宇多津の映画館で、映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を観てきた。
心に残る作品はいくつもあるけれど、おそらくこの映画は生涯を通じて上位に留まり続けるだろう。感想は上手く文章にできないけれど、映画館を出てから1時間以上経っても、脳や身体が変な感じだ。
前作「この世界の片隅に」も傑作だった。
原作から時間の都合で切り離された部分を足した*1作品が、この映画。ただでさえ奥行きがある作品が、新しいシーンの追加で陰影を深めたように思える。
前作で感動できた人なら、ぜひ観てほしい。
たぶん、物語の陰影、立体感を強く感じ取ることができるから。
前作を観たことが無い人は、レンタルなり動画配信なりで観て欲しい。別に観なくてもかまわないのだが、創作物の面白さを楽しむのなら、両方を体験するのが一番だと思うから。ディレクターズカットや完全版とは違う、ひとつの原作を元とした(そしてかなりの部分を共有した)全く別の作品を楽しめる機会は滅多に無い。
前作は静岡に住んでいる時に観た。
今回は、四国で観ている。物語の舞台となった広島や呉にも行ったことがあり、瀬戸内海の風景や言葉にも馴染みがある。だから楽しめた部分も多いと思う。
自分の境遇といえば、僕はここ数年、人生の岐路が連続で発生し過ぎている。年齢的な事もあり、最近は「思うように行かないことばかりの人生だ」と考えることも多い。単純な絶望も達観も後悔もなく、それなりの納得や感慨と共に生きる毎日だ。この素晴らしい映画に共感する理由のひとつだろう。
あと1回は、劇場で観たい。
こうして日記を書きながらも、特大のため息をついてしまう。ここまで強く“持っていかれる”映画も珍しい。
*1:だけではなくて、細かい変更もある。