父と一緒の長野県への旅は、無事に終わった。
人と会うのが主目的の旅行で、長く歩くことも、人混みの中を進むことも無かった。父と僕がそれぞれ行きたい場所を設定し、そこに車で向かい、好きなように過ごす旅。今日は主に父の趣味である歴史に関する博物館や資料館を巡った。
自転車にも乗らないし、街を散策することもない。それでも帰宅して一息ついたら、ずいぶんと疲れていることに気づいたのだった。
移動距離はそれほどでもない。車でのそれは550kmほどと、普段から慣れている三重県や首都圏への旅と変わらない。でも、高低差が多く、山道が延々と続く運転は、たとえ自動運転を駆使しても疲れてしまう。
気温差も大きかった。長野県は、ずいぶんと涼しかった。夜に帰宅した静岡よりも、昼間の長野のほうが10℃も低い。さらに、高原や湖畔はさらに気温が低かった。そのせいか、今は少し身体が変な感じだ。
でも父と2人で旅行をするのは、なかなかに新鮮な感覚があった。
子供の頃と違い、宿の部屋も別で、別行動も多い。とはいえ老いた父は、完全に放置するわけにはいかない。疲れ具合についても気を使う必要があるし、無理もできない。お金の使い方から何から全く違う。でも他人というわけでもない。
父といっしょに行動していると、軽井沢の街ですてきなケーキ屋さんを見つけても「ちょっと待ってて、自分用の夜のおやつにケーキを買うから」と足を止めるわけにはいかない。でも不満もないのだから不思議ではある。
個人的には異例尽くめの旅ではあった。
観光名所も神社仏閣も訪れず、趣味の場所(水族館や動物園や美術館)にも行かず、できるだけ父のペースを尊重しながら、何度も行った土地を旅した。
それでつまらなかったのなら困るが、きちんと楽しめたので良かった。
自分用のお土産(おやつ)を買ったことだけは、いつもの旅と変わらなかった。それももちろん、良いことだ。