ぽっかり予定が空いた土曜日の午後。静岡市の映画館で、映画を2本観てきた。
時間とお財布的には3本の鑑賞も可能だったが、さすがにそれぞれの印象が薄くなりそうで自重。それに、やっぱり疲れる。
まず「ヒトラーの忘れもの」を観た。
第二次世界大戦でドイツがベルギーの海岸線に埋めまくった地雷。占領から解放されたベルギー国軍が、その地雷除去をさせたのが、ドイツの捕虜達。なにしろ被占領国だったから、ドイツ兵を磨り減らすつもりで酷使する。そして、その現場には少年兵の捕虜達もいた…。
そんな感じの導入部から、ぐいぐい引き込まれる。
少年兵を監督するベルギーの軍曹は、彼らとの交流を通して変わっていく。といっても単純な同情や共感だけではない。なにしろ地雷の除去は至上命令、ただ子供達が可哀想だからと態度を軟化させるわけにはいかない。上官として、あるいは父のように、厳しく接していく。
ようやく、人と人との温かい関わりが出来たと思った矢先に待っている過酷な運命が実に痛々しい。そう簡単に人は変われるものではないのだろう。
ただ「戦争は酷いです。嫌ですね」では済まされない、しかしあの戦争と戦後でなければ描けなかった物語だと思う。邦題は、ちょっとヌルい気がするけれど。でも素晴らしい映画だった。
地雷映画に外れなし。
2作目は、あの有名な「不思議惑星キンザザ」。
説明不要というか、興味がある人はどこかで、何かで知っていると思う。
ソビエトロシアの秘宝だと僕は思っている。奇作であり、今の時代では許されない、のんびりしたSF映画。スターウォーズがどう頑張っても「アメリカ」なのに対して、このロシア語が飛び交う作品は、きちんと異世界を作り出している。国民の血税でこんな贅沢をするなんて、さすがソビエト、懐が(僕達の想定とは違う方向に)深い。
旅で「自身の常識と、まるで違う!」が楽しめる人ならば、うっとりできる。
そうでなくても、サブカル風味な人達なら絶対に楽しめるし、今の時代でも、SF映画として高水準だと思う。それから、「めがね」とか「かもめ食堂」が好きな人も、このテンポは気に入るだろう。
僕は中盤の、砂漠を行く謎テクノロジーの四輪車(バイオリン弾いてよ!のお姉さんが運転)が大好き。
前衛に頼ることなく、でも何にも似ず、孤高の立ち位置を得てしまった映画。
映画館で観ることができて、本当に良かった。
「キンザザ」は音楽も素晴らしい。サントラ買いたい。
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2作それぞれ、今のところ今年最高レベルの作品となっている。
特に「不思議惑星キンザザ」は、以前どこかのお洒落イベントで少し見た程度だったので、こうしてきちんとスクリーンで鑑賞できたのは僥倖だった。家では、たぶんダレる。でも本当におすすめの作品。
「ヒトラーの忘れもの」は、日本では作れないだろう、と思ってしまった。少なくとも今の日本では、こういう映画は作れない。残念なことだと思う。
映画も観たけれど、ケーキも食べた。
MARIATHANKの「ラズベリーとチョコレートのムース」。紅茶とともに楽しむ。これくらい鮮やかで、酸っぱいと嬉しい。ラズベリーを楽しむならこのケーキ、と決めている。