
仕事で訪れた大きな会社の巨大な施設。
今日はそこで傘を盗まれた。しかし、すぐに戻ってきた。
小雨がぱらつく程度だったが念の為にと傘を持ち込んでいた。
来客用の傘立てに置いて仕事をして、10時過ぎに通った時には無くなっていた。
まあIKEAで買った安い傘で惜しくはないけれど、それでも嫌なものである。
忙しかったし大事(おおごと)にするのも嫌なので、何度か話したことがある総務と守衛さんに(非公式に)伝えるに留めた。鞄の中には小さく畳める高性能な折りたたみ傘もあるし、駐車場までなら大して濡れることもない。実際、昼には雨は止んでいた。
夕方に来客用カードなど貸与物を守衛所に返していたら、ひょっとしてこれではと傘を渡された。
守衛さんが僕の傘盗難について覚えていて、ちょうどそれっぽい傘を持っていた社員に声をかけて取り戻したそうだ。「それ本当にあなたの傘?誰かの傘と間違えていませんか?」と聞いたところ、相手は「あっそうか」と傘立てに戻したのだそうだ。
あまり見かけない形の傘だったこと、そして盗んだ人は以前から傘泥棒が噂されていたことから、守衛さんはぴんと来たそうだ。
まあ、戻ってきて良かった。
しかし傘泥棒と自転車泥棒は、ほとんど病のようなものだと思う。
今日の夕方は小雨で、傘が切実に必要なわけではない。ただそこにあったので盗み、疑われたので戻した…というだけのことなのだ。彼(男だった)が傘を買えないほど困窮しているわけではない。
今回は未遂に終わったけれど、総務を通してこの件は彼の上司にも伝わるはずだ。
そうやって、じわじわと信用を無くしていく人を様々な場所で見てきた。大抵の場合、ある時に突然、大きなペナルティを負うことになるのだ。
傘と自転車以外では、差別発言などもそうだ。
同僚や上司は意外と言動を把握しているものだ。言葉の端々で外国人やマイノリティや女性への悪意を口にしていると、あるいはSNSに書いていると、きちんと周囲に伝わる。そしてある日いきなりそれはマイナスの人物評価となる。明示的か暗示的かは別として、基本的に良い方向に働くことは無いと思ったほうがいい。周囲がそういう"雑談"に相槌を打っていても、評価はまた別の話なのだ。
でも、傘や自転車、それに差別発言もそうだが、家族や親しい相手に伝わるよりはいいだろう。家族や友人やパートナーは知りたくもないだろうけれど。

ところで今夜の夕食は、ウルメイワシの煮付けである。
帰宅したら近所の老人が、たくさんのウルメイワシを届けてくれた。
もちろんウルメイワシが近所の川で穫れるわけではない。近隣の海で釣ったわけでもない。ただ「道の駅で、ものすごく安かったから」と大量に買って、持て余したのだ。
老人達の消費活動にはよくあるパターンである。
そして、そういうものが"おすそわけ"の形で我が家に届くのも、この数年のよくある出来事になっている。
なにしろイワシなので足がはやい。
頭と尾鰭と内臓を取って、まとめて煮付けにした。
今日食べる分は薄味で、残りは少し煮詰めておく。煮てしまえば冷凍と冷蔵でなんとかなる。
かなり立派なウルメイワシだったので、魚好きの父や自分には嬉しい夕食だったが、しかしいささか量が多いのだ。それに今日は冷凍のハンバーグを使った手抜きの夕食にするつもりだったのだ。
少しタイミングがずれたら、人参のグラッセと鰯の煮付けが並ぶ事態となっていた。
いただいていてこんなことを言うのは傲慢かもしれないが、お裾分けのタイミングと量については、よくよく考えて欲しいもの。
それから、買い物は計画的にしていただきたい。
そして、可能ならば調理済みの品が嬉しい。生のウルメイワシは、日帰り出張を終えた平日の夕方にはちょっとだけ大変だった。
そんな火曜日である。
明日は(運が良ければ)自宅作業日。まだ未定というのが恐ろしい。
でもとにかく寝ます。寝なければ明日が来ないのだ。
おやすみなさい。






