瀬戸内国際芸術祭2019、小豆島に行くつもりだった。
少なくとも昨晩の時点では。
かばんも服も枕元に並べたし、自転車だって整備した*1。フェリーは1時間に1本程度だから、特に調べない。
でも朝起きたら、ほんの少しだけ風邪気味。そしてやる気がしゅわしゅわと抜けていた。イベント当日に全てが面倒くさくなる病に陥ったのだ。
でも小豆島に行かない分、家事や近所での用事をこなすことができた。瀬戸内国際芸術祭については平日に休みをとって行くつもり。あるいは来週末に頑張る。混雑するだろうなあ。
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で、前から(店名が)気になっていた高松市郊外のカフェ「ku:nel」に行ってみた。
かつて愛読していたマガジンハウスの「ku:nel」は、あの類のカルチャーを牽引した、稀有な雑誌だった。僕はやたらと豪華な執筆陣の連載やコラムを目当てに買っていたが、いわゆる“白っぽい写真の雑誌”のなかではマニアックさと読みやすさのバランスが飛び抜けて良かったと記憶している。そして「ストーリーのあるモノと暮らし」というキャッチコピーは、バブル後の新しい価値観を良くも悪くも決定づけた。本や雑誌作りに関わってきた友人知人達の評価も高い*2。ちなみにリニューアル後の「パリとトーキョー」風味については、興味が無いのでここには書かない。
そしてこの高松市のku:nelは、雑誌から名前を取ったことは明らかなのだが*3、お店はさほどku:nelらしくない。
いや一応は和洋にこだわらない丁寧に作られた“上質な普段着のごはん”が供されるから、その点はku:nelらしいとはいえる。
でも世の中にはもっと当たり前にku:nelのミームが感じられる店は溢れていて、というか若い頃にカフェブームの洗礼を浴び、いつか自分の店をと頑張って、地の物と良い調味料と好きな音楽で個性的なお店を作り上げてきた個人経営のカフェには、まず間違いなく「ku:nel」の影響がある*4。
そういう意味ではこの店はちょっと違う。
建物は立派で席数も多い。市内に複数店舗がある、と言われたら信じてしまう(無いけれど)。
そしてお客さんの大半が、中年以上の女性だ。男性はその“連れ”ばかり。男性1人は自分だけだった。つまりミセスとマダムがランチを楽しむお店だ。
料理はきちんとしている。僕が注文したハンバーグのランチセットは、煮込みハンバーグといくつかの小鉢、ごはん、サラダ、味噌汁といった組み合わせ。手作りで工夫が凝らされていて大満足。食後のコーヒーも飲みやすい味だった。
でもカフェごはんらしさには欠ける。
こういう献立で思い出すのは静岡の(今は亡き)つきさむ*5だが、ああいうリーンな、こざっぱりした方向性は感じられない。ビジネス街にある喫茶店の和風ランチを、奥様達のランチタイム用にアップデートした雰囲気がある。
実際、お客さんからの料理に関する質問が多い。自分が見ているだけで数人が調理法を問い合わせ、全てにきちんと答えていた。
自分もこういう食事は嬉しい。普段ごはんを作っている人ほど、価値を見出すタイプのランチだ。親元で暮らす若い人は「美味しいけれど普通のごはん」と評価するのではないか。
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書けば書くほど評価を低めているように見えてしまう。でも実際は素敵なお店だった。
自分の求めているカフェごはん、そしてku:nelという店名から連想するそれとは違っているだけで、ランチとしては高松市内でも高順位にあると思う。とはいえ、この街はカフェ自体が少ない。かつてのku:nel読者で、ああいう雰囲気を楽しみたいのならば、屋島の「Parlor Emerald:パーラーエメラルド」をおすすめする。店の場所がわかりにくい以外は、90年代からゼロ年代を生きたかつてのカフェ好き野郎共(含女子)が絶対に満足すると思う。
さて、明日は忙しい。そして今は微熱とくしゃみが続いている。
なので寝ます。その前にかばんを1つ縫おうと思う。
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