数ヶ月前から「おからパウダー」の大袋が台所に居座っている。
仕事で製菓材料を扱っている知人が、「仕事の関係で買って、持て余して困っている」というので、1袋を安く買ったのだ。とても大きな袋で、乾物庫のなかで存在感を示している。
正直なところ、少し邪魔だ。
基本的にはおからを乾燥させたものなので、水で戻せば煮物(卯の花)などを作ることができる。我が家では味噌汁に大さじ1杯から2杯を入れている。味はそれほど主張せず、おそらく身体には良いものなので、とりあえず日々の生活で少しずつ消費している。ヨーグルトに混ぜるなどして食べることもできるようだが、それはさすがに「ダイエット感」がして、なんだか嫌なのだった。
ちなみにこのおからパウダーは安く、普通にスーパーマーケットで買うことができる。知人から手に入れる前は、イオンのプライベートブランド品を愛用していた。
今日はこのパウダーを大量消費すべく、おからクッキーを作ってみた。
なにしろパウダーなので、水分のコントロールに気を使わなくても良いのが便利。豆の皮や繊維も微粉になっているのも、菓子には使いやすい。
クッキーならば計量せずとも作ることができる。
これは特技になるのかもしれない。でも、どんな状況で役に立つのかは自分でもわからない。とりあえず、暇な日曜日の午後に思いつきでクッキーを作ることができるのは、便利と言えるかもしれない。でも来世というものがあるのならば、次の人生には他の特技を持って生まれたいものだ。
ともあれ、クッキーというのは概して簡単なものである。
バターに卵黄を入れて、砂糖を放り込み混ぜる。じゃりっとしているけれど固めのクリーム状になるまで砂糖を足していき、次に小麦粉(薄力粉)を砂糖の半量ほど入れる。今回は小麦粉を使わず、おからパウダーに切り替えてみた。
上手くまとまらなかったら薄力粉を足すつもりだったけれど、なぜかいつも通りの生地になってしまった*1。
最後にきな粉とサラダ油を足して、古民家オーガニックカフェっぽさを出してみた。
最も多いクッキーの失敗といえば硬くなってしまうことだが、こういう小細工を行い、薄めに整形すれば避けられる。
バター多めのリッチなクッキーのほうが、失敗したときに「いかにも失敗したっぽい感じ」になるものだ。
素朴さとは素人のための武器だと、昔の友人も言っていた。
とにかくそうやってできあがった生地を細長く丸めて、薄く切ってオーブントースターで焼けば完成だ。洗い物は、ボウルと菜箸とスプーン、それにトースター用のアルミトレイくらいで済む*2。
ちなみに写真は無い。
おやつに食べる分と、明日の分を焼いて、残りの生地は冷凍した。
そんな風に作った今日のクッキーは、とてもおいしくできた。
ざくざくとした食感は、良い意味でホームメイド感がある。お店では買えないけれど、マルシェで買えるタイプの味だ。
次に作るのならば、油の種類を変えてみたい。粉を増やせば中華菓子っぽくなるかもしれない。
完全な思いつきで始めて、たぶんこんな感じだろうと手を動かしたにしては良い結果だったと評価している。想定内の成果で、炎上も爆発もせず、片付けも簡単。
では毎週末に作りたいかというと、それほど楽しいお菓子作りでもない。作業っぽいし、出来上がったクッキーも地味すぎる。少なくとも、ホワイトデーのお返しには人を選びそうなクッキーだった。
思い切ってたくさんのパウダーを使ったつもりだが、大袋の中身は減ったようには見えない。
やはり、卯の花の炒り煮にするのが大量消費には最適なのだろう。しかし、老人と中年の2人暮らしでは、煮物はあまり多く作れないのだ。量を食べられないので、日持ちを考えると二の足を踏んでしまう。
まあいいや、毎日少しずつ食べるしかないのだ。
そもそも、大豆という食材が、大量消費をするものではないのだ、たぶん。