仕事と家の用事の両方で忙しい日だった。
あまりにどたばたしていて、数日前に痛めた手首のことも忘れていた。帰宅してお風呂に入っていたら、じわりと痛みが戻ってきた。
困ったものである。
とりあえず朝に出汁の準備だけはしてあったので、夕食は「ピェンロー」で済ませた。
干し椎茸だけ戻しておけば、後はとても簡単な鍋料理だ。
「妹尾河童 ピェンロー」で検索すれば、レシピは見つかる。「河童のスケッチブック」が初出だっただろうか。子供の頃から自宅には妹尾河童氏の本があった。家を出てからも自分で文庫本を買っていた。だから氏の紹介する料理は、僕も家族も知っていたはずだ。
でも「ピェンロー」のようなシンプルな料理は、実家ではなかなか作ることができなかった。鶏肉・豚肉と白菜、春雨と塩と胡麻油、それに干し椎茸の出汁だけの料理というのは家庭料理としてはシンプル過ぎる。特に母は、人参や豆腐などを入れてしまうのだった*1。
我が家においては、母が他界し、父も夕食にボリュームを求めなくなってから、ピェンローをレシピ通りに作ることができるようになった。
レシピ通りとはいうが、椎茸出汁と鶏肉はしっかりと煮てしまうのが、自分なりのアレンジとなっている。真空断熱調理鍋で鶏肉を1時間ほど煮ると、ほろほろと食べやすい柔らかさになる。この「椎茸と鶏スープ」は濃いめ・多めに作って取り分けることで、翌日以降の料理にも活用できる。
数日前に買った白菜は、おどろくほど安かった。大きくて安い白菜があればいいが、昨今は野菜が突然に高くなってしまうので、「ピェンロー」といえど気楽には作れない。
ほぼトラブル対応に近い突発的なお仕事と、その合間に行う実家&親戚関係の諸々。
我ながらよく頑張った。世間は土曜日だというのに偉い。
というわけで、寝る前にコーヒーを飲むことにした。
カフェインレスだけど、きちんと挽いて、丁寧に淹れて、小さな打ち菓子といっしょに楽しみたい。今日のような日は、自分にご褒美が必要だ。
*1:鶏肉と豚肉の両方を用意するというのも、子どものいる家庭では導入しづらい気がする。