偽おせち作り・伊豆の長八美術館

昨日を穏やかに(怠惰に)過ごしたおかげか、今日は朝から元気だった。
年末らしく家事や買い物に忙しく過ごしていた。

突発的な用事も多く、特におせち料理作りが滞っている。
とはいえ、自分は大晦日おせち料理の準備をすることに抵抗も忌避感もないため、今日は時間のかかるものをのんびりと作っただけ。

余った素材で「おせち料理に見える謎の料理」を作ったりもしている。
これは従来の創作おせちとは違う。あれは「おせちの重箱に収まる華やかな料理だが、伝統的なおせち料理とは違う味」を目指すものだ。
そうではなくて、味や見た目はあくまでおせち料理という品を作るのが、今回の目的である。

やってみたらわかるが、それほど難しくはない。
甘辛くして、煮詰めればいい。

例えばゴボウを醤油と出汁で煮たら、最後にみりんを入れて煮詰める。砂糖とすりごま、いりごまを混ぜて飴状になるまでからめれば、それはもう何かしらのおせち料理である。「ゴマもゴボウも長寿に繋がる」とか、適当なおめでたい解説でも添えれば完璧だ。

 

そんな風に、忙しいなかで余計なことをしながら年末仕事を片付けていく。
忙しいといいながらも、晩ごはんを少し豪華にするなど、余計に手間が増えていくのも困りもの。

 

年末といえば、パンフレットやフライヤーの類をまるごと処分するのも我が家では今の時期の作業となっている。


少し前に言った、伊豆は松崎町の「伊豆の長八美術館」のパンフレットも、もちろん捨てる。よほどのことが無いかぎり保管しない。そもそも「旅の思い出」というほどの場所でもなかった。

 

 

なまこ壁や土蔵で有名な松崎町に生まれた入江長八氏は、江戸時代から明治時代にかけての左官職人。
ただの左官ではなく、漆喰を使った立体的な「鏝絵」で名を馳せている。
その入江長八氏の作品を展示しているのが、この「伊豆の長八美術館」だ。

 

外観はなんというか、昔っぽい。僕が子供の頃にあった「オシャレ感バツグン」な、コンクリートと鉄筋の鋭角なデザイン。それをきちんとした漆喰で化粧しているので、不思議な趣がある。

中に入ると、それほど広くない空間に大量の鏝絵が展示されている。
撮影可能な作品も多い。

 

東京の富裕な家や寺に向けた仕事が多かったせいで、現存するものは少ない。震災や戦災で消失したものも多いのだ。
それでも今に残るものは、なかなかに迫力がある。

とはいえ、こういう作品を美術館ではなく民家や寺で見たら「さすが昔の大きな家は豪華だな」と思うだけで素通りしていたと思う。あくまでエクステリアやインテリア、調度の類であって、芸術作品として向き合うことは無かったはずだ。

そして、美術館で向き合ってみると、やはり芸術というよりは工芸品であり、まるで博物館にいるような気分になってしまう。

それでも、貸し出されたルーペで細部を見るなどしていれば、きちんと楽しい時間を過ごすことができたのだった。

 

 

本来ならば、この美術館を堪能した後に、松崎の街を歩くのが良いコースなのだろう。鏝絵は無いかもしれないが、そこかしこに漆喰の壁がある街なのだ。

でも自分は時間が無くて、この美術館を見ただけで帰路についたのだった。
仕事の空き時間に美術館へ寄り道できたのだから、文句を言う筋合いではないのだが、それでもせっかくだから街の散策くらいはしたかった。

 

 

パンフレットを読みながら、そんなふうに数日前のことを思い出していた。
いちいち読み返すので、当然ながら片付けは終わらない。
仕方がないから「片付けたいもの箱」を用意し、紙類は全て放り込むことにした。仕分けや整理整頓は、来年に頑張る。今年の正月は徹底的に暇になりそうだから、「片付けたかったこと」は全て正月に送り込むことで、この忙しない年末を乗り越える所存である。

 

お題「わたしの癒やし」

 

t_ka:diaryは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。