今日のお昼ごはんは、てんぷらラーメンだった。
仕事で関わった人達とお昼を一緒に食べることになって、小さな中華料理店*1へ行き、そこで彼ら彼女らのおすすめとして注文したのだった。
もっと正確に言えば、「じゃあてんぷらラーメンはいくつ?それ以外の人は?」みたいに、注文をまとめる人が「てんぷらラーメン」を基本にしていたのだ。だから僕も「あ、とりあえずそれで…」と言ってしまった。
まるで昭和時代の飲み会における「とりあえずビール」である。
店員さんも、特に不思議には思っていないようだった。おそらく人気メニューなのだろう。
「てんぷらラーメン」の正式名称は「豚天ラーメン」だそうだ。
豚のロース肉をてんぷら、あるいはフリッターのような感じで揚げて、ラーメンに乗せてある。他の具材はメンマとナルト、それにネギくらい。豚肉のてんぷら以外は、ごく普通のクラシックな醤油ラーメンだった*2。
味はまあ、普通。おいしいけれど、てんぷらのおいしさ1.0にラーメンのおいしさ1.0を足して2.0になっただけだった。相乗効果で2.5や3.0になるような「料理のおもしろさ」は無い。衣は取れやすいが肉はちょっと硬いてんぷらを食べながら、「ああ、チャーシューは偉大だ」と思ったのだった。
でも、おもしろい経験だった。
注文したことに後悔は無い。
勧めてくれた方々には感謝している。彼ら彼女らが、どうしてこんなに夢中になっているのかはわからないが、でもそれは他人の味覚であり、他所の職場の文化である。
とはいえ、次に行った時には他のものを注文したい。
今日の体験で、僕の世界は少しだけ広がった。ほとんど痛みもなく広げることができた。ただ、この「てんぷらラーメン」の領域を深く掘り進めるつもりは毛頭ないのだ。
そういえば、ずいぶん昔に「かき揚げラーメン」を食べたことがある。
桜海老の名産地である由比漁港のあたりで食べた。まだ今のような軽いかき揚げが一般的ではない時代で、そのかき揚げラーメンに載っているそれも厚くてぼってりしていた。田舎のスーパーで売られているようなかき揚げとラーメンの組み合わせは、実に重かった。食べているときも大変だったし、食べ終えた後は珍しく胸焼けがしたのだった。油っぽいものを食べて胸焼けをしたのは、あれが人生初だったはずだ*3。
「かき揚げ+ラーメン」に比べれば、「豚肉の天ぷら+ラーメン」は、実に控えめで、よく考えられたメニューだとは思う。しかし、個人的な好みでいえば、揚げ物とラーメンの組み合わせならば、台湾の排骨麺が一番おいしいと思う。