カツオを捌く月曜日

いつもより早めに帰宅したら、冷蔵庫にカツオがいた。
びっくりした。
冷蔵庫の1段分を使って、ビニールに包まれた1尾のカツオが冷えていたのだった。


冷蔵庫には父のメモが貼り付けてある。
メモには、冷蔵庫のカツオは父の知り合いによる土産(おすそわけ)である、と書かれていた。
父の知人夫妻が漁港の直売所で「ついたくさん買ってしまって、食べきれないので」と持ってきたのだそうだ。

 

これは、とても困ったことである。

父の知り合い達も歳をとり、買い物が下手になっている。
彼ら彼女らが"つい買いすぎた"ものが、若者と同居する父の元に届くのだ。若者というのは僕のことで、世間では独身中年男性である僕が、父の周辺では若者扱いされている。

おそらく、自炊能力のある独身男性である自分へは、こういったおすそわけを行いやすいのだと思う。主婦のいる家ならば、露骨に嫌な顔をされるだろうし、子育てや介護に忙しい家ならば断られてしまうだろう。
独身中年男性というのは、料理を「趣味として」楽しむ存在だと見做されているようなのだ*1

もちろんこれは偏見であって、僕は別に魚を捌くのが好きではない。手間のかかる料理だって好まない。
疲れて帰宅した月曜日の夕方に、いきなりカツオを切り分けたいとは思わない*2

 

 

でもとにかく冷蔵庫にはカツオがいる。
それほど大きくはないけれど、でもカツオだ。
切らなければ食べることができない。

なので、インターネットの海から「カツオの捌き方」を探し、予習をした後に包丁を手に取ることにした。
僕は日常的に魚を捌く習慣は無いが、やり方さえわかればなんとでもなる。
後戻りできない失敗も、想定外の事態で手が止まることもないのは、非加熱の調理作業の良いところだろう。
血や臭いに忌避感が無ければ、揚げ物などよりも楽なものである。

 

 

そんなわけで、今日の夕食は、かつおの刺身となった。
とりあえず全体の25%ほど、半身の上半分を食べる。
残りは「漬け」にしたり、オイル煮にして保存するつもりだ。

 

 

捌いた後に大量の生ゴミが残った。これの処理のほうが手間がかかった。
頭は、庭に掘った穴に埋める。
残りはディスポーザーで処理をした。キッチンにディスポーザーを着けてから、生ゴミについては本当に楽になった。特に中年と高齢男性の2人暮らしにあるまじき量の生ゴミが発生した場合(つまり今日だ)、あっという間に「無」にできるのは本当に助かっている。カツオの頭となると、さすがに粉砕できないのだが。

 

 

とにかく、カツオはきちんと捌くことができた。
実際に夕食で食べてみたが、素人が切ったにしてはおいしい刺身だった。
骨で出汁をとった味噌汁(具は大根など)も、田舎料理っぽくておいしい。

思いがけずご馳走になってしまったけれど、今日の夕食にするつもりだった食材が余ってしまったことは無視できない。食べる量が少ない老人と中年の2人暮らしでは、生鮮食料品の備蓄・消費バランスは重大な問題なのである。

 

お題「手作りしました」

 

 

*1:単純な世界観だ。

*2:今日は家事を適当に終わらせて、「ゼルダの伝説」を遊ぶつもりだったのだ。

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