帰宅したら、玄関に里芋が積んであった。
積まれた里芋なんて見るのは人生初である。最初は動物の遺骸か枯れた植物かと思った。でもよくみると、里芋の塊がピラミッド状に積んであるのだった。
もちろんこれは、近所に住む老人の誰かからの贈り物。
この数年、やけにこういったお裾分けが多いが、今年はそれが加速(過熱?)気味だ。
農産物がほとんどで、クッキーシューや金券をお裾分けしてくれる人はいない。
土付きの里芋はありがたいが、手間はかかる。疲れて帰ってきた水曜日には、なかなか面倒なのだった。
里芋といえばイカと合わせた煮物だが、今年はイカが不漁で売っていない。最盛期の数パーセントしか漁獲できていないのだという。
なので今日は里芋ごはんにする。
酒と塩と出汁で薄めに味付けをした里芋ごはんは好物なのだ。
でも保存性に難があるので*1、まとめて作ることはしない。炊きたてを楽しむためのご飯なのだった。
他には秋刀魚の塩焼きやカボチャの煮付け、陸鹿尾菜のおひたしなど、純和風の夕食となった。図らずも旬のものを集めたような内容になった。
もちろん、里芋を届けてくれた家にも、この里芋ごはんをお裾分けする。
元は水田と湿地帯だったが今は宅地も多く、僕たち家族含め多くの住人は引っ越してきた。でもなぜか、こういった「昔ながらの田舎のやりとり」が発生しているのだった。
里芋は、まだたくさん残っている。
小芋ばかりなので、皮を剥く手間が大変。毎日、気軽に使うのはためらわれる。休日にまとめて下拵えをするつもりだ。
里芋にみたらし団子のあんをかけたものを以前どこかでいただいたが、あれを家でも作ってみたい。素朴な和菓子といった趣で、なかなかおいしかった記憶がある。
*1:冷凍すると食感が悪くなる。