先週の旅行で立ち寄った、愛知県名古屋市の「トヨタ産業博物館」について書く。
結論から書くと、すばらしい企業博物館だった。日本一かもしれない。

静岡県から三重県に行く時は、途中で愛知県を通る。
三重県には住んでいたこともあるし、今でも頻繁に行き来している。だから、愛知県の県庁所在地にあるこの博物館は、ちょっと寄り道すれば行けるはずだった。
でも「なんとなく」行きそびれていた。
いつでも行けると思うと、いつも行かない。そういう場所だ。
今回はじめて訪れたのも、三重県に行く途中に「なんとなく」立ち寄っただけ。しいて言えば、その後に福井県へ向かうときに、時間の使い方としてちょうど良かったからだ。
今では自動車のトヨタだが、創業は自動織機のメーカーだった。
この博物館の前半分は、この織機・繊維産業についてのものとなっている。


こういった当時の織機や紡績の機械が、動かせるかたちで展示されている。
きちんと動力につながっていて、説明スタッフが動かしてくれる。
天井側にある回転軸からプーリーとベルト(ロープや革ベルト)で回転動力を取るだけで、あとは当時のまま動くのだからすごい。ものすごい音とともに、布が出来上がっていくところは迫力があった。

パンチカードやカムによる制御は僕の大好物である。
実際に動いているところは、本当にすばらしい。
ガイドなのか学芸員なのか、世界各国の言葉で説明しながら機械を動かしてくれる。だから、外国人観光客も日本人も、みんな夢中で話を聞く。
特に中国語の解説と、それを聞いている人達は、とても熱心だった。日本よりは近代化が遅れた分、こういった試行錯誤と発展の物語は、すぐ近くに感じられたのかもしれない。中国語の解説の人は、朗々と高らかに、TOYOTAの機械について話していて、言葉がほとんどわからない自分でも「良いことを言っているな」と伝わってきた。


当時を模したのか修復したのか、巨大な工場の中が全て博物館になっている。
レンガ作りや鉄骨の、とても美しい建物だ。
その中に、古い工場(こうば)が移築されているのもおもしろい。ここは自動食器のメーカーだった「豊田」が、車を作り始めて「トヨタ」になっていく最初の場所として残されている。

企業博物館でありトヨタグループの歴史を贅沢に描く展示ではあるが、以外なほどに「トヨタイズム」や「創業者の哲学」は控えめだった。
いや、そういう部分だけで普通の博物館の何倍もあるのだけれど、他の展示はもっと多いのだ。

このあたりは、日本の工業化の歴史そのままである。
織機を作っていなければ車なんて作れなかった。それでも、車を作るのは苦労したことがわかる。よくもまあこんな状態で世界大戦に突入したものだと思うけれど、それはまた別の話。

これは本当に使われていた蒸気機関。
今でもきちんと動く。音も動きも大きくて、機械に興味がなさそうな人でも魅入るタイプの展示となっていた。

外はちょうど大雨で、ほとんど歩くことができなかった。
すぐ近くにあるノリタケの博物館とその周辺だけは散策したが、緑が濃くて素敵な場所だった。名古屋駅の近くに、こんな小綺麗な場所があるなんて知らなかった。

さて、順路の後半は、トヨタの自動車の展示となる。
ここも広い。
そして、明るくて、わかりやすくて、楽しい場所だった。




トヨタの歴史を彩ってきた車たちが、庶民の車からレーシングカーまでたっぷりと展示してある。車の展示だけならば、同じ愛知県にある「トヨタ博物館」のほうが多いが、こちらは技術や歴史、製造についての展示が充実している。

車といえばロボットによる自動製造ライン。
それだけでも迫力があるのに、この博物館では「最初期から現代までの様々な製造ラインの動作展示」が見られる。こういったオートメーションロボットだって、登場してから半世紀は経っているのだ。様々な時代のロボットがそれぞれの時代の車を組み立てていく姿を見ることができる。

実際に鍛造や金属加工をするコーナーもあるし、子供向けの場所もたっぷり。
カフェは安く、壊れたまま放置されたような展示は1つもない。
当たり前のことだが、さすがトヨタと感心することばかりの博物館だった。
近代史や機械や車が好きな人ならば5時間は楽しめるだろう。人によっては、この博物館だけで半日は過ごせる。
自分は旅の途中…というかここが最初の目的地だったため、そこまで時間をかけることができなかった。ノリタケミュージアムなども歩いて行ける距離だから、天気が良い日に再訪して、たっぷりと時間をかけて楽しみたい。
疲れるまで楽しんだあとに、そんなことを思ったのだった。
このトヨタ産業博物館の後には三重県菰野町や四日市市へ行き、さらに北上して福井県まで行ったのだが、それは明日以降に書こうと思う。

今日の出来事は…おいしいスコーンを食べた。
以上。













