タテマエは考える訓練

今の勤め先は、たまに思い切りずれたメールがまわってくる。
今日は健康管理部門から、こんな内容のものが来た。

  1. 9月初旬に健康診断があります。
  2. 法で定められた検診であり、また自身を守るためにも必ず受けましょう。
  3. この結果は集計され、事業所・支所・部門や同業他社との比較が行われます。
  4. あまりに酷い“成績”の場合は、総務や健康管理部門や管理職の能力が疑われ、何らかのペナルティも考えられます。
  5. というわけで9月の検診までは、出来る限り節制と健康維持に努めましょう。
  6. 結果が悪くなりそうな人は、検診日の変更も可能です。

3あたりからだんだんおかしくなってくる。
箇条書きにするとそうでもないが、文章ではさらに「組織のために、今だけ健康をがんばろう」というニュアンスが強い。困ったものである。

わりとこういう、ある種の「ぶっちゃけた」お話が赤裸々に伝わってくる職場なのだ。
「そりゃそうだけどさ、思っていてもそれは言葉にしちゃ駄目だよね」と僕などは思うし、中途入社した人達は常々「おかしい」と言っている。ただ、転職などの経験が無いと、「会社というものはそういうもの」と認識して疑わないようなので、常識の恐ろしさを感じてします。大企業の研究部門、けしてブラック企業ではない(生温いとさえ思う)のだけれど、なにしろ古い会社の古い部門だからか、こういう奇妙なところが多々ある。

そういえば、僕がいた高校は、あの「スポーツテスト」の上位校だった。
中堅の下レベルの進学校なのにどうして常に上位だったのか。それは体育の時間は延々と、「良い成績が出るまで何度でもスポーツテストを実施」するからなのだ。
しかも個々人の成績ではなくて、クラスの平均が目標水準を満たさない限り繰り返すという方針。もちろんこれは県や市に提出する成績が、平均値だから。
まあ、運動が苦手な人間にとっては、たまったものではない。僕がそうだった。
地学や生物、数学の教師達は「これはおかしい。ある種の不正だ」と職員会議で訴えていたらしいが、体育教師達は「これのどこが悪いのだ?」と、まるで意に介さなかったと聞いた。悪意策謀の類ではなくて、たぶん本当に、これが真っ当かつ有効なやり方だと捉えていたのだと思う。


狭い世界での常識、特に自分に利があるタイプのそれは、とりあえず他の“広い世界のモノサシ”と比べなければまずい、と思う。建前、というと姑息に感じるが、しかし常識を振りかざすのならば、できるだけ大きな視野と、それからごくごく狭い世界、両方を眺めてからでなくては危うくて仕方がない。
いつまでも井戸の中で暮らしているわけにはいかないのだから。

 

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