大雨。
今日は自宅作業の日だったので、外出しなくて良いのはありがたい。
雨音を聞きながら、昼間はパソコン仕事に集中した。
夕方には雨が上がったので、ホームセンターへ行ってきた。
その時にちょっと奇妙な出来事があった。
商品を吟味していると、少し離れた場所にいた店員さんから声をかけられた。
「それ終わったら、もう先にあがって」
その時は、僕から見えないところにいる他の店員に声をかけたのだと思っていた。
平日夕方のホームセンターは空いていて、店員同士が普通の声で雑談をしていても不思議ではない。
しかし、しばらくその売場にいたら、今度は大きな声がこちらに投げかけられた。明確に僕に向けて言っているようだ。
「ミヤギくんさあ、先に休憩入ってって言ったよね」
ずいぶん厳しい口調だ。
その厳しい声をかけた店員さんは、全くこちらを見ていないようだった*1。
店員とは服装も違うし、僕のカゴにはシャンプーや接着剤やマスキングテープが入っている。"ミヤギくん"がどんな背格好かは知らないが、さすがに見えていたら気づくだろう。ただ、周辺には僕の他に誰もいないので、僕が間違えられているのは確実だと思う。背中側に気配を感じた"ミヤギくん"に、雑な感じで声をかけているようなのだ。
実は、ホームセンターで店員に間違えられたのは人生で3回目である。
正確には、店員が僕を店員だと間違えたのは3回目。
客に間違われて何かを聞かれたことは、たぶん5回以上10回未満*2。
理由はさっぱりわからないが、そういう星の下に産まれてしまったのだろう。
客から聞かれたら、知っていれば答えることにしている。キャップスクリューの棚や、農作業用保護具の場所を答えたことがある*3。
しかし、ここで僕がミヤギくんの代わりに「はーい」と答えるわけにはいかない。
それで相手が人違いだとわかったら、お互いに気まずい。返事をした僕は狂人である。
なにより、そのまま僕の返事がミヤギくんのそれだと誤解されたら、最悪の事態となる。
元気に返事をしたはずの"ミヤギくん"は、店内のどこかで指示に従わず働いているかもしれないのだ。
なので、そうっと足を忍ばせて、その店員のいる一角からは離れることにした。
本当は工具箱を、しっかりと比較検討したかったのだ。でも長く居座ったら相手に気づかれてしまう。
それは、僕の望むところではない。
帰宅してから「どうして僕が気を遣わなければならなかったのか」と思えてきた。
憤慨はしない。
ただ、少しだけ理不尽だと思う。
これではまるで、ミヤギくんではなく、僕が怒られたみたいじゃないか。いや、そういう話でもないか。