映画『ブレードランナー2049』

最近出会った物語作品の傾向として、例えば映画ならば『エイリアン:コヴェナント』、小説ならば『騎士団長殺し』からは、それぞれ監督や作者の“色”や“らしさ”を強く感じた。
得したような気もするし、晩年の総括なのかな、と少し妙なことも考えてしまう。それでいて物語としては新鮮に感じるのだから、さすがリドリー・スコット、さすが村上春樹と嬉しくなってしまうわけだが。

 

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

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騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

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みみずくは黄昏に飛びたつ

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同じくリドリー・スコットが関わる(製作総指揮)映画、『ブレードランナー2049』も、しっかりとリドリー・スコット風味が感じられる、見応えのある作品だった。

というかリドリー・スコットとその周辺の人達は、これから先、シリアスなSF作品はこういうタイプのものしか作らないつもりなのだろうか。
お金をたっぷりかけて、隅々まで気を配った美しい(なんだか寒々しい)映像で、「創造主は被造物のことなんてまるで気にかけていないけれど、被造物は不完全だからそれじゃあ困ると足掻き戸惑う」そんなお話を描く。
たいていキリスト教モチーフが登場して、そしてSF作品ならば「人が作った人に似たモノ」が何かしらの“親殺し”をする。

 

エイリアン:コヴェナント アート&メイキング

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エイリアン:コヴェナント (角川文庫)

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そういえば『沈黙』も、そんな感じの作品だった。『沈黙』はSFではないが、本当に隙の無い映画だ。信仰心というものがぴんとこない僕であっても、心に残るものがあった。

 

沈黙 (新潮文庫)

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さて、この『ブレードランナー2049』では、人間と、人間に作られたモノであるレプリカントに加えて、もう一つの知的存在が登場する。家庭用のコンパニオンAIと言えばいいのか、ホログラムで主人公の生活をサポートする、今風に言えば2.5次元くらいの綺麗な女性。
このAIもまた、ひとつの意思を持つ。愛情を持っているように見えるのか、本当に獲得したのかはよくわからないのだけれど、とにかく主人公と共に過ごすことを決意する。そして、その為にバックアップの無い、ネットワークから切り離されたスタンドアローンの端末に乗り移る。
この辺りも、古典的な「人間を愛する代償に不死性を失った精霊」の典型なのだが、しっかりSF的な、もっと言うと「ブレードランナー」的なかたちになっていて素晴らしい。

 

絶景とファンタジーの島 アイルランドへ (旅のヒントBOOK)

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やや長い作品。駐車場の無料サービス時間(映画鑑賞で3時間無料)から計算すると160分と少しくらいか。
でも、本当に隅から隅まで、ロサンゼルスの大都会(前作の酸性雨降りしきるあれ)から、郊外の廃墟じみた都市群、砂漠まで、隙なく「ブレードランナー」世界だった。あの前作から数十年後、大災厄の後という設定も含めて、ブレードランナー世界ならばそうだろうな、と思わせる描写が続く*1

そして、ストーリーや仕掛けや背景描写といった各要素が渾然一体となって、人の生きる寂しさ、意識を持つ悲しさと喜び、そういう普遍の感覚をまるで我が事のように体感させてくる。ある人は犬を飼うことで、またある人は小難しい映画(例:2001年宇宙の旅)を観ながら、そして僕は『ブレードランナー2049』を観た帰りの車中で、この全体的には寂しめの世界を考える。

何かしらサイバーパンク気味なものに心惹かれた人ならば、絶対に楽しめると思う。良い映画でした。僕は涙をこらえるのに苦労しました。

 

 

お題「最近見た映画」

 

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まるで関係無いけれども、今日のお昼は外食をした。
友達のお見舞いに行った帰りに寄った、小さなラーメン屋さん。
典型的な、まるで漫画に出てくるようなチャーシュー麺だった。味も、スタンダードな醤油ラーメンのハイレベル版といった感じで美味しかった。
十分に満足したものの、食べ終えた頃に他のお客さんが「大盛り、葱大で(オオモリ、ネギ・ダイデ)」と注文していた。
なんだか気になる。
そういう注文も有りなのか。
葱の分だけ何かが引かれる、ということなのか、あるいは代金が増すのか。よくわからないが、葱が多ければ、それはそれで美味しくなりそうな味ではあった。
うどん屋でいうところの「肉吸い」がラーメン屋でもあればいいのに、と思う時がある。この店では特にそう思った。

 

 

 

 

 

*1:こんなに汚いサンディエゴは映画史上初ではないか。