さきほど、期日前投票を済ませてきた。
日本人は選挙権を得てから平均寿命を全うするまでに、おおむね100回の投票を体験するのだという。自分は記憶している限り全ての選挙に参加している。もしかしたら皆勤賞かもしれない。でも、だから偉いというわけでもないのが自由参加の選挙だと思う。個人的な想いとしては、投票を義務化してもいいと思ってはいるのだが。
さて、今回の期日前投票では、いくつか変わったことがあった。
まず、受付係の人が知り合いだった。
以前、別の仕事をしていた時に知り合った人で、僕はすっかり忘れていた。しかし相手は(本人確認作業のため)僕のフルネームを見て思い出したらしい。
しかし、選挙会場では知り合いがいるからとふざけるわけにもいかない。
周囲は真面目かつ退屈そうな中高年ばかり。平日昼間の田舎の会場なんて、投票者は僕だけ、他は全員がスタッフ側の人間だ。
「おひさしぶりです。がんばります」くらいしか言えない。「誰の名前を書けばいいんですか?」なんて冗談は通用しない場なのだった。
そして立会人。
どういう基準で立会人が選ばれるのかはわからない。でも今日の会場には、とびきり派手な老女がいた。
都会にいたら納得するかもしれない。「さすが都会だ。いろいろな人がいるなあ」と思うだろう。でも、地方の寂れた分庁舎の選挙会場にはそぐわない服装だ。
なんというか、フライングタイガー・コペンハーゲンっぽいおばあさんなのだ。
アーティスティックというには安っぽい。街中で見かける狂人というには整っている。
このおばあさん1人のせいで、ただの選挙会場が、ミニシアター系の映画か、公民権運動の記録フィルムみたいに見えてしまう。
まあ、退屈な高齢男性が無駄話をしているような選挙会場よりは、背筋を伸ばして座る派手な高齢女性がいたほうが良いことは確かだ。何が良いのかは上手く説明できないけれど、どんなイベントでも、小さな違和感は必要だと思う。
そんな木曜日。もう帰宅して、今から夕食の準備をするところ。
概ね平和。
ちなみに夕食は鶏団子とキャベツのスープ煮、ちりめんじゃことじゃがいもの和え物、味噌汁、焼いた空豆などである。