
今日のお昼ごはんは、海南チキンライス。
いわゆるカオマンガイ、シンガポールチキンライスと呼ばれるものだ。それぞれ微妙に違うのだが、茹でた鶏と、鶏の茹で汁で炊いたご飯の組み合わせの、東南アジアの味である。
今日はこれを、清水区のショッピングモールのフードコートで食べた。
ショッピングモールというか、ほぼディスカウントストアである。百円ショップや中古服やペットショップも入っているが、どの店も当然ながら安っぽい。派手な装飾と賑やかなBGMで、慣れないと疲れてしまう。新しく入ったであろう家電量販店でさえ、既に安売り専門店じみた雰囲気を纏っていた。
そんなごちゃごちゃした場所の、通路みたいなフードコートにあるエスニック料理店に、この海南チキンライスがあった。
座りの悪いチェアとテーブル、寒いくらいに効いたエアコン、しかし隙間から熱風が入り込む、そんな場所である。
そして派手で薄いプラスチックトレイに、熱で曲がって安定しない皿に盛られた料理。東南アジアを旅行中に、自由行動で「地元の人が行く店」で食べた時のような風情がある。
実際にこのチキンライスは500円。破格の安さだ。
でも、味も雰囲気も、コスパ云々を抜きにしても大満足だった。
もちろん、街のカフェで食べるカオマンガイほどリッチな味ではない。若い頃に世界旅行をして経験を積んだ*1女店主が地元の安心でオーガニックな食材だけで作るほっこりチキンライスとは何もかもが違う。
生姜は足りないし、鶏の風味も弱い。付け合せのサラダも貧弱だ。
値段相応の安い飯である。
でも、だからこそ、この場所には合っている。別にショッピングモール側だって狙ってこういう雰囲気のフードコートで、こういう海南チキンライスを用意したわけではないと思うが、でも自分にとっては全てがパーフェクトだった。
あるいは、もう今の時代に海外旅行に行っても、ここまで安食堂っぽい品には出会えないかもしれない。そういうものを、気楽に、安全に、静岡市清水区で楽しめたのだから、とても良い経験だったと思っている。
これで、朱色で光沢のある安っぽい一体成型のプラスチック・スツールがあれば完璧だった。外気温や湿度も含め、ほぼ東南アジアである。
仕事の合間になんとなく立ち寄った場所で、消去法的に選んだ店と料理だが、実にすばらしい体験だった。
こうして書けば書くほど嫌な奴みたいに思われそうだけれど*2、特に「安い飯」が画一化されている昨今では、こういう場所は逆に貴重なのだ。
経済的に衰退していく本邦では、全国的にこういう風景や料理が広まっているのかもしれないけれど。SF小説「アンダーグラウンド・マーケット」に描かれた近未来は、近い。







