帰宅前に交通事故に遭遇した。
といっても僕が事故をしたわけでも、巻き込まれたわけでもあに。
バイパスの合流路で2台前の車が無理な車線変更をして、ガードレールに車体をぶつけて停まってしまったのだ。
かなり乱暴な加速をしていたので、単独事故だったのは幸運といっていい、
でも、ちょうど僕の進路をふさぐ形で停車したのは(僕にとって)運が悪い。
おかしなぶつかり方をしたので、事故車は変な音がしてうまくハンドルが切れない状態だった。
加えて、運転手である50代くらいの男性は動転している。
そして、車体に傷がついただけでなく、ガードレールや標識を損傷している。
そんなわけで、事故車にいちばん近かった僕が警察に連絡をしたのだった。
事故車がきちんと動かないと僕の車や後続車も動けない。とにかく早く事態を収拾したかったのだ。
警察が来て、状況を伝え、僕の車のドライブレコーダーの動画を見せて、連絡先を伝えてからようやく開放された。
警察官からは「事故車の運転手は、あなたが通報したことを怒っているようです」と耳打ちされたのが気になっている*1。「個人情報は一切渡していませんが、もし何かあったらこちらに連絡ください」と、名刺のようなものをいただいた。
今もそのカードは手元にある。思い出すたびに「なんだかなあ」と思ってしまう。
逆恨みはやめてほしいものだ。
おそらくこれからも同じ道を使うので、偶然に再開するかもしれないのだから。どうか、僕の顔と車のことは忘れてほしい。
ところで、こういうことがあると、事故の前に考えていたことをすっぱりと忘れてしまうようだ。
今日の自分は夕食のことを考えていた。
自分の場合は、献立と共に、どういう手順で作るのかを事前に考えることが多い。少ない手数、少ない洗い物、少しの工夫。そういった物事を考えながら帰宅して、手洗い・うがいをした後に、小鍋にお湯を沸かす。その後に着替えやメールチェックや郵便物の確認をして、夕食作りに取り掛かる。
それが、事故に遭遇したせいで、「夕食のことを考えていた」「レバーを使う」以外のことが記憶から抜け落ちてしまった。
幸い、レバーはトマトと煮るつもりで買ってあったので、とりあえず「レバーのトマト煮」を作るしかない。
実際のところ、こういった帰宅時間のシミュレーションは、ほとんど現実の効率化には寄与していないと思う。せいぜい5分程度の時間短縮と、少しの無駄が省けるくらいだ。想像通りに動けないことだって多い。
それでも、何も考えずに台所に立つよりは、帰宅途中に色々と考えていたほうがいい。効率のための習慣、ということになっているけれど、ほぼ気分のためのものだろう。そして、家に帰る車内は、気分がなによりも大切なのだった。
世の中はずいぶんとざわざわしているし、帰宅時には事故を目撃するし、仕事の関係者は風邪やインフルエンザや新型コロナに罹患している人が多い。おまけに花粉が飛んでいるような感触が鼻の奥にある。
レバーをトマトに合わせてみたらおいしかったけれど、それを差し引いても落ち着かない水曜日。もう寝ます。おやすみなさい。