ほぼカルダモン・ティー

仕事のある日は、魔法瓶に紅茶を入れるのが朝の習慣となっている。

休憩時間などに飲むためのもの。
職場の各所に自動販売機(缶、ペットボトル、紙コップ)もあるし、社員食堂にはコンビニエンスストア的な売店も併設されているから、飲み物には困らない。休憩室には冷蔵庫もあり、もっと冷やしたければ−5℃から−40℃まで、たくさんの冷凍冷蔵設備も使える。でも温かいものは冷めてしまうし(保温庫もあるが、危険物と毒物が並んでいて、食品を置いたら怒られる)、どうしても「飲みたいものが無い」という状況になるから、もう飲み物は自分で用意することに決めた。経済的でもある。
経済的、という観点からするとミーティング用の部屋には給茶機があるけれど、社内向けルールブックの「週の最初に使う人は茶葉を交換し、機内を洗浄すること。週末に使用した葉が腐っています」という注意書きを見てからは、飲まないことにした。たぶん飲んでいるのは来客者だけだと思う。

その紅茶の淹れ方は、簡略化の極みにある。

  1. 朝食終了。
  2. 魔法瓶(990mL )にお湯を入れる。同時にインスタント・コーヒーをマグカップ1杯ぶん作る。
  3. 自室に運び、魔法瓶にティーバッグを放り込む。
  4. 身支度をする。
  5. メールチェックなどをしながら、コーヒーを飲む。
  6. ティーバッグを回収(マグカップに入れる)。
  7. 気分により、シナモンパウダーを振り入れる。
  8. 魔法瓶に蓋をして、かばんに収納。
  9. 家を出る際に、マグカップは台所に返却(余裕があれば洗浄)。

時間的余裕が無ければ、ティーバッグは回収せずに、そのままの時もある。紙の“持ち手”だけ切り捨てて浸けたまま。これはこれで、濃くて美味しい、と個人的には思っている。

普通のステンレス製の魔法瓶(真空断熱水筒)だからか、すっかり紅茶の匂いがついてしまった。たまに緑茶を入れると、不思議な風味のお茶ができあがる。
だから紅茶専用にしている。

紅茶のティーバッグは、50袋がひとまとめになった、リプトンのいちばん安い品を愛用中。箱型のビニールパックに入っていて、あの小さな紙袋をぴりぴりと破く手間が省ける。これを広口のガラスジャーに移し替えて、毎朝の作業をできるだけ少ない手順で行えるようにしている。
味はたぶん、上質ではないだろう。でも休憩時間にちびちび飲むぶんには全然かまわないし、なんとなくトルコ料理店やロシア料理店で飲む紅茶のような味わいがある。

 

 

 

ここまでが前置き。
12月の中頃にふと、ジンジャーティーが作れたらいいなあ、と考えるようになった。身体を温める、みたいな話ではなくて、単に寒い日にはジンジャーティーが美味しい。
ジンジャーパウダーがあれば簡単なのはわかっていた。シナモンパウダーと同様、振り入れればいい。
でもいつも買い忘れてしまい、探した時には売っていない。

先日、このジンジャーパウダーを購入することができた。
「そうだ。カルダモンも加えれば、家にあるシナモンパウダーと合わせて、ミルク抜きのチャイができる」と思いつき、カルダモンパウダーも買った。そして、今日、スパイスの調合を試みた。

いま、作業が完了したところ。
瓶に残っていたシナモンパウダー(全体の40%)に、ジンジャーパウダー(40%)とカルダモンパウダー(20%)を混ぜこんだ。分量外として、台所にあったナツメグを少々。ごく微量の胡椒と唐辛子粉は隠し味。
特に調べたりはせず、単純に「ジンジャー多め。カルダモンは風味が強いから少なめ」くらいの気分で作ったのだが、それでもかなりカルダモンの香りが強い。
こうして、ほぼカルダモン・ティー(の素)が完成した。
シナモンパウダーが入っていた瓶に詰めた。

試しに紅茶を淹れて、このミックススパイスを入れてみたところ、一応は目論見通りの「砂糖とミルク抜きのチャイ」の味になった。

なかなか良い試みだったと思う。
田舎だからか、「チャイ用ミックススパイス」は何処にも売っていないし(インスタントチャイはコンビニでも置いてある)、こうして作れば400円と少しで、好みの味ができる。

 

この調合作業、家族に見られると誤解が生じるので、注意が必要(経験による注意喚起)。
母はたぶん、かなり驚いたのではないか。「大丈夫です。これは非合法な品ではありません」と説明はしたものの、見た目はニュース番組の「イメージ映像」に出てきそうな“得体の知れない粉の山”なのだ。白い紙の上にスパイス各種を盛って、少しずつ切り混ぜていたのが、さらに印象を悪くしたのかもしれない。
いろんな「やばいもの」が一緒になったイメージではあるけれど、でも母は「ああ、マリファナにしては細かいし、一般的な合成麻薬はこんな色をしていない。脱法ドラッグだとしても低品質だろうから、まずは安心ね。香りからして安いシナモンとカルダモンと生姜だろう」とは考えない人なのだ。

それと、作業中はひたすら、あの懐かしい「90年代のアジアン雑貨店」の匂いが部屋に充満するのも問題点として記しておきたい。
今だってほんのりと、輸入雑貨店の奥のほうの匂いが残っている。
お香を焚いて、ついでに匂いつきの石鹸でも置けば完璧だろう。でも今日はもう眠いから、酔狂をしている時間は無い。できればこのカルダモン・シナモン・ジンジャー臭が安眠に良い影響を与えてくれると有り難いのだけれど。

そういえば、職場でこの匂いが問題になったら困る。
まあたぶん、大丈夫だろう。使用量は控えめにするし、紅茶の香りも混ざる。
それに、休憩時間に一緒になる人達は、デトックスとかコラーゲンとかマイナスイオンを尊んでいるようだから、きっと好感をもって受け入れてくれるはず。アジアン雑貨店だって、似たようなものだ(チャクラだって開けるかもしれない)。