(取引先に対して)恥ずかしい」という気分だったために、それなりに言葉を選んで伝えてみた。
「なるほど正論だ。ただし我が社はAppleGoogleではないのだから、そういう高度なデジタル技術は導入できないだろう」という返答。「いやそうじゃなくて」と言いかけたが、それ以上話すには休憩時間は短すぎるので止めておいた。
とりあえずは、自分がぱぱっと見栄えの良い素敵な「印刷物」を作り続けて、認識を変えて行こうと思う。しかし「そういう事ができるのはパソコンに詳しいkato君だからだろう」で終わってしまいそうな気もしている。
それにOffice2003では難しい。2003年当時よりも、その使いづらさに磨きがかかっているように、2015年の現代人は思うのである。「ああ、こりゃMicrosoftの開発チームが大幅刷新を考えるのも当然だな」と感じる箇所が多々ある。

絶望はしないが、こういう疲れかたは嫌なものだ。たぶん肉体的疲労の次くらいに、個人的には苦手な疲労だと思う。

 

Office2003と比べてわかる Office2013 (比べてわかるシリーズ)

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