熱海で買った「猫の舌」

熱海で買ってきた「猫の舌」が美味しい。
老舗洋菓子屋である「三木製菓」の定番。レトロかわいい包装は、雑貨カフェ徒歩旅乙女系雑誌によく掲載されている。
その名前の通りラングドシャであり(langue de chat:猫の舌)、実にスタンダードな、でも上質な、よいお菓子だと思う。僕は大好物だ。

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さてこのお菓子、職場にも持っていったのだった。
で、「猫の舌だからラングドシャ」という話をしたのだが、まるで信じてくれない人がひとりいて(ちょっと嘲笑された…)、そのせいでちょっと変な雰囲気の休憩時間となってしまった。小分け袋に印刷されているフランス語を示して、ようやく「そういう説もあるかもね」程度の納得はしてくれたのだが。

この人はしかし、自身の感覚と知識から外れたものは基本的に信じない。傲慢というより、そういう性分に育ってしまったのだと思う。性格ではなく思考回路、と言うべきか。悪気は無いのだ。

なにしろ「ピンセットは研いで使う」という話も信じないのだ。
これは仕事に影響するので、地味に困っている。安物のピンセットならともかく、数千円する金属製の品は、基本的に研ぐ事も設計に折り込んであるものなのだ。
僕達の仕事ではそこまでの精密さは必要とされないが、きちんと砥石を使って調整したものは実に使いやすいし、落として曲がってしまったものは研がないと先端が合わない。研ぐ方法や必要性は、調べれば、というかそもそも購入時の添付書類に書いてあるし、きちんと研磨しながら使っている部署だってあるのに。

 

明工舎製作所 MKS 平角アルカンサス砥石

明工舎製作所 MKS 平角アルカンサス砥石

 

 

しかしここまで極端ではないけれど、妙に「じぶんフィルター」を強く働かせる人は以外と多い。
でも僕は思うのだ。
「自分の目で見たものしか信じない」と言っている人は、そうでない人に比べて見えるもの自体がとても少ない。
これは「わかればいい」程度の気分と知識で資料を作ると、結果的にわかりづらい資料が出来てしまう問題と似ている。

自分の脳の外側に世界を定めておく、それは大人の最低条件だと考える。少なくとも、嘯いても益は無い。世界も常識も、自分の認識よりも遙かに広いのだから。

 

それにほら、猫の舌がラングドシャという“雑学”は、役に立たないけれど、否定しても害は無いけれど、とても素敵な知識だろう。
食べる前に、つい、しみじみその形を眺めてしまう。ただの薄焼きバタークッキー、そしてわけのわからないフランス語という組み合わせではたどり着けない世界が、そこにはある。

 

お菓子の由来物語

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