本は買おう、できるだけ。

こうしてブログも書いているし、いろんなイベントの手伝いもしているから、職場では「インターネット・サービスに詳しい人」と見做されている。ブログの事は秘密で、特に具体的に(職場や定時後に)活躍している訳ではないにせよ、そういう噂は広まるものだ。

だから、帰宅してから、電話やLINEで、その種の相談を受けることが多い。
「ライブ・イベントの告知用にブログを始めたい」とか、「Google+を活用してパーティの情報共有をしたい」といった話。
まあ頼られるのは悪い気分ではないし、実際にそれほど難しい話ではないから、答えられることは即答する。それから補足情報をメールやLINEやメッセンジャー・アプリで送付する。それでとりあえずおしまい。自分でやったほうが早い、と思っても手は出さない。アフターサービス以上の何かを背負うのは避けたい。

 

 

だが、この手の話を、今になって、というのは高校卒業後の若者ではなくて、普段からスマホをぽちぽちと活用している“若者というには社会経験が豊富な人達”からの質問が圧倒的に多いのだが、そんな人達が突然に聞いてくる場合は、こう言ってはなんだけれど、「飲み込みが悪い」。僕が数分で答えられる内容は、つまり「ぐぐればわかる」レベルなのに。

別に「頼るな。自分で調べろ」と言っている訳ではない。
わからないことは聞けばいい。が、自分で調べられないものは、人に聞いても、やっぱりわからない事が多いという事実は、自覚して欲しい。それでも手を動かして、ようやく習得できれば儲けもの。興味が無くても利益を得たい、なんて物事は、たいていそういうものだろう。

だからなのか何なのか、この種の質問には、たいてい無茶苦茶な条件が付いてくる。「明日までに、無料で、自分達だけで、他人に見せて恥ずかしくない品質で」と。見積もりが甘いのも、経験不足のひとつのかたち。

なにしろ覚えが悪いから、電話口で少し説明しても「わっかりました。ではやってみます。問題が発生したら、また連絡します」というような気持ちの良い受け答えにはならない。長く話しても無理な雰囲気を感じる。
だから僕は、いつも言う。「書店に行き、パソコン・インターネット雑誌のコーナーで、ムック本を1冊買おう。それを参照して頑張ってください」と。

だが、このアドバイスを受け入れてくれる人は、まずいない。
国道沿いのチェーン店に行き、必要なら店員に声をかけて1冊買って、打ち合わせを再開するのに20分か30分。実の無いミーティングをして、実際には「明日以降、わかる人ときちんと情報交換してから、実地に動くのは週末かな?」みたいな流れの10倍は効率的なのに。

苦手なのはわかる。
興味が無いから、書店に行く手間や金銭を惜しむ気持ちも、想像できる。が、大人が集まってイベントをやるのだから、2000円でお釣りがくるムックやマニュアル本くらいは出せるだろう。書店に行けば(内容の優劣はさておき)、素人むけの本は山ほどある。

しかしみんな、本を買ってくれというアドバイスだけは聞いてくれないなあ、と常々思っていた。実は先ほども、そういう電話があった。
健康上のアドバイスなら病院でも健康食品でも試す人が、あるいは赤の他人に「話を聞く」ことは厭わない人が、本だけは買わない。


そこでふと思う。
もしかして皆さん、情報を手に入れるのに、対価を払うという事そのものが、意識の外なのではないか。

詳しくは書かないが、そう考えると腑に落ちる事は多い。
別にこの「パソコン全般アドバイス」に限ったことではない。ネット調べれば済むような情報は無料、という妙な認識が広まっているような気がしている。
「そりゃあそうかもしれないけれど、本のかたちのほうが(ファミレスで打ち合わせしている)君たちには便利(みんなで読みながらタブレットスマホも操作できる)であり、だったら多少の出費を惜しまないほうが得なんじゃないかな。図書館は閉館時間だし」と言っても、「でも…」と返されてしまう。「カネはかけたくない」とはっきり言う人は、いない。でもきっと、カネはかけたくないのだ。

 

そういえば、未だに書店で「雑誌の記事を撮影する若者」は見かけるので、そもそも情報というのは無料である、くらいに考える人間がいてもおかしくない。Facebook設立者の映画を観て、Facebookは慈善団体だと信じていたのに云々と怒る人は実際に(職場に)存在する。
損得にせよモラルにせよ、「ちょっと考えればわかること」だと思うのだが。
だから僕は主張する。「本は買おう、できるだけ」。僕の説明より、きっとわかりやすいのだから。

 

 

 

 

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