
朝、家を出る前に近所の人に捕まってしまった。
近所の人というのは、もちろん高齢者だ。僕は高齢者に捕まりやすいのだ。
主に家の愚痴を聞くことになった。
簡単に言えば嫁の悪口である。
片方の話だけを聞いているだけでは詳細がわからず、証拠が無く、「言った言わない」の問題となる、典型的な愚痴である。
しかも「でも自分が我慢すれば良いのだから」と、問題解決に繋げる気もない。たいていは「もう墓まで持っていく」と、ずいぶんリアルな言葉まで付いてくる。
愚痴としてはずいぶんと純度の高いものだ。中年や若者ならば、多少なりとも解決への想いが含まれる。
過去にこういう問題について、IT機器を駆使して問題解決を図ったことがある。
防犯カメラやスマホアプリ、スマートタグの類を使えば、老人の悩み事は基本的に解決する。
とはいえ、そうやって現実世界の問題を現実的に解決しても、彼ら彼女らの心理的な問題まで片付くことはほとんど無い。探偵モノでいうところの解決編が終わっても「でもね…」と話が続いてしまうのだ。
だから、自分の技術的・物理現実的な問題解決方法は、高齢者には伝えない。基本的に、彼らの子や孫に頼まれたときに提案する。
ともあれ今朝はそんな感じの長話に付き合ったので、予定がずいぶんと狂ってしまった。余裕のあるスケジュールだったはずなのに、困ったものである。
そのかわりに、ずいぶんと高級な心太(ところてん)をいただいた。
箸で掴めるほど濃度が高く、味も良い品だ。
話だけでおいしい心太が手に入ったのだが、得をしたのだと思いたい。
明日は早い。
今日はもう寝ます。おやすみなさい。





