さようなら製薬(株)

 
今日で今の職場を去る。
皆の前で挨拶をして、貸与品を返却して、最後に食堂の自販機でホットコーヒー(社員価格で安い)を飲む。
それにしても、今日の仕事は楽だった。
工場全体を停止してメンテナンスと年度末の締め作業をするのだが、それも午後には終わって、掃除と片付けが済んだら、もうやることがない。
仕方がないから、消耗品を折りたたんで棚に補充したり、椅子の具合を調整して過ごした。
お年寄りの内職みたいな仕事で、きちんと給料が貰えるのだから有難い。楽だ楽だと言い合いながら最後の仕事をした。



今日の仕事はともかく、全体として本当に楽な仕事だった。
昼食はいつも美味しかったし、みんな親切で、忙しくて殺気立ったり、がつがつするようなところが全然無かった。
その緩さは、いずれ消えてしまう部署ならではなのかもしれない。
もう機械も設備も半分以上が撤去されて、事後処理だけが残された職場。
でも自分は活気のあった頃を知らないため、特に寂しさを感じない。


今日は暇潰しに、職場の人達と色々な話をした。
僕は「お金に苦労していない人」に見えるという。
確かに前の仕事の退職金には手をつけていないし、趣味といえば本を買う事とショップカード作りと自転車散歩くらい。
いちばんの贅沢はケーキを食べること。酒もタバコもギャンブルもしない。
趣味のパソコンが副業(図書券等が貰える)になっていたりする。
携帯電話の料金は、毎月3100円くらい。車は省燃費車。
しかし金銭に苦労していない訳ではない。世の中にお金に困っていない派遣社員などいない。
ただ、お金について考えるのが苦手なので、できるだけ使わないという選択肢をしているに過ぎない。
そういう事を説明すると、すごく珍しいものを見たような扱いを受ける。でも僕の友人はそういう感じの人が多い。みんなで集まって、小さくつつましく生きている。
それはともかく、一緒に働いていた人達が浪費家ばかりだったので(高級ブランド品に給料を注ぎ込むタイプ)、僕も影響されて久しぶりに何か良い物を買おうかと考えている。
でも何を買ったら良いか、いまいち思いつかない。
とりあえずスマートフォンに替えたいなあ、と今は思う(しかし複雑な料金プランに気が遠くなりつつある)。
それともう一つ、大きな消費目標としては、そろそろ一人暮らしをしたい。実家は快適だが、自分で作ったご飯を好きなタイミングで食べたい時がある。