油といえば秋分の日

レザークラフトを始めてから、お店で購入した鞄の出番が減った。
単純に「数が増えたからそれぞれの頻度が下がる」という事もあるだろうが、やはり自作のものを使いたくなる。

僕の場合、自分用の鞄は試作品である。使って試して不具合を発見したいし、持ち歩いて改良点を見つけたいとも思う。実際、使ってみて初めてわかる事も多く、量産品(といっても友人知人に頼まれたものだが)へのフィードバックも多々ある。
何より、自分が使いたいような形や機能を盛り込んだのだから、使い勝手に関しては自作が優れている。

 

今日は午前中に墓参などの用事を済ませ、午後はぽっかり暇になってしまった。


なんとなく部屋の片付けをして、その流れで、それら“お店で購入した鞄”の手入れを集中して行った。

集中とはいうものの、使用頻度の低い革製品というのは、それほどやることはない。
薄くオイルを塗って、その時に見つけたほつれなどを縫い直す程度。
ずっと前から使っている箱形の鞄に関しては、油を多めに刷り込んで、風合いを変えてみた。今まで丁寧に使ってきたが、色形サイズ使途その他で“かぶる”ものがあって、そういう時はアレンジに限る、と試してみたのだ。

 

四角いほうがそれ。今は妙なムラが生じているが、これは油が乾けば消失する。全体にくすんだ色合いと、ツヤ消しになるはずだ。

大きなほうは、大昔に購入したもの。たまたま行ったデパートの、確か「genten」という店で一目惚れしたもの。気に入ったけれど買うまでずいぶん悩んだ記憶がある。


手が届かない価格ではなかったものの服飾雑貨にそれほどお金をかけていなかった自分にとっては、思い切った買い物だった。
まだmixiが承認制だった時代(!)に買って、今までコンスタントに使い続けて、しかも風合いがどんどん良くなっていくのだから、これは良い買い物だったといえる。
こちらは薄くメンテナンス用のオイルを塗っただけ。

 

 

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そして今日は、ハンガーにも油を塗った。
こちらはもちろんレザー用のオイルではなくて、いわゆる乾質油。具体的には、台所にあったエゴマ油を塗った。

古い物は、祖母の代から使い続けている。たぶん紳士服を仕立てた時に付いてきたもので、まだ静岡市清水区清水市だった時代、というより市町村合併より遙か昔の品。なんと市内局番が一桁である。

こういう古いハンガーもあるが、それ以外にも雑貨店やフリーマーケットやクラフト市で購入したものも多い。
ニスが塗ってあるものは無理だが、白木のままのものは、油を塗るとなんとなく感じが良い。
エゴマ油や亜麻仁油、クルミ油は塗ってしばらくすると乾く。
水分が抜けるわけではなくて、変質して薄い皮膜となるのをそう呼ぶのだが、これがいわゆる「オイル仕上げ」。
白木そのままよりも多少は汚れに強くなるし、木によっては落ち着いた雰囲気になって好ましい。
こういう作業はちまちまやるのも悪くないが、まとめて行うと楽なのだ。

 

 

エゴマ油ならば、一晩待てば使えるようになるだろう。
完全に自己満足。なにしろハンガーの見栄えが多少変わっても、家族だって気付かない(良くなったわけではない、ただ変わっただけなのだ)。しかし趣味というのはこれで良いのだ。良いと思わないと「やってられない」という事情もある。なにしろ「延々と油を塗っていました」では、休日としてあまりに寂しいではないか。

 

今、部屋がうっすらと油くさい。
革に塗ったニートフット・オイル、そしてハンガーに塗ったエゴマ油。害が無いはずだから、もうこのまま寝てしまう。